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4 体内動態に関する最近の知見



要旨



 ダイオキシンの体内動態について1999年以後に現れた文献を中心に検討し、TDI設

定に影響する可能性のあるヒト及び雌動物に関する文献についてまとめた。ラットに

corn oilに溶解したTCDDを投与したときの吸収率は86%として暴露を計算していたが、

妊娠ラットではHurst ら (2000a)の検討から吸収率は約60%とするのが適当と思われ

た。

 ヒトにおけるTCDDの半減期については幾つかの報告があり、その内には半減期が約

10年との結果もあったが、体内負荷量が低い時には日常的な暴露により見かけの半減

期が長くなる傾向があることから、特にTDI設定のための半減期7.5年を変更する必要

性は認められなかった。

 TCDDがCYP1A2で代謝されることが示された。

 胎児への分布量が単回投与では反復投与時に比べ高かった。これは単回投与時には

血流分布の多い組織への分布がまず起こるが、時間の経過とともに組織親和性に依存

してTCDDの再分布が起こることによると思われる。この結果は単回投与による毒性に

基づいてリスク評価した場合、ヒトでは慢性暴露であることから、TCDDの胎児毒性が

より低い体内負荷量で現れると評価してしまう可能性を示唆している。胎児への作用

がTCDDの直接作用によるならば、臨界期における胎児の暴露レベルの差を考慮すべき

である。この差による補正係数はSCIとJECFAとでは異なっており、算定には更に検討

する必要がある。

 また、ダイオキシン類の薬物動態についてはTCDDを中心に検討されてきたが、他の

類縁体の薬物動態データも蓄積してきたので、TEFの見直しの際はそれも考慮する必

要があるかもしれない。





本論



4.1 消化管吸収について



 食物中に含まれるTCDDのヒト消化管からの吸収率については、EPA(1985)やWHO(1998)

の報告をもとに50%として毒性試験から求めた毒性発現時の体内負荷量に対応するヒ

トでの一日摂取量を計算した。一方、Schlummer ら (1998)は7人の男女において通

常の食物からのダイオキシン類の摂食量と糞中への排出量を測定し、その差を吸収と

して解析したところ、全ての残留性ダイオキシン類について血中濃度と吸収との間に

負の相関があり、血中濃度が約10 pg/g fat以上のヒトでは摂取量より排泄量の方が

多く、吸収率の算定はできなかった。なお、I-TEQで表したとき、志願者のなかでの

最大吸収率は63%であった。

 ラットでの消化管吸収は1〜50 mg/kg程度の高用量を用いた実験で、70〜84 %とさ

れ(Piper et al., 1973, Rose et al., 1976)、WHOでは86%の値を採用していた。一

方、Hurst ら (2000a)は3H-TCDDをcorn oilに溶解し、50, 200, 800, 1000 ng/kgを

妊娠ラットに経口投与し、肝、脂肪、皮膚、筋肉、血液、胎児、及び胎盤における放

射活性を測定し、それらの臓器に90%の活性が分布していると仮定し、母体での体内

負荷量を計算したところ、それぞれの用量で平均30.6, 97.4, 522.8及び585.2 ng/kg

との結果を得た。これから吸収率を換算するとそれぞれ61.2%, 48.7%, 65.3%, 58.5%

となった。これらの結果から妊娠ラットにおける低レベル暴露時の吸収率はほぼ60%

であると見なすことが適当と思われた。



4.2 代謝



 TCDDで示されているように、一般的にCDDsやCDFsは代謝されにくく、肝ミクロソー

ムの薬物代謝酵素によりゆっくりと極性物質に代謝される。これらは、更にグルクロ

ン酸及びグルタチオン抱合を受ける。代謝には種差があり(Olson and Bittner 1983)、

マウスではin vivo及びin vitroで代謝を検出できなかったが(Vinopal and Casida 

1973)、ラット、ハムスター、イヌでは若干代謝された(Nelson et al., 1977, Olson

 et al., 1980, Poiger et al., 1982)。

 ヒトにおけるTCDDの代謝経路に関するデータはないが、TCDDが一部糞中に代謝物と

して排泄されるとの証拠がある(Wendling et al., 1990)。モルモットではRI標識し

たTCDD投与後45日に組織中に残存する放射活性の内28%が代謝物によるが、その他の

動物では代謝物は組織中に認められなかったと報告されている(Olson 1986)。尿及び

胆汁中には多くがグルクロン酸抱合体として排出された(Olson and Bittner 1983)。

ラット(Sawahata et al., 1982)やイヌ(Poiger et al., 1982)ではTCDDの水酸化も報

告されている。主代謝物は1,3,7,8-tetrachloro-2-hydroxydibenzo-p-dioxinであり、

副次的な代謝物として3,7,8-trichloro-3-hydroxydibenzo-p-dioxinや

1,2-dichloro-4,5-hydroxybenzene (Poiger et al., 1982)が報告されている。遊離

肝細胞では1-hydroxy-TCDD、8-hydroxy-TCDDが検出されている(Sawahata et al., 

1982)。

 最近の報告では、ラット肝ミクロソーム分画においてTCDDの酸化が主にCYP1A2によ

ることが示された(Hu and Bunce 1999)。

 TCDD以外のCDDsの代謝に関するデータは少ない。Wacker ら (1986)は

1,2,3,7,8-PeCDDを投与したラット胆汁中に代謝物が少なくとも3つあることを示し

た。完全に塩素化されたOCDDについては、予想どおり代謝物を検出できなかった

(Birnbaum and Couture 1988, Tulp and Hutzinger 1978)。1,4,7,8-TCDDのラットに

おける主代謝物として水酸化された四塩化或いは三塩化物が糞中に、また、それらの

グルクロン酸抱合体や硫酸抱合体が尿及び胆汁中に検出された(Huwe et al., 1998)。

また、微量ではあるがdichlorocatecholや二水酸化された四塩化或いは三塩化物及び

それらの抱合体も検出された。なお、ラット肝ミクロソーム分画における1,2,3,4-TC

DDの酸化はほぼ選択的にCYP1A1により行われ、1,2,4,7,8-PeCDDの酸化は主にCYP1A2

による(Hu and Bunce 1999)。Hakk ら (2001) は1,2,7,8-TCDDが72時間でほぼ完全

に排泄され、排泄量は尿中が5〜14%、胆汁中が約32%、糞中が約80%で、また、代謝物

は尿、胆汁、糞で検出されたと報告している。糞中には水酸化体のグルクロニドと二

水酸化体のジグルクルロニド、尿中主代謝物は4,5-dichlorocatecholのグルクロニド

と硫酸抱合体であることが示された。



4.3 組織分布



4.3.1 ヒトでの分布



 Iida ら (1999)は6人の通常の日本人におけるPCDD/Fsの組織分布について報告し

た。それによれば欧米の結果と同様にダイオキシン類の血中濃度はOCDDが最も多く

(2000pg/g lipid)、ついで、1,2,3,4,6,7,8-HpCDD (100 pg/g lipid), 

3,3',4,4',5-PeCD (79 pg/g lipid), 1,2,3,6,7,8-HxCDD (63 pg/g lipid), 

3,3',4,4',5,5'-HxCD (47 pg/g lipid), 2,3,4,7,8-PeCDF (46 pg/g lipid)の順であ

った。また、Patterson ら(1988)の報告と同様に、血液中のPCDD/Fsは脳と肺を除く

他の組織中のPCDD/Fs量と極めて良い相関を示していた。これらは体内負荷量を血中

濃度を測定することにより推定できることを示している。また、日本の都市廃棄物焼

却場で働いていた30人の労働者と一般志願者30人の血中ダイオキシン類を分析したと

ころ、それぞれ19.2及び22.9 pg TEQ/g lipidで、両者に差が無かったが、

1,2,3,4,7,8-HpCDF濃度は労働者の群で有意に高く、労働期間に相関して高かった

(Kumagai et al., 2000)。

 なお、糖尿病患者(44人)と対照患者(2201人) の妊婦で血中PCB濃度を比較したとこ

ろ、糖尿病患者(メジアン, 3.77 mg/L)では対照群(2.79 mg/L)より30%高かった

(Longnecker et al., 2001)。



4.3.2 動物での分布



 雌生殖臓器への分布についてまとめた。

 Wistar系雌ラットに14C-TCDDを皮下投与(3000 ng/kg)し、7日後で肝が29〜30 ng/g

 tissue、脂肪は肝の約1/7〜1/8であったのに対し、卵巣中では肝の1/40〜1/30程度

であった(Abraham et al., 1988)。雌CD1マウスに100 μg/kgを腹腔内投与後1日では

肝1g中に投与量の9.7 %/g、脂肪中に14.2 %/g分布していたのに対し、子宮には

1.4 %/g, 卵巣には2.1%/g分布していた(Mackenzie et al., 1992)。即ち、腹腔投与

後短時間では子宮や卵巣等にも肝の1/5〜1/10の量が分布していた。しかし、投与7日

では肝に14.5 %/g, 脂肪組織に0.82 %/g、残躯体に0.05 %/g残留していたのみで、子

宮や卵巣中への分布は検出されていなかった(MacKenzie et al., 1992)。



4.4 排泄



 いずれの動物においてもTCDDの排泄は遅い。主な排泄経路は胆汁中及び糞中であり、

尿中排泄は微量である。哺乳類では乳汁中への排泄が重要である。



4.4.1 ヒトでの排泄



 ベトナム参戦兵士での調査ではTCDDの血清中半減期のメジアンは7.1年であった

(Pirkle et al., 1989)。その後、それらの213人について更にデータを追加した10年

以上のデータをもとに計算したところ半減期は8.7年(95%信頼限界:8.0〜9.5年)と

された(Michalek et al., 1996)。また、BASF AG工場の29人の労働者の平均半減期は

5.8年(Ott and Zober 1996)、殺虫剤工場労働者48人のメジアン半減期は7.2年

(Flesch-Janys et al., 1996)、セベソの住人27人での結果では8.2年(Needham et 

al., 1994)であった。男性志願者にTCDD (1.14ng/kg)を経口投与した場合の半減期は

2120日(5.8年)と報告されている(Poiger and Schlatter 1986, Wendling et al., 

1990)。TCDDの排泄半減期と体脂肪量との間に相関関係があり、Ott and Zober 

(1996)は体脂肪量が20%及び30%のヒトの半減期はそれぞれ5.1年及び8.9年と推定した。

 これらの結果から、WHO (1998)ではヒトにおけるTCDDの半減期を7.5年とし、体内

負荷量の計算を行い、我が国でのTDI設定に際してもこれを採用した。

 最近、Michalek and Tripathi (1999)はOperation Ranch Hand作戦に従事したベト

ナム退役軍人の15年間の追跡データをまとめ半減期は7.6年 (95%信頼限界は7.0〜8.2

年)と報告した。一方、Jackson ら(2001)の報告によれば、1419人の空軍のベトナ

ム退役軍人の血液中TCDDレベルは、87年から97年の間の10年間、平均すると0.25 

ppt/yearの速度で低下していた。87年と92年のデータのそろっていた33人をペアにし

て計算したところ消失速度は0.068/year (半減期10.1年)であり、これはドイツに

おける89〜94年の間の低下(Schecter et al., 1996a, 7.8%/year, 0.081/year、半

減期8.5年)とほぼ同様であった。なお、暴露レベルが低下するにしたがって日常的

な暴露により総排泄量が低下し、定常状態に達すると思われるが(Phliilips 1989)、

上のデータでは一般の人の暴露レベルに近い、4ppt以下のヒトが7人、4〜10pptのヒ

トが9人含まれていることから、ここで示された半減期が既に体内にあったTCDDの半

減期を示しているとは必ずしも言えない。

 CDDsの個々の類縁物質の排泄に関するヒトのデータは少ない。Flesh-Janys ら 

(1996)はいくつかのCDDsの血中濃度について43人の工場労働者についてone 

compartment, first order kineticsで計算し、2,3,7,8-TCDDでは7.2年、

1,2,3,7,8-PeCDDでは15.7年、1,2,3,4,7,8-HxCDDでは8.4年、1,2,3,6,7,8-HxCDDでは

13.1年、1,2,3,7,8,9-HxCDDでは4.9年、1,2,3,4,6,7,8-HpCDDでは3.7年、及びOCDDで

は6.7年と推定している。CDFsでは1,2,3,4,6,7,8-HpCDF では3.0年、2,3,4,7,8-PCDF

では19.6年であった。なお、一般に喫煙者では半減期は相対的に短い。カネミ油症患

者での2,3,4,7,8-PeCDFの半減期は2〜30年であった(Ryan et al., 1993)。

 Rohde ら (1999)は化学工場に働いた履歴があり、PCDD/Fsの体内負荷量の高い6人

の志願者の糞中への排泄を検討した。その結果、代謝されずに糞中に排泄された

PCDD/Fs量は試験期間中に摂取した量よりも明らかに多く、PCDD/Fsが消化管から排泄

されていることを示している。血中及び糞中PCDD/Fs量との間には高い相関があり

(r>0.8)、糞中排泄量が体内負荷量によって決まっていることを示している。これ

らの結果及び血中濃度推移から糞中排泄による半減期は10年(OCDD)から33年

(2,3,4,7,8-PeCDF)であり、また、全身クリアランスの37% (2,3,7,8-TCDD)から90%

(OCDD)を糞からのクリアランスが占めていると計算された。

 なお、Masuda (2001)は5人の油症患者と3人のYuchen患者の血液中ダイオキシン

類を追跡し、毒性の主な原因とされている2,3,4,7,8-penta-CDFの半減期は暴露後最

初の15年間は2.9年、15〜30年の間では7.7年と報告している。

 これらの結果から、低レベル暴露時のダイオキシン類の半減期は正確に測定できて

いるとは言えないことから、現時点では7.5年のままとし、TDIの計算を行うのが適当

と思われる。



4.5 CDDsの経胎盤移行及び乳汁を介した新生児暴露



 乳汁中へのCDDs排泄については多くの文献があるが、ここでは省略した。Schecter 

ら (1996b)はヒト胎児及び胎盤中CDDs及びCDFs濃度について報告している。脂肪含量

あたりでは、プールした14個の胎盤での値は10.1 ng/kgで胎児では5.3ng/kgでほぼ胎

盤の半分であった。重量あたりではそれぞれ0.086 ng/kg及び0.034 ng/kgであった。

これらの結果は胎児への移行は少なく、胎盤バリアーが機能していることを示してい

る。

 Schecter ら (1998)は5人のNew York州在住米国人の血液、母乳、脂肪組織、胎盤、

及び臍帯血を集め(1995〜96年)それらの中のダイオキシン類を測定した。脂肪含量当

たりの計算結果では、脂肪組織で 352 pg/g, 分娩前の血液で526 pg/g, 胎盤で182 

pg/g, 臍帯血で165 pg/g, 分娩後の血液で352 pg/g 及び母乳で 220 pg/gであった。

全TEQ で現すとそれぞれ11.6, 12., 10.5, 5.8, 10.0及び10.2 pg/g TEQであり、彼

らの96年の結果と同様に胎児へのCDDsの移行は少なかった。

 げっ歯類においても胎児への移行は制約されており、乳汁を介した移行が新生児の

暴露の主なものである。妊娠11日に投与した30μg TCDD/kgの胎児への移行は投与量

の0.5%以下であった(Weber and Birnbaum 1985)。一方、TCDDは投与後速やかに胎児

にも分布する。投与後30分において母体の血液、肝臓、及び脂肪、胎盤、胎児の肝臓

及び口蓋で検出された(Abbott et al., 1996)。最高濃度到達時間は血中及び胎盤中

では3時間、その他の組織では8時間であった。なお、胎児の肝臓及び口蓋中濃度は

8時間後から徐々に低下した。この速度はラットの半減期として考えられている値よ

り早い。これは体内でのCDDsの再分布によるものと思われる。

 母体では肝臓への分布が最も多いが、胎児では頭部の濃度が他の部分より高い。

Van den Berg ら (1987)は焼却場の気散灰抽出物を食事に混ぜ、妊娠8〜17日までラ

ット(Wistar)に投与し、胎児移行を調べたところ、胎児に検出されたものは49種類の

tetra-, octa-CDDsの内、2,3,7,8-位が塩素置換された7種のCDDのみであった。また、

投与量の0.13% (0.0092%/g)が胎児に移行していた。HpCDDsとOCDDは検出されなかっ

た。生後10日の新生仔の肝臓には2,3,7,8-TCDD, 1,2,3,7,8-PCDD及び3種の2,3,7,8-

置換HxCDDsが高濃度に存在していた(残留量は投与量の5.3〜8.1%)。妊娠・授乳ラ

ットでは2,3,7,8-位が塩素置換されたpenta-及びhexa-置換体が最も多く肝臓に残留

していた(投与量の53.9〜80.2%)。妊娠及び授乳ラットの肝臓におけるこれらの残留

量には差は無いが、脂肪組織中濃度は授乳ラットで少なかった。同様の結果はLi ら 

(1995)も報告している。彼らは妊娠18日に静脈内投与したTCDDの胎児肝への移行は2

日間で0.07%に過ぎず、TCDDの胎盤移行は少ないが、出産1日後の肝臓中濃度が投与

量の0.65%、分娩後4日間には2.88%に達し、授乳を通じた移行が多いことを示した。

 妊娠マーモセットに出産11週前に皮下投与したCDDsとCDFsの内0.15%の

2,3,7,8-TCDDと1,2,3,7,8-PCDDが生後33日の新生児の肝臓に検出された(それぞれ新

生児では395及び611 pg/g、母体では107及び326 pg/kg)(Hagenmaier et al., 1990)。

その他の類縁物質量は母体の10%以下であった。2,3,7,8-置換CDDsの脂肪中濃度は母

体の少なくとも1/3であったが、OCDDの濃度は母体の3倍高かった。乳汁を介した

CDDsの移行はかなりあるが、物質選択的であった。アカゲザルでもTCDDに暴露された

母獣から生まれた子供の離乳時脂肪中TCDD濃度が母獣の4.3倍あった(Bawman et al.,

 1989)。彼らは母獣の体内TCDDの17〜44%が乳汁中に排泄されたと推定している。

 以下に、胎児への分布に関する最近の知見をまとめた。

 Hurst ら (2000b)は雌ラットに10, 30 ng/kg を13週経口投与したのち交配し、母

獣及び胎児への分布を調べた。母獣の体内負荷量(BB)は1, 10, 30 ng/kgの投与で約

19, 120, 300ng/kgであった。なお、TCDDの半減期を23.7日、吸収率60%とし、one 

compartment modelに基づき計算したBBはそれぞれの用量で13.9, 136, 408ng/kgであ

りほぼ一致していた。なお、妊娠16日ではBBは1.4, 7.5, 15.2 ng/gであった。また、

生後4日の新生児のBBはそれぞれ18.2, 132.3, 334.9 ng/kgであり、出生後乳汁を介

して多量のTCDDが新生児に移行することが判る。





表1:妊娠15日の雌ラットに3H-TCDDを反復投与した後の体内負荷量 

   (Hurst et al., 2000b) 
  体内負荷量(BB: ng/kg)
dose
(ng/kg/day)
GD9の母獣 GD16の母獣 GD21の母獣 GD16の胎児 PND4の
新生児
1 18.4±2.7 19.4±1.9 19.7±2.7 1.4±0.2 (7.2) 18.2±2.0
10 108.9±18.1 130.0±11.7 118.9±20.7 7.5±0.5 (5.7) 132.3±12.6
30 289.5±34.5 304.1±38.5 323.1±22.1 15.2±2.2
(4.9)
334.9±32.7
()の中は母獣のBBに対する%値

GD: genestation day, PND: post-natal day



 一方、妊娠15日の雌ラットに50, 200, 800, 1000 ng 3H-TCDD/kg in 5ml corn 

oil/kgを単回投与し、妊娠16, 21日母獣の組織中TCDD量を測定したところ、50 ng/kg

ではBBがGD16で30.6±3.1, GD21で26.6±3.1 ng/kg, 200ng/kgではBBがGD16で

97.4±23.2, GD21で76.2±16.7 ng/kg,であった。一方、胎児への分布はそれぞれ

6.8 pg/g(胎児), 5.3 pg/g(全胎児)であり、胎児への分布は少なかった(Hurst 

et al., 2000a)。この値は1999年に当時の厚生省と環境庁でダイオキシン耐容一

日摂取量(TDI)を設定したときに引用したHurstらの投稿中のデータと同じであ

った。なお、母獣のBBが生殖毒性を起こす200 ng/kgの場合とほぼ同等となる用量、

10 ng/kg/dayを13週間反復投与した時の妊娠16日の胎児のBBは母獣の5.7%であるの

に対し、単回投与200 ng/kgでは13.5%と単回投与時の方が胎児への分布割合が高い。

これは単回投与時はまず肝臓のように血液循環の多い臓器に多く分布し、その後脂肪

組織中へ再分布する(Abbott et al., 1996)が、反復投与時には胎児の成長に伴い、

逆に脂肪組織からの胎児へのTCDDへの再分布が起こるが、その速度が胎児の急速な成

長に追いつかないことによると推定される。

 このように考えるとダイオキシンのような物質の慢性暴露による胎児毒性について

注目しているとき、単回投与時の胎児暴露の結果をそのままヒトに外挿することは胎

児毒性を過大評価してしまう可能性があることを否定できない。なお、上の200 ng/kg

単回投与群での結果は吸収率が約50%と他群や他文献と比べて悪く、実際は、それほ

ど大きな差があるとは必ずしも言えない。SCF (2001)ではHurstらの上記2論文のデ

ータを解析し、Power equationに回帰させた結果をもとに2.6の係数を用いるべきと

しているが、JECFA (2001)では同じデータを直線回帰させ1.7の係数を得ている。こ

れらについては更に検討する必要がある。過去、及び今後のデータを引き続き詳細に

解析する必要がある。なお、胎児への毒性が胎児への直接作用によるのか否かについ

ては議論を要する問題である。





表2:妊娠15日の雌ラットに3H-TCDDを単回投与した後の体内負荷量 

(Hurst et al., 2000a) 
  体内負荷量(BB: ng/kg)
dose
(ng/kg)
GD16の母獣 GD21の母獣 GD16の胎児 GD21の胎児
50 30.6±3.1 26.6±3.1 5.3±0.7 (17.3) 4.3±0.6
200 97.4±23.2 76.2±16.7 13.2±3.9 (13.5) 14.6±5.5
800 522.8±29.6 327.8±59.3 39.1±5.2 (7.4) 32.2±5.4
1000 585.2±98.3 431.1±60.0 55.7±18.5 (9.5) 36.4±8.7
()の中は母獣のBBに対する%値





 Chenら(2001)は妊娠15日のLong Evans ラットにTCDD, TCDF, PeCDD, 1-PeCDF, 

4-PeCDF, OCDF, PCB77, PCB126, PCB169の混合物を食物中に含まれているのと同様の

比率で総ダイオキシン類として50, 200, 800, 1000 ngTEQ/kgを経口投与し、主要臓

器中の分布を検討した。母獣の肝臓への分布はTCDD, PeCDD, 4-PeCDF, OCDF, 

PCB126, PCB169では用量依存的に増加した。また、4-PeCDF, PeCDF, PCB126の肝親和

性はTCDDより高かった。TCDF, 1-PeCDF, PCB77は速やかに代謝された。胎児の経胎盤

暴露は0.5〜3%で授乳からの新生児暴露7〜28%より少なかった。それぞれの類縁物質

の体内動態は用量依存的であることから高用量での結果を外挿する際は注意が必要で

ある。なお、胎児への分布の割合は、Hurst ら (2000a)の単回投与時の結果と比べ大

きな差は無かった。一方、表に示したように、胎児への分布はTCDDで最も多く、妊娠

21日に組織1gあたり投与量の0.043%が分布していた。TCDFの胎児への分布はその約

1/10〜1/20、PeCDDの分布はTCDDと同等かあるいは1/2であった。その他ではPCB126と

PCB169が組織1gあたり投与量の0.01%程度胎児に分布していた。なお、肝臓への分布

はTCDD, PeCDD, 4-PeCDF, OCDF, PCB126, PCB169では用量依存的に増加した。

4-PeCDF, PeCDF, PCB126の肝親和性はTCDDより高かった。TCDF, 1-PeCDF, PCB77は速

やかに代謝された。





表3:ダイオキシン類混合物200 ngTEQ/kgを妊娠15日のラットに経口投与後の分布

   (Chen et al., 2001) 
  母獣肝臓
(% of dose)
胎盤
(% of dose/g)
胎児/新生児
(% of dose/g)
TCDD GD16 75.2±21.4 0.5±0.004 0.019±0.005
GD21 25.5±5.7 0.36±0.009 0.043±0.009
PND 4 24.3±11.3   0.20±0.05
TCDF GD16 69.0±26.5 0.15±0.002 0.0015±0.0004
GD21 2.84±0.83 ND 0.0020
PND 4 1.78±0.71   0.0030±0.0016
PeCDD GD16 62.1±14.3 0.025±0.003 0.0020±0.0004
GD21 9.45±4.66 0.025±0.006 0.021±0.005
PND 4 1.97±0.90   0.16±0.004


参照文献



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