3.ジョイントシート・シール材 (4)ジョイントシート、シール材の代替可能性について (1)ジョイントシート・シール材に使用されている石綿製品については、次に示 すこと等から代替化が可能なものがあると考えられる。 ・厚生労働省が実施したアンケート調査において、石綿製品のメーカーは、 89種類のうち14種類の商品についてのみ安全確保のために石綿製品の使 用が必要と回答していること ・100℃以上の流体の場合に石綿を使ったガスケットが広範に使われている と考えられるが、それに替えて膨張黒鉛シートガスケットや膨張黒鉛テープ の渦巻き型ガスケットの使用が可能であると考えられること ・膨張黒鉛テープの渦巻き形ガスケットについて、テフロン等を用いて酸化を 防止するための改良を行ったガスケットが開発される等、ガスケットに係る 技術開発・改良が進展していること ・船舶に使用されるガスケット、パッキンについて、非石綿製品への代替化が 進展していること ・日本工業規格の関連規格において、性能規定化や非石綿製品の基準が示され ていること等から代替化が促進されやすくなっていること ・外国、特に欧米において代替化が進行していること (2)特に、今後新たに製造される機械・装置や新たに建設される化学プラント等 の設備等においては、非石綿製品の使用を前提とした設計とそれに基づく製 造・建設等を行うことができる可能性が高いため、石綿製品の代替化は既存の 機械・設備等に比較して容易であると考えられる。 (3)しかしながら、次のように、現時点で非石綿製品への代替化が困難なものが あると考えられる。 ・主要な代替物である膨張黒鉛を使用したガスケットは、450℃以上の流体 や、酸化性酸、酸化性塩等の腐食性流体、一部のハロゲン化合物等のガス系 流体、硝酸ナトリウム等の炭素と反応して爆発するおそれがある物質等があ る環境下においては使用できない場合があること ・テフロンガスケットは、高温使用ではクリープを発生しやすいこと ・大口径の配管等に使用するガスケットについては、膨張黒鉛シートガスケッ トを使用する場合、1枚のサイズが小さいため、何枚かをつないで使う必要 があり、気密性等についての信頼性が低下する場合があること ・可燃性物質、引火性物質、有害性物質等を取り扱う化学プラントや放射性物 質を扱う原子力発電所等で、内部の物質が漏洩し火災・爆発、健康障害等の 発生の危険性がある等の箇所については、内部の物質の漏れ等について厳し く管理する必要があり、特にそのような箇所で使用される非石綿製品の耐久 性等について、実際の機械・設備による検証が済んでいない場合や、同種の 設備での検証データがない場合等があること (4)さらに、既に製造又は建設され、使用されている機械・装置や化学プラント 等の設備等については、次のような問題がある。 ・代替品の使用により、フランジの締付け圧力や座面の形状、摺動抵抗、厚さ 等が変化し、設備・装置の設計の見直し・改造等の必要性がある場合がある こと (5)これらのことから、ジョイントシート・シール材として使用されている石綿 製品については、非石綿製品への代替化が可能なものがあると考えられる。し かしながら、高温の流体、腐食性の流体、ハロゲン化合物等のガス系流体が存 在する環境下で使用されるものや内部の物質が漏洩し、火災・爆発・健康障害 等の発生の危険性がある等の箇所に使用されるもの等については、安全確保の 観点から石綿の使用が必要とされており、現時点で非石綿製品へ代替可能なも のと代替困難なものを温度等の使用限界や使用される機器の種類等から明確に 特定することは困難である。これらを代替化するに当たっては、非石綿製品の 開発、非石綿製品の耐久性等の実証や当該製品が使用されている機械・設備等 の設計の見直し・改造等に時間を要するものがあると考えられる。