8 まとめ



 今回のダイオキシン類のTDIの再評価においては、次のことが結論される。



1)最低の毒性発現体内負荷量の根拠となるエンドポイントに関して、新たに考慮すべ

 き毒性知見は現時点では得られていない。すなわち、これまで根拠にしていたラッ

 ト雌児の生殖器官の形態異常及び遅延型過敏症の抑制をエンドポイントとして求め

 た最低の毒性発現体内負荷量86 ng/kgは適当な値である。それに基づいて設定した

 我が国における現在のTDI:4 pgTEQ/kgbw/日を早急に変更する必要性はない。



2)トータルダイエット調査に基づく食品からのダイオキシン類の平成10年度から平

 成12年度の3年間の平均的な1日摂取量は、1.90 pgTEQ/kgbw/日であり、TDI:

 4 pgTEQ/kgbw/日を下回っている。



3)海外の行政機関の評価では、我が国と共通のデータセットを材料としながらも、最

 低の毒性発現体内負荷量を求めるためのエンドポイントや新たな体内負荷量に関す

 るデータの取り扱いが異なっている。なお、海外ではエンドポイントの採用におい

 て、我が国では体内負荷量のTDIへの反映方法において、より安全側に立った結果

 となっている。



4)TDIについては、新たな知見やWHO/IPCS等における検討状況を踏まえながら、適宜

 見直しを図る必要があると考える。



5)ダイオキシン類の健康影響については、今後も引き続き、毒性試験や人体への影響

 調査等各種の調査研究を推進するとともに、各種のダイオキシン対策を鋭意推進し

 ていくことが重要であると考える。

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