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はじめに



 災害医療対策については、阪神・淡路大震災を契機に行った各種の研究や検討の結

果を踏まえ、平成8年の健康政策局長通知「災害発生時における初期救急医療体制の

充実強化について(平成8年5月、健発第451号)」に基づいて、災害拠点病院や

広域災害・救急医療情報システムの整備等が行われてきた。

 しかしながら、このように整備されてきた仕組みのもとで、現実の大規模災害発生

時における迅速かつ効率的な医療の提供が行われ得るのかという運用面での懸念や、

有珠山噴火や鳥取県西部地震など阪神・淡路大震災以降に発生した災害から得られた

知見の集積に基づく再検討の必要性が指摘されている。このため、本検討委員会にお

いては、阪神・淡路大震災から5年を経過したのを機に今日的視点から災害医療体制

をハード・ソフト両面から再点検を行い、特に、発災直後の急性期の災害医療体制の

強化に関し、以下のとおり提言を行うものである。



  

1.阪神・淡路大震災後の取り組みの現状と今後の課題



 平成8年の健康政策局長通知「災害発生時における初期救急医療体制の充実強化に

ついて(平成8年5月、健発第451号)」(以下「局長通知」という。【資料1

】)に記載された災害医療対策の現状と課題は、以下のとおりである。



  

1)地方防災会議等への医療関係者の参加の促進



○ 現状



・平成12年4月現在、44都道府県の地方防災会議に医療関係者(医師会)が出席

 している。



・平成9年度厚生科学研究「災害の初動期における活動マニュアルとその運用に関す

 る研究」(主任研究者:山本保博)によれば、地域防災計画における災害医療体制

 の記載は、必ずしも十分とは言い難い状況にある。



・特に、大規模災害発生時における応援要請システムについての記載が不十分との指

 摘があった。







○ 今後の課題



・地方防災会議への医療関係団体の代表者や災害・救急医療専門家の一層の参画を図

 ると共に、地方防災会議における災害医療に関する議論を活性化する必要がある。



・都道府県衛生主管部局と消防・防災主管部局との連携強化を図りつつ、地域防災計

 画における災害医療体制に関する記載や内容の充実、医療機関に対する災害発生時

 の指揮命令系統や大規模災害発生時における応援要請システムの一層の明確化を図

 る必要がある。






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