3.ジョイントシート・シール材 (3)ヒアリング結果 委員会等において石綿製品のメーカー、ユーザーからヒアリングを行ったとこ ろ、次のような意見があった。 ・性能の問題 ・温度が100℃以上の場合には石綿ジョイントシートガスケットの代替品 として膨張黒鉛テープの渦巻き形ガスケット、膨張黒鉛シートガスケット があるが、取扱い性、シール性、厚さ等の問題がある。代替見込時期は1 〜3年後である。 ・タイヤ加硫材のプレスの石綿布入りゴムパッキンについては代替材料がない。 ・非石綿製品は、石綿製品に比べて耐久性に劣る。 ・水、蒸気等を対象とし、温度が100〜200℃程度の場合にも非石綿製 品への代替化は困難である。 ・膨張黒鉛テープの酸化防止を図った渦巻き形ガスケットも開発されており、 非石綿の渦巻き形ガスケットの使用可能な範囲は広がってきている状況に ある。 ・膨張黒鉛の使用の限界に係る問題 ・酸化性酸(濃硫酸、硝酸、クロム酸、重クロム酸等)、酸化性塩(塩素酸 カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等)等の腐食 性流体の場合に、膨張黒鉛シートガスケット、膨張黒鉛テープの渦巻き形 ガスケットは使用できない。 ・一部のハロゲン及びその化合物(臭素、フッ素、ヨウ素、二酸化塩素等) のガス系流体の場合に、膨張黒鉛テープの渦巻き形ガスケットは使用でき ない。 ・黒鉛を使用するパッキンは硝酸ナトリウム等と反応して爆発する危険性が あるため、温度が430℃から450℃で硝酸ナトリウム等の酸化性塩に 使用するグランドパッキンの代替化は困難でかつ代替時期は未定である。 ・実証試験の必要性の問題 ・ジョイントシート及びガスケット等のシール材については、ほとんどのも のが代替可能と考えるが、代替品の使用実績、実証試験が不十分なため代 替に時間を要する。 ・代替品についてユーザーの実機で性能(安全性、耐久性等)が検証されて いない製品がありその検証は個別に行う必要がある。 ・膨張黒鉛を使用するジョイントシートについては、実証試験でその性能が 確認できているものは一部しかない。 ・パッキン、シール材については、用途が広く代替の統一的基準を決められ ない。 ・化学プラント等に使用するシール材については気密性について高い信頼性 を必要とすることから代替化の検討に時間を要する。 ・仕様上の問題 ・温度が450℃以上の水系流体の場合に、フランジのガスケット座が全面 座、平面座等の配管フランジに使用できる非石綿のガスケットがない。 (膨張黒鉛シートガスケット、膨張黒鉛テープの渦巻き形ガスケットは酸 化消耗するため使用できない。リングジョイントガスケットは性能的には 使用可能であるが、ガスケット座の形状が異なるためそのままでは使用で きない。) ・ガラスライニングフランジは歪みやうねりがあるため、テフロン包みガス ケット(石綿ジョイントシートを芯材としてテフロンで被覆したもの)し か使用できず、その代替化は困難であり代替見込時期は1年後である。 ・石綿製品と代替品では厚さが異なるため、既設の配管のガスケット等の代 替化に当たって問題が生じる可能性がある。 ・膨張黒鉛ジョイントシートは、石綿ジョイントシートに比べ1枚のサイズ が小さいため、配管の口径等が大きい場合には何枚かをつないで使う必要 があり信頼性が低下する。 ・設備・装置の改造に係る問題 ・石綿ジョイントシートガスケットを非石綿の渦巻き形ガスケットに変更す る場合、最小締付け圧力の増加により、求められるフランジの強度が大き くなることから、設計の見直し、設備・装置の改造等の必要性がある場合 がある。 ・バルブの駆動部をシールするためのシール材(グランドパッキン)につい ては、黒鉛系への代替化により摺動抵抗が増加するため、電気駆動の場合、 駆動部の改造等が必要になる場合がある。