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はじめに





 労働安全衛生法では、労働者の健康を確保することが事業者の責務の一つとして規定

され、事業者には労働者に対して所定の健康診断を実施することが義務付けられている。

そして、事業者はこれら労働安全衛生法に基づく健康診断の結果や、労働者から提出さ

れた診断書等を通じて健康情報を得ているが、これらの情報の保護の在り方については

必ずしも明確になっていない。 

 さらに、労働力の流動化に伴う健康情報の移転の機会の増大、健康情報の電子情報化

の進行、労働者の高齢化等による有所見率の増加等を背景として、近年、労働者の健康

情報に係るプライバシー保護の重要性も指摘されるようになっており、職場における健

康情報の保護方策等についても十分な検討が求められているところである。 

 このような状況等を踏まえ、本検討会は、労働者の健康情報に係るプライバシーの保

護に関する問題点を整理するとともに、その保護をどのように図って行くべきか、どの

ような対応が必要になるのか等について検討することを目的として平成11年3月より、

これまで9回開催され、労働者の健康情報に係るプライバシーの保護に関する論点が明

確となったため、今般、現時点における検討結果を中間的に取りまとめることとしたも

のである。 

 この中間取りまとめにおいては、労働者の健康情報の保護を図る方策として、事業者、

労働者、産業保健スタッフ等が当面自主的に取り組むことが望ましい事項については

「当面の対応」とし、法制度の検討を行う際に十分に吟味整理することが望ましい事項

については「将来的課題」として提言した。 

 この中間取りまとめが、労働者の健康情報に係わる議論の活性化に寄与し、労働者個

人の健康情報をどのように取り扱うべきであるかについて参考にされることを希望する

とともに、将来の検討の場においても役立つことがあれば幸いである。 



  

                                平成12年7月





             労働者の健康情報に係るプライバシー保護に関する検討会

                               座長 保原喜志夫




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