タイトル:−平成10年賃金引上げ等の実態に関する調査結果速報− 賃上げ額・率とも過去最低 発 表:平成10年12月11日 担 当:労働大臣官房政策調査部労働経済課 電 話 03-3593-1211(内線5663) 03-3502-6727(夜間直通)
T 調査の概要 1 調査の目的 賃金引上げ等の実態に関する調査は、民間企業(労働組合のない企業を含む。 )における賃上げ額、賃上げ率、賃上げ方法、賃上げ事情等、賃上げの構造を明 らかにするとともに、賃上げの企業経営への影響等を把握することを目的として 、昭和44年以降毎年実施しており、今回の調査は第30回目に当たる。 2 調査の対象企業 調査の対象は、次の範囲に属する企業から産業及び企業規模別に系統抽出した 3,182企業である。回答企業は 2,065社で、回収率は64.9%であった。 イ 地域 日本国全域。 ロ 産業 日本標準産業分類による次の9大産業。 鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、 卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業(家事サービ ス業及び外国公務を除く。)の9大産業。 ハ 企業規模 製造業及び卸売・小売業,飲食店については常用労働者30人以上を雇用す る企業、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業。 3 調査の対象期間 原則として平成10年1月から12月までの1年間(ただし、諸労働条件改定の話 合いに関する事項は平成9年10月から平成10年9月までの1年間)。 4 調査の実施時期及び方法 平成10年9月に郵送調査により実施した。 U 調査結果の概要 以下の内容は、常用労働者 100人以上の企業(対象企業数 2,643社、回答 1,664社、回収率63.0%)のみにつ いての調査結果である。なお、製造業及び卸売・小売業,飲食店の常用労働者30 人以上100人未満の企業の調査結果については、報告書に別掲する予定である。 (注)1) サービス業について、平成9年以前は、駐車場業、旅館・その他の 宿泊所、娯楽業、自動車整備業、機械・家具等修理業、映画・ビデオ 制作業、放送業、情報サービス・調査業、広告業及びその他の事業サ ービス業に限っていたが、平成10年は調査対象をサービス業(家事サ ービス業及び外国公務を除く。)に拡大した(別紙参照)。平成10年 のサービス業<旧対象産業>は平成9年以前の調査対象に合わせて集 計したもので、調査産業計<旧対象産業>についても同様である。な お、特に断りのない場合については新対象産業による集計である。 2) 1人当たり平均賃上げ額及び率には、個別賃金方式のみで回答され た賃上げ額及び率を含めて集計している。 3) 統計表に用いてある符号の表示は、次の通りである。 「−」印は該当数値が得られないもの、「…」印は未集計のため数 値が計上できないものをそれぞれ表している。
【骨子】 1 賃上げ額及び賃上げ率 《額、率とも過去最低》 企業規模 100人以上の平成10年における労働者数の加重平均で賃上げ額は6,0 79円、賃上げ率は2.3%となり、額・率とも調査開始以来、最低となっている。 2 企業規模別賃上げ額及び賃上げ率 《企業規模間格差拡大》 企業規模別にみると、規模が小さくなるほど賃上げ額・率は低くなり、ま た、前年と比べると企業規模間格差は拡大している。 3 賃上げ額及び賃上げ率のばらつき 《ばらつきが過去最大》 賃上げ額及び賃上げ率の企業間のばらつきの程度を四分位分散係数でみる と、賃上げ額では0.379、賃上げ率では0.344と前年に比べ各 0.1ポイント強 上昇し、現行の集計方法とした昭和46年以降最大となっている。 4 賃上げの実施 《賃上げを実施しない企業の割合が過去最高》 賃上げを実施しない企業割合は11.1%と初めて本調査の調査項目とした昭 和50年以降最高となった前年(5.3%)を大きく上回っている。 5 個別賃金方式 《企業規模 5,000人以上で 24.6%が採用》 賃上げ方式をみると、個別賃金方式(計)(個別賃金方式と平均賃上げ方 式の両方による決定を含む。)の企業割合が2.6%、平均賃上げ方式のみの 企業割合が97.4%となっている。個別賃金方式(計)を企業規模別にみると 、企業規模5,000人以上で24.6%と、企業規模が大きいほど同方式を採用す る割合が高くなっている。 6 賃上げ事情 《「企業業績」をあげた企業が過去最高、「世間相場」 をあげた企業が過去最低》 賃上げに当たり企業が最も重視した要素をみると、初めて本調査の調査項 目とした昭和45年以降で、「企業業績」をあげた企業の割合が76.5%と最高 、「世間相場」をあげた企業の割合は14.0%と最低となっている。また、「 世間相場」の基準として「他産業」を参考にした企業についてどの産業を最 も参考にしたかをみると、「自動車」が30.8%と、初めて本調査の調査項目 とした昭和47年以降最も多くなり、以下、「電機」が22.1%、「鉄鋼」が21 .3%などとなっている。 |