6.労働者の健康確保対策 労働者の健康確保対策については、特に、産業保健関連機関の連携を強化しつ つ、次のような対策を推進する。 (2) 化学物質による健康障害の予防対策 化学物質による健康障害を予防するため、化学物質の健康影響や労働者のばく 露に係る国内外の情報の収集、化学物質による職業性疾病の発生事例の分析、国 際貢献の観点も踏まえた日本バイオアッセイ研究センター等における化学物質の 効率的・効果的な有害性の調査及びばく露状況の調査の実施を促進し、計画的か つ科学的に化学物質のリスク評価を行い、その結果に基づき、未規制の有害な化 学物質による労働者の健康障害の予防対策を迅速に推進する。 また、職場で取り扱われる化学物質が多様で、作業形態等が固定的でなく変化 している状況等に対応するためには、労働安全衛生法第58条の指針等に基づく、 化学物質管理計画の策定、リスクアセスメントの実施及びその結果に基づく安全 サイドの必要な措置などの事業者による自律的な化学物質管理の促進が必要である。 これらの事業者の取組を支援するため、効果的な実施方法の検討を行うととも に、事業者に対して、広範な化学物質に係る有害性情報、ばく露情報、リスクア セスメント事例、化学物質による健康障害の事例の提供、MSDSの普及・充実 のためのデータベースの整備、化学物質管理を担当する者への研修等を行う。 さらに、国際機関による行動計画等に基づき、化学物質の危険・有害性の分類、 MSDSを含めた表示方法の統一、開発途上国への支援等が求められており、こ れらを踏まえた表示制度の検討、整備等を行う。 がん原性を有する物質等、特に有害性の高い化学物質等については、専門家に よる検討等を踏まえ、その予防対策を推進するとともに、有害性が低い化学物質 等に代替することが本質的な安全化につながることから、有害性の高い化学物質 等の代替化を促進する。 特に、石綿については、国民の安全等のため必要なものを除きその使用等の原 則禁止を速やかに図るとともに、建築物の解体作業等における労働者のばく露の 防止対策の徹底等を図る。 廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類、いわゆる「シックハウス症候群」に 関連した化学物質、PCB廃棄物の無害化処理作業や化学物質に汚染した土壌の 処理作業等における有害化学物質のばく露防止対策、内分泌かく乱物質に係る調 査研究、有機溶剤や一酸化炭素による中毒防止対策及び酸素欠乏症等防止対策の 推進を図る。 新規化学物質による健康障害を予防するため、新規化学物質を製造・輸入する 事業者による有害性調査及びその結果に基づく健康障害防止措置の効率的でかつ 効果的な実施を図る。 作業環境管理については、個人ばく露量の測定の活用に係る検討を含め、作業 の実態に合った測定方法を確立し、屋外作業場における有害な化学物質へのばく 露の低減を図る。また、作業環境測定結果を活用した効率的かつ効果的な作業環 境管理の手法の確立を図り、化学物質のばく露防止対策の実施を促進する。作業 環境測定結果による管理区分を決定するための指標である管理濃度については、 科学的知見を踏まえ、その見直しを図る。さらに、防毒マスクについては、その 性能の確保を図るため買取試験を実施する。