5.重点対象分野における労働災害防止対策 (1)業種別労働災害防止対策 次に掲げる業種別対策を重点的に推進する。また、林業、港湾貨物運送事業、 鉱業その他の災害発生率の高い業種についても引き続き積極的に労働災害防止対 策を推進していく。なお、実施に際して、労働災害防止団体等は業種等の特徴を 踏まえた目標値等を設定することにより、その対策の推進を図る。 ア 建設業対策 元方事業者を中心とした総合的な労働災害防止対策の推進を図る。特に、中 小総合工事業者の関係請負人である専門工事業者に対する安全衛生管理につい ての指導力を高めるため、現場所長教育及び新規入場者教育の支援等の総合的 な施策を実施する。また、専門工事業者の安全衛生管理能力の向上を図るため の施策を推進する。 さらに、今後増加が見込まれるコンストラクション・マネジメント(CM)方 式等の新たな発注・契約形態については、適切な統括管理体制の在り方を検討 し、その結果を踏まえて必要な措置を講じる。 墜落・転落災害を減少させるため、建設工事において手すりを先行する足場 組立工法の普及・定着を推進する。なお、木造家屋等低層住宅建築工事につい ては、引き続き、足場先行工法の普及・定着を推進する。 さらに、建設機械等による災害を減少させるため、クレーン機能付きドラ グ・ショベルを普及し、危険検知システムの周知を図るとともに、転倒時等に おける運転者の安全を確保する防護装置の周知を図る。 このほか、土砂崩壊災害を減少させるため、上下水道等工事における土止め 先行工法の普及・定着を図るとともに、切土等の作業における斜面崩壊に対す る効果的な対策を検討する。また、建築工事、橋梁工事等における仮設構造物 の安全性の検討を行う。 また、粉じん障害の防止についての総合的な対策を推進するとともに、建築 物の解体作業等における石綿のばく露防止対策、一酸化炭素中毒、有機溶剤中 毒等の防止対策の徹底を図る。 これら労働災害防止対策の実施に当たっては、発注機関の協力が不可欠であ り、今後とも発注機関と連携して労働災害防止対策を積極的に推進する。 イ 陸上貨物運送事業対策 交通危険マップ等も活用した適正な走行管理を始め「交通労働災害防止のた めのガイドライン」を重点として交通労働災害防止対策の徹底を図る。 また、荷役作業における墜落・転落災害や荷役機械による災害等を減少させ るため、安全作業マニュアルの整備、同マニュアルを用いた教育等により安全 な作業方法の徹底を図る。 このほか、荷主等に対し、発注条件の適正化の促進を図るとともに、荷の積 卸し現場における安全な作業環境の整備促進を図る。 ウ 第三次産業対策 交通労働災害防止対策及び業種別に策定された労働災害防止のためのガイド ラインの徹底を図るとともに、廃棄物処理業等の労働災害発生率の高い業種に ついては、業種特有の職場のリスクを低減させるため、当該業種の事業者団体 における安全衛生管理活動を推進させる。 また、これらの業種以外の業種についても、事業者団体に対して安全衛生情 報センターから提供されている安全衛生情報の有効活用等により自主的な安全 衛生活動を促進するよう働きかける。 このほか、安全衛生管理上問題の多い事業場に対して、労働安全コンサルタ ント、労働衛生コンサルタント等による安全衛生診断を促進する。