【短時間労働対策の在り方についての視点】
パートタイム労働者は雇用者全体の約2割を占め、基幹的・恒常的な労働力とし
ての役割を担いつつあり、これを能力発揮のできる良好な就業形態とすることは経
済社会全体の大きな課題。
パートタイム労働の現状と問題点を踏まえ、今後のパートタイム労働の在り方を
展望すると、以下の点を基本的視点として対策を講じていくべき。
1 パートタイム労働を労働時間が短いことを除いては労働条件の高低や雇用の安定
性とは無関係な就業形態として労使が選択できる就業形態とすることが必要。
2 雇用管理上の中心的な課題は以下の諸点。
1)労働条件をめぐるトラブルの防止
2)通常の労働者との均衡を考慮した処遇・労働条件の確保
3)パートタイム労働の多様化に対応したキャリア形成及びそれに伴う能力開発な
どの就業実態に応じた合理的な雇用管理の確保
4)パートタイム労働者のうち、特に有期労働契約の者について、希望、就業実態
に応じた雇用の安定の確保
3 処遇、労働条件の確保や雇用管理の改善を図るに当たっては、労働市場における
パートタイム労働者と通常の労働者等との関係・影響を考慮するとともに、パート
タイム労働者を労働条件、雇用管理面で適正に位置づけていくことについて労使に
よる具体的なルール作りが必要。
4 就業調整の問題等への対応として抜本的な制度の見直しを行うことが必要。
【短時間労働をめぐる主な課題と対応】
1)について必要な法的措置を講ずるほか、法の実効性を一層高めるための具体
的方策についての検討に早急に取りかかる等パートタイム労働法の一層の定着・徹
底を図ることが適当。
1)労働条件をめぐるトラブルの防止
→ 労働条件を明示した文書交付を法律により義務づけるべき。
ただし、労基法で手当される動きがあり、その動向を見守るのが適当。
2)通常の労働者との均衡を考慮した処遇・労働条件の確保
→ 労使がどのように「通常の労働者との均衡」を考慮するかについての物差
しづくりや処遇の均衡又は均等に取り組みやすくするため、行政として情報
提供等一定の支援を行うことが必要。このため、労使も含め、技術的・専門
的な検討の場の設置が必要。
3)就業実態を考慮した合理的な雇用管理の確保
→ パートタイム労働者の多様化等の就業実態を十分踏まえ、これを適切に反
映したきめ細かな雇用管理の考え方を示し、事業主の合理的な雇用管理の改
善に向けた取組を促すことが必要。
4)有期労働契約のパートタイム労働者の雇用の安定の確保
→ パートタイム労働者固有の問題ではなく、有期契約労働者に共通の課題で
あり、有期契約労働者についての扱いに従うべき。
当面は指針の徹底を図るべき。
5)その他
→○ パートタイム労働者の就業調整は様々な点で問題であり、その解決は急
務である。そのためには、税制、社会保険制度、配偶者手当制度について、
就業に応じて納税、保険料を支払うとの原則に立ち、極力制度を個人単位
に切り替えていくことが望ましく、抜本的見直しに向けて、労使及び関係
行政機関における検討が必要。
○ パートタイム労働者の過半数を代表する者の選出手続き、正規従業員へ
の応募機会の付与についての情報の周知、短時間雇用管理者の職務内容の
明確化と氏名の周知等について新たに盛り込む等指針の所要の改訂が必要。
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