タイトル:来島大橋架設桁落下災害調査委員会の調査結果について

     −ジャッキの安全機構に不備−



発  表:平成10年12月18日(金)

担  当:労働省労働基準局安全衛生部建設安全対策室

                 電 話 03-3593-1211(内線5489)

                     03-3502-6754(夜間直通)







1 平成10年6月10日、愛媛県今治市馬島の来島大橋馬島高架部鋼上部工工事現

 場において主桁の送り出しに使用した架設桁を地上に降下させる作業中、架設桁及

 びこれをつっていた主桁上の作業台車が約60m下の地上に落下し、作業台車上で

 作業中の8人のうち7人が死亡し、1人が重傷を負うという重大な災害が発生した。



2 労働省では、本災害の重大性に鑑み、来島大橋架設桁落下災害調査委員会(座長

 前郁夫 (社)仮設工業会会長)を設置し、現地調査をはじめとして災害原因の究

 明と同種災害の防止対策を検討してきたところ、本日、その調査結果が別添(概要)

 のとおり取りまとめられた。



3 労働省としては、この調査結果を踏まえ、関係業界団体に対して同種災害の再発

 防止対策について要請を行うとともに、今後、関係法令等の整備も含めた検討を行

 い、同種災害の防止に万全を期することとしている。







調査結果のポイント





(災害発生の原因)

1 架設桁のつり降ろしに使用されていた4基のジャッキの上クランプ(ワイヤロー

 プを締め付けて保持する機構)が開放している状態で、「下クランプが開放」した

 ため事故が発生したと推定される。



2 「下クランプの開放」の原因を調査したところ、ジャッキ及び油圧系統の異常は

 なかったと推定され、何らかの理由により、下クランプの操作レバーが「クランプ

 開放側」に倒れたことにより、下クランプが開放したと推定される。この原因は、

 「上下クランプの同時開放を防ぐ機構が備わっていなかったこと」である。



3 さらに、作業台車と主桁との固定が不十分であったことや、作業台車上で作業が

 行われていたことが災害につながったと考えられる。





(再発防止対策)

 今回のジャッキのようなワイヤロープ等を締め付ける等により保持するタイプのつ

り上げ機械を使用し、重量物のつり上げ、つり降ろし作業を行う場合の主な再発防止

対策の概要は以下のとおりである。



1 ワイヤロープ等の保持機構の同時開放を防ぐインターロック機能等誤作動、故障

 等が発生した場合にも事故につながらない機能を有すること。



2 つり上げ機械とそれを搭載する架台を確実に固定すること。また、架台の十分な

 剛性、強度を確保し、確実に据え付けること。



3 遠隔操作、自動化等により、安全な位置で作業ができるような作業方法とするこ

 と。



4 作業を指揮する者及び労働者に対する安全教育を確実に実施すること。






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