トップページ
3.診療の優先順位に応じた傷病者のトリアージについて
1)トリアージの重要性と既存の提言内容
・トリアージとは、被災地において最大多数の傷病者に最善の医療を実施するため、
傷病の緊急度と重症度により治療優先度を決めるものであり、限られた人的・物的
医療資源を有効に活用するための重要な行為である。
・「震災時における医療対策に関する提言(阪神・淡路大震災を契機とした災害医療
体制のあり方に関する検討会、平成7年5月29日)」においては、(1)阪神・淡
路大震災では一部トリアージが未実施のため、限られた医療資源が有効に活用され
なかったこと、(2)トリアージ技術等に関し医療関係職種の訓練・研修を実施する
必要があること、(3)災害時のトリアージの意義等に関して国民に対する普及啓発
活動を行う必要があることなどが提言されている。
・「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する検討会報告書(平
成8年4月)」においては、トリアージの際に用いられる識別票(トリアージ・タ
ッグ)の標準化について提言されている。
2)現状と今後の課題
・トリアージ・タッグの標準化は既に完了している。
・トリアージの際の「死亡群」「即治療群」「待機治療群」「軽治療群」への分類に
ついては、被災地域における医療資源等の状況に応じて適切に実施される必要があ
ることから、今後、現場での適切なトリアージを適切に実施するために必要な手続
きや手技等に関するマニュアル作成や、研修を実施していくことが必要である。
・トリアージ実施に関する法的責任に関して本検討会としては、「トリアージは、判
断如何によっては傷病者の生命に危険を及ぼす可能性があることから、原則として
医師が行うべきものである。ただし、大災害の発生現場において医師の到着を期待
できない、あるいは到着を待てないような状況下において救命救急士、看護婦等が
トリアージを行うことの医師法第17条に関する違法性については、『緊急避難』
に該当するものとして、違法性が阻却されるのではないか。また、トリアージを行
った場合の個別の判断については、事後的にみて他の判断が最善と考えられる場合
であっても、当該状況下で収集可能な情報に基づいて行われた合理的な判断であれ
ば、一般に法的責任は生じない。」という整理が可能と考える。
TOP
トップページ