タイトル:土石流による労働災害防止のため、労働安全衛生規則を改正





発  表:平成10年2月16日

担  当:労働省労働基準局安全衛生部

      電 話 03-3593-1211(内線5489)

          03-3502-6754(夜間直通)









1 一昨年12月、長野県と新潟県の県境の蒲原沢において、大規模な土石流により、

 作業中の労働者14名が死亡し、9名が負傷するという重大な災害が発生した。

2 このため、労働省は「労働省12.6蒲原沢土石流災害調査団」(団長 川上浩 信州

 大学工学部教授)を設置し、その原因究明と再発防止対策の検討を行った。

  同調査団の調査結果においては、必要な予防対策が講じられていれば被害を最小限

 に食い止めることができたとし、関係法令の整備等を行うよう提言がなされた。

3 労働省は、今後とも土石流による労働災害の発生が懸念されることから、同調査団

 の提言を踏まえ、労働安全衛生規則を改正し、本日、改正規則を公布した。

4 労働省は、本改正規則の周知・徹底等を図り、土石流による労働災害の防止に万全

 を期すこととしている。



                改正のポイント               



(改正の考え方)

  土石流発生の危険性を事前に調査し、土石流が発生した場合の早期把握とともに、

 土石流発生時の退避等の措置を事業者に行わせるための規定を整備する。

(改正の主な内容)

(1)対象

   土石流が発生するおそれのある河川における建設工事の作業

(2)事業者が講ずべき措置の内容

  @ 土石流発生の危険性の調査等

   ・ 作業場所から上流の河川及びその周辺の状況の調査等

   ・ 降雨、融雪、地震の場合に講ずる措置等に関する規程の策定

   ・ 降雨量の把握等

  A 土石流発生の早期把握

    降雨量が一定の基準に達したときは、次のいずれかの措置を講ずる。

   ・ 監視人の配置等土石流の発生を早期に把握するための措置を講ずる。

   ・ 速やかに労働者を安全な場所に退避させる。

  B 土石流発生時の退避

   ・ 土石流による急迫した危険があるときは、直ちに労働者を退避させる。

   ・ サイレン、非常ベル等の警報用の設備の設置等

   ・ 登り桟橋、はしご等の避難用の設備の設置等

   ・ 避難訓練の実施

(施行期日)

 平成10年6月1日






労働安全衛生規則の一部を改正する省令(土石流関係)の概要 第1 改正の概要  1 事業者は、降雨、融雪又は地震に伴い土石流が発生するおそれがある河川(以下   「土石流危険河川」という。)において建設工事の作業を行うときは、次に掲げる   措置を講じなければならないこととした。  (1) あらかじめ、作業場所から上流の河川及びその周辺の状況を調査し、その結     果を記録すること。(第575条の9関係)  (2) あらかじめ、土石流による労働災害の防止に関する規定を定めること。その     規定は、次の事項が示されており、かつ、(1)の調査で知り得たところに適     応すること。     (第575条の10関係)     イ 降雨量の把握の方法     ロ 降雨、融雪又は地震の場合に講ずる措置     ハ 土石流の発生の前兆となる現象を把握した場合に講ずる措置     ニ 土石流が発生した場合における警報及び避難の方法     ホ 避難の訓練の内容及び時期  (3) 作業開始前24時間の降雨量及び作業開始後1時間ごとの降雨量を把握し、     その結果を記録すること。(第575条の11関係)  (4) 降雨があったことにより土石流が発生するおそれがあるときは、速やかに作     業を中止して労働者を安全な場所に退避させた場合を除き、監視人の配置等土     石流の発生を早期に把握するための措置を講じること。(第575条の12関  (5) 土石流による労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止     し、労働者を安全な場所に退避させること。(第575条の13関係)  (6) 土石流が発生した場合に関係労働者にこれを速やかに知らせるためのサイレ     ン、非常ベル等の警報用の設備を設け、常時、有効に作動するように保持し、     関係労働者に対し、その設置場所を周知させること。(第575条の14関      係)  (7) 土石流が発生した場合に労働者を安全に避難させるための登り桟橋、はしご     等の避難用の設備を適当な箇所に設け、常時有効に保持し、関係労働者に対し、     その設置場所及び使用方法を周知すること。(第575条の15関係)  (8) 関係労働者に対し、工事開始後遅滞なく1回、及びその後6月ごとに1回、     避難の訓練を行うこと。また、避難の訓練を行ったときは、実施年月日等を記     録し、これを3年間保存すること。(第575条の16関係)  2 建設業の元方事業者が、作業場所の安全の確保のために必要な措置を講じなけれ   ばならない場所として、土石流が発生するおそれのある場所を加えることとした。   (第634条の2関係)  3 特定元方事業者は、土石流危険河川において建設工事を行う場合において、その   労働者及び関係請負人が行う避難の訓練について、その実施時期及び実施方法を統   一的に定め、これを関係請負人に周知させなければならないこととした。また、特   定元方事業者及び関係請負人は、避難の訓練を行うときは、統一的に定められた実   施時期及び実施方法により行わなければならないこととした。(第642条の2の2   関係) 第2 施行期日等  1 この省令は、平成10年6月1日から施行することとした。(附則関係)  2 その他所要の規定の整備を行うこととした。(附則関係)



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