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V 調査結果 1 委託業務 (1)委託の導入割合 現在、業務の処理を他企業等へ委託している企業割合は49.9%と約半数の企業で導入 している。これを企業規模別にみると、1,000人以上規模(76.9%)、300〜999人規模 (59.1%)、100〜299人規模(52.5%)、30〜99人規模(47.7%)と規模が大きいほど その割合は高く、規模による格差が大きい。 また、産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(87.2%)、製造業(59.2%)、 建設業(58.5%)、金融・保険業(56.6%)の順となっている。運輸・通信業及び卸売 ・小売業,飲食店はいずれも35.0%で他の産業に比べ低い導入割合となっている。 (2)委託している業務の内容 イ.委託している業務 委託している業務(複数回答)の導入割合をみると、「製造、建設」業務(54.8%)、 「物流」業務(39.4%)、「機器点検・保守」業務(38.0%)、「施設管理関係」業務 (31.3%)、「経理」業務(26.4%)、「情報処理・システム開発」業務(22.8%)の 順となっている。 これを企業規模別にみると、導入割合の高い「製造、建設」、「物流」、「機器点検 ・保守」、「施設管理関係」業務ではいずれの規模も導入割合が高い。一方、比較的規 模間格差がみられる業務では、「経理」業務は小規模企業で導入割合が高く、「情報処 理・システム開発」、「福利厚生」業務は規模が大きくなるほど導入割合が高く、1,00 0人以上規模では他の規模に比べ特に高くなっている。 いずれの産業においても該当する業務が多い「事務・管理」部門について産業別にみ ると、委託の導入割合が高い「経理」業務は、卸売・小売業,飲食店、運輸・通信業、 金融・保険業で他の産業に比べ高くなっている。「人事管理」業務は、金融・保険業、 不動産業、電気・ガス・熱供給・水道業で高く、「教育訓練・研修」業務は、電気・ガ ス・熱供給・水道業、建設業、金融・保険業で高く、「福利厚生」業務は、金融・保険 業、電気・ガス・熱供給・水道業で高くなっている。金融・保険業は「事務・管理」部 門のいずれの業務も導入割合は高くなっている。 ロ.業務委託の開始時期 業務委託を導入している企業の業務委託の開始時期(複数回答)について業務全体で みると、「平成2年以前」は84.7%、「平成3年〜5年」は7.9%、「平成6年以降」は 9.8%であった。いずれの業務も平成2年以前に委託を開始した企業が6割を超えている。 一方、平成3年から5年に委託業務を導入している企業は、「対個人サービス」業務( 16.7%)、「情報処理・システム開発」業務(15.3%)、「福利厚生」業務(13.7%) が他の業務に比べ割合が高く、平成6年以降に委託業務を導入している企業は、「人事 管理」業務(33.7%)、「対個人サービス」業務(28.0%)、「教育訓練・研修」業務 (22.6%)、「営業、販売」業務(22.2%)が他の業務に比べ高い割合となっている。 ハ.委託先 平成3年以降の業務委託について、その委託先を業務全体でみると、「その他の会社 」は78.5%、「関連会社」は13.5%、「子会社」は7.4%であった。 業務別でみるといずれの業務も「その他の会社」が多く15業務のうち13業務が7 割を超えている。次に委託先別に委託業務の内訳をみると、「子会社」に委託している ものでは、「福利厚生」業務、「機器点検・保守」業務、「営業、販売」業務が、「関 連会社」に委託しているものでは、「研究開発・設計」業務、「情報処理・システム開 発」業務が他の業務に比べ高い割合となっている。 ニ.委託している業務内容 平成3年以降の業務委託について、委託している業務内容を業務全体でみると、「も ともと自社の業務であった」は74.5%、「もとから自社の業務ではなかった」は24.7% であった。いずれの業務も「もともと自社の業務であった」ものが多く、そのうち「営 業・販売」業務(94.9%)、「物流」業務(92.1%)は9割を超えている。一方、「も とから自社の業務ではなかった」ものは、「福利厚生」業務(47.7%)、「情報処理・ システム開発」業務(44.4%)、「機器点検・保守」業務(42.0%)で4割を超え他の 業務に比べ高い割合となっている。 ホ.委託業務の専門知識等の必要性 平成3年以降の業務委託について、高度な専門知識・技術の必要性の有無をみると、 「必要あり」は54.8%、「必要なし」は44.9%であった。 また、業務別では「研究開発・設計」業務、「情報処理・システム開発」業務、「教 育訓練・研修」業務、「経理」業務、「機器点検・保守」業務は高度な専門知識等を必 要とする割合が高く、「物流」業務、「施設管理関係」業務、「製造、建設」業務は特 に必要としない割合が高い。 ヘ.契約金額の最も多い業務 平成3年以降の業務委託について、部門別に最も契約金額の多い業務をみると、「事 務・管理」部門では、「教育訓練・研修」(36.0%)業務、「経理」(28.8%)業務、 「生産等」部門では、「製造、建設」(78.0%)業務、「その他」の部門では、「施設 管理関係」(49.8%)業務となっている。 企業規模別にそれぞれの部門をみると、「事務・管理」部門では、1,000人以上規模 が「福利厚生」業務、300〜999人規模及び100〜299人規模が「教育訓練・研修」業務、 30〜99人規模は「経理」業務がそれぞれ最も高い割合となっている。「生産等」部門で は、「製造、建設」業務、「その他」の部門では「施設管理関係」業務がいずれの規模 も最も高い割合となっている。 (3)業務委託による組織面、労働面への影響等 イ.委託の効果 平成3年以降の業務委託について、業務委託の効果として何等かの効果があったとす る企業が97.7%であった。その顕著だった効果(複数回答)をみると、「専門知識・技 術・人材の不足の補充」(45.1%)、「人件費の削減」(30.6%)、「業務量の変動に 対する弾力的な対応」(23.5%)等であった。 企業規模別にみると、「人件費の削減」、「経営資源・人材の主たる業務への集中化 」を挙げた企業では、規模が大きいほどその割合が高く、特に1,000人以上規模では「 人件費の削減」が47.1%と最も高い。一方、「結果として売上高が増加」を挙げた企業 は、300人未満の規模で高くなっている。 部門別にみると、「事務・管理」部門においては「専門知識・技術・人材の不足の補 充」(53.0%)、「人件費の削減」(30.5%)、「人件費以外の業務処理コストの削減 」(20.1%)とする企業割合が高い。「情報処理」部門では「専門知識・技術・人材の 不足の補充」(79.1%)が高く、次いで「業務量の変動に対する弾力的な対応」(25.0 %)、「人件費の削減」(19.5%)となっている。「生産等」部門は「専門知識・技術 ・人材の不足の補充」(43.4%)、「業務量の変動に対する弾力的な対応」(39.8%)、 「人件費の削減」(35.2%)の順となっている。「物流」部門は「雇用管理の負担の解 消」(35.6%)、「業務量の変動に対する弾力的な対応」(35.2%)、「人件費の削減 」(33.1%)となっている。「その他」の部門は「専門知識・技術・人材の不足の補充 」(34.8%)、「人件費の削減」(31.9%)、「雇用管理の負担の解消」(21.5%)と なっている。「物流」部門を除くすべての部門で「専門知識・技術・人材の不足の補充 」を挙げる企業が一番多く、そのうち特に「情報処理」部門で高くなっている(第4図 )。第4図 委託業務の顕著な効果(複数回答)
ロ.組織面 平成3年以降の業務委託について、業務委託に伴う組織面の再編成等をみると、「何 等かの再編成を行った」は52.1%で、そのうち「担当する組織の廃止」は7.7%、「担 当する組織の一部を廃止」は14.6%、「組織の変更を行った」は16.7%であった。また、 これまで担当する組織がなかったところで「委託先の窓口等の組織を新設した」は13.1 %となっている。 これを企業規模別でみると、「何等かの再編成を行った」企業では、1,000人以上規 模で65.8%と他の規模に比べやや高く、そのうち「担当する組織の廃止」を行った企業 は、16.0%、「担当する組織の変更」を行った企業は、26.9%であった。また、「委託 先の窓口等の組織を新設した」企業は、規模が小さいほど割合が高く、30〜99人規模は 15.2%、100〜299人規模は13.0%で、1,000人以上規模の2.5%を大きく上回っている。 部門別にみると、物流部門では「組織の廃止」及び「組織の一部廃止」を行った割合 が他の部門に比べ特に高くなっている(第5図)。 ハ.配置転換等 平成3年以降の業務委託について、業務委託の導入に伴う労働者の配置転換等の状況 をみると、「何等かの配置転換等を行った」は40.7%、「配置転換等は行わなかった」 は28.6%、「もともと担当する労働者はいなかった」は29.0%であった。部門別にみる と、「何等かの配置転換等を行った」は「物流」部門が73.8%で他の部門に比べ最も高 くなっている。 また、配置転換等の内訳(複数回答)をみると、「自社内で同種業務への配置転換」 は38.8%、「自社内で異なった業務への配置転換」は25.9%であった。また、「委託先 へ在籍出向」16.3%、「委託先へ転籍」15.4%等となっている。これを企業規模別にみ ると、1,000人以上規模では、出向・転籍の割合が自社内の配置転換の割合を上回り、 「委託先へ在籍出向」は59.9%で最も高くなっている。一方、100〜299人規模や30〜99 人規模は、自社内で配置転換を行った割合が高くなっている。 部門別にみると、「事務・管理」部門については、「自社内で異なった業務への配置 転換」が42.6%で最も高く、また、「委託先へ在籍出向」(21.5%)が他の部門に比べ 高い。「生産等」、「物流」、「その他」の部門については、「自社内で同種業務への 配置転換」を行った割合はそれぞれ61.9%、41.8%、26.0%で最も高く、「委託先へ転 籍」は「物流」、「その他」の部門で他の部門に比べ高くなっている(第6図)。第5図 組織面の再編成等 第6図 労働者の配置転換等(複数回答)
ニ.委託先企業の業務遂行面での優位性(強み) 平成3年以降の業務委託について、委託先の業務遂行面での優位性(複数回答)をみ ると、「専門的知識・技術・技能を身につけた者の存在」は42.9%、「同一業務の集中 化による効率的な遂行」は25.6%、「人件費が割安」は23.0%等であった。これを企業 規模別にみると、1,000人以上規模は、「同一業務の集中化による効率的な遂行」(38. 3%)を挙げた企業割合が最も高くなっている。一方他の規模は、「専門的知識・技術 ・技能を身につけた者の存在」を挙げた割合が最も高くなっている。 また、部門別にみると、「専門的知識・技術・技能を身につけた者の存在」の割合が 高かった部門は「事務・管理」(62.3%)、「情報処理」(76.8%)、「その他」(3 4.6%)となっている。また、「生産等」部門では「人件費が割安」(34.5%)、「物 流」部門では「同一業務の集中化による効率的な遂行」(43.7%)の割合が最も高くな っている。 ホ.関与度 平成3年以降の業務委託について、委託した業務への関与度をみると、「業務の進め 方全般について受託企業におおむね指示している」は35.9%、「時々状況報告を受け、 業務の進め方について必要な指示をしている」は34.2%、「業務の進め方は受託企業に まかせている」は28.2%であった。さらに委託先別にみると、委託先が子会社及び関連 会社の場合は「時々状況報告を受け、業務の進め方について必要な指示をしている」と する割合が最も高く、その他の委託先の場合は「業務の進め方全般について受託企業に おおむね指示している」割合が高くなっている。 部門別にみると、「事務・管理」、「情報処理」部門は、委託先が子会社の場合「時 々状況報告を受け、業務の進め方について必要な指示をしている」とする割合がそれぞ れ66.6%、58.6%と高く、一方、関連会社への委託の場合は「業務の進め方は受託企業 にまかせている」とする割合が54.2%、61.8%となり、委託先によって関与する度合い が異なっている。また、「生産等」部門は、委託先に関係なく「業務の進め方全般につ いて受託企業におおむね指示している」とする割合が高い。「物流」部門では、子会社 又はその他に委託した場合は、「業務の進め方全般について受託企業におおむね指示し ている」は50.0%、59.4%、委託先が関連会社の場合「時々状況報告を受け、業務の進 め方について必要な指示をしている」は64.6%と、いずれも何等かの指示をする割合が 高くなっている。 (4)委託時の労使協議 平成3年以降の業務委託の導入に際し、労働者側代表との協議状況をみると、「話し 合いや報告をせずに導入したケースが多い」は41.2%、「話し合ったケースが多い」は 33.0%、「話し合わずに報告のみとしたケースが多い」は23.1%となっている。 これを企業規模別にみると、1,000人以上規模では「話し合ったケースが多い」が44. 0%と他の規模に比べやや高いが、1,000人未満の規模ではいずれも「話し合いや報告を せず導入したケースが多い」とした割合が高くなっている。また、産業別にみると、建 設業、不動産業、サービス業、製造業、金融・保険業では、「話し合いや報告をせず導 入したケースが多い」とした割合が高くなっている。 (5)労働者数に与えた委託効果 平成3年以降の業務委託について、業務委託が企業全体の労働者数に与えた効果をみ ると、「増加効果」は9.2%、「減少効果」は20.5%、「増加とも減少ともいえない」 は54.9%となっている。「増加とも減少ともいえない」が、いずれの規模においても高 く、電気・ガス・熱供給・水道業、金融・保険業を除くすべての産業においても同様で ある。また、「増加効果」と「減少効果」の割合を比べると、いずれの規模及び建設業 を除くすべての産業において「減少効果」とする割合が高い。なお、「減少効果」を挙 げた企業は規模が大きくなるほどその割合が高く、一方、「増加効果」を挙げた企業は 規模が小さくなるほどその割合が高くなっている(第7図)。第7図 企業全体の労働者数に与えた効果
(6)業務委託の今後の方針 イ.今後の方針 全企業について今後(3年程度)の方針をみると、「業務委託を行っていない、また、 今後も行う予定がない」は46.8%で割合が最も高く、次いで「現状程度とする」は37.0 %で、「積極的に利用していく」(10.8%)と、「縮小又は廃止する」(3.1%)は低い。 「積極的に利用していく」場合の内訳をみると、「基幹業務を含め積極的に利用してい く」は6.7%、「基幹業務以外に積極的に利用していく」は4.1%となっている。 また、企業規模別にみると、「業務委託を行っていない、また、今後も行う予定がな い」とする割合は、規模が小さいほどその割合は高く、一方、「積極的に利用していく 」は、規模が大きいほどその割合は高くなっている。産業別にみると、金融・保険業は、 他の産業に比べ「積極的に利用していく」割合が高くなっている(第8図)。第8図 今後、業務委託の積極的利用方針
ロ.積極的に利用する業務 今後業務委託を積極的に利用していく企業についてその利用する業務(複数回答)を みると、「製造、建設」業務(50.6%)、「情報処理・システム開発」業務(33.6%)、 「物流」業務(30.1%)、「教育訓練・研修」業務(23.7%)の割合が高くなっている。 ハ.業務委託を行わない理由 今後業務委託を廃止する企業及び現在業務委託を行っていない、また今後も行う予定 がない企業について業務委託を行わない理由(複数回答)をみると、「自社内に十分な 技術と人材の蓄積がある」は63.8%と割合が高く、いずれの規模、産業とも最も高い割 合となっている。次いで「委託費用がかかりすぎてコスト削減の期待がもてない」(3 0.6%)、「業務の標準化、マニュアル化が難しい」(21.7%)の順となっている。一 方、「特にない」は33.1%となっている。 また、産業別にみると、運輸・通信業は「余剰人員の発生や再配置が懸念される」(2 6.2%)、金融・保険業は「企業情報やノウハウの流出が心配である」(22.0%)とし た企業割合がやや高くなっている。
2 受託業務 (1)受託の割合 現在、他企業からの業務処理を受託している企業割合は24.0%となっている。これを 企業規模別にみると、1,000人以上規模は18.9%、300〜999人規模は25.0%、100〜299 人規模は25.4%、30〜99人規模は23.7%となっている。産業別にみると、建設業は44.6 %、サービス業は33.9%、運輸・通信業は29.2%、不動産業は26.0%、製造業は25.7% となっている(第9図)。第9図 受託業務の実施状況
(2)設立年 業務を受託している企業の設立年をみると、昭和21年以降に設立した割合が高く、 そのうち平成元年以降の設立は4.7%となっている。また、受託開始時期別に設立年を みると、平成3年〜5年に受託開始している企業のうち約1割、平成6年以降に受託開 始している企業のうち約2割が受託開始と同時期の設立となっている。 (3)受託している業務内容 イ.受託業務 業務を受託している企業について受託している業務をみると、「製造、建設」業務(6 2.6%)の割合が最も高く、次いで「物流」業務(15.0%)、「機器点検・保守」業務 (12.9%)、「施設管理関係」業務(12.5%)の順となっている。「製造、建設」業務 は規模が小さいほど受託割合が高く、一方「情報処理・システム管理」、「研究開発・ 設計」、「営業・販売」業務は規模が大きいほど受託割合が高くなっている。 ロ.受託の開始時期 業務を受託している企業について受託開始時期を業務全体でみると、「平成2年以前 」は88.2%、「平成3年〜5年」は5.0%、「平成6年以降」は5.6%であった。これを 業務別にみると、いずれの業務においても平成2年以前に開始した割合が最も高く、 「教育訓練・研修」業務を除くいずれの業務も8割を超えている。また、平成6年以降 に開始した業務の中では「教育訓練・研修」業務(28.7%)、「経理」業務(14.1%)、 「研究開発・設計」業務(13.3%)がやや高くなっている(第10図)。第10図 受託の開始時期
ハ.業務量の変化 業務を受託している企業について、3年前と比べた業務量の変動状況は「ほぼ同じ」 は45.1%、「増加」は35.7%、「減少」は16.2%となっている。業務別にみると、業務 量が「増加」した割合が高いものは、「その他の事務管理」業務(76.0%)、「その他 」の業務(57.8%)、「人事管理」業務(57.7%)、「情報処理・システム開発」業務 (47.9%)、「物流」業務(46.5%)となっている。それ以外の業務については業務量 は「ほぼ同じ」とした割合が高くなっている。いずれの業務も「減少」とした割合は低 いが、そのうち「製造、建設」業務(26.2%)、「物流」業務(20.6%)では高くなっ ている(第11図)。第11図 受託業務量の変化
(4)受託の状況 イ.売上高に占める割合 業務を受託している企業について売上高に占める受託業務割合をみると、「売上高の 50%未満」は42.1%、「売上高の50%以上100%未満」は29.8%、「売上高の1 00%」は28.1%となっている。その中で製造業は「売上高の100%」が41.8%と最 も高い割合となっている(第12図)。第12図 売上高に占める受託業務 第13図 委託元企業との関係
ロ.委託元企業との関係 業務を受託している企業について委託元企業との関係をみると、受託業務の売上高の 5割以上を「親会社を除く一企業」から受託が24.4%、「親会社」から受託が23.5%、 「自社と資本関係のないグループ」から受託が19.4%、「自社と同じ資本グループ」か ら受託が7.5%で、「その他」からの受託は25.1%となっている。また、金融・保険業 は「親会社」からの受託(64.4%)、卸売・小売業,飲食店は「同じ資本グループ」か らの受託(41.7%)と受託の割合が他の産業に比べ高くなっている(第13図)。 ハ.業務遂行面での優位性(強み) 業務を受託している企業について委託元企業と比べた業務遂行面での優位性をみると、 「専門的知識・技術・技能を身につけた者の存在」(61.3%)の割合が最も高く、次い で「同一業務の集中化による効率的な遂行」(41.5%)、「人件費が割安」(32.6%) の順となっている。しかし、金融・保険業では「専門的知識・技術・技能を身につけた 者の存在」(41.7%)より「人件費が割安」(58.3%)を挙げた割合が上回り、「正社 員以外の労働者の活用」(37.1%)も他の産業に比べ高くなっている。また、製造業で は「設備面の充実」(34.3%)を挙げた割合が高くなっている。 ニ.受託業務従事者の割合 業務を受託している企業について受託業務従事者の割合をみると、従事者が「95% 以上」は20.9%、「5%以上15%未満」は17.3%、「85%以上95%未満」は13.7 %となっている。企業規模別にみると、1,000人以上規模では「5%以上15%未満」 (25.1%)と「5%未満」(20.5%)が高く、30〜99人規模では「95%以上」(23.9 %)が高くなっている。 ホ.労働者数等の割合 業務を受託している企業について就業形態別の労働者構成をみると、正社員は75.1%、 パート・アルバイト・臨時は16.7%となっている。産業別にみると、卸売・小売業,飲 食店ではパート・アルバイト・臨時は30.6%と他の産業に比べ高い比率となっている。 また、女性の占める割合は30.7%で、卸売・小売業,飲食店は49.9%と約半数を占め ている。 一方、登録者数(登録制により雇用を確保している人数)は受託企業の労働者数に対 して4.9%となっている。企業規模別には300〜999人規模(16.3%)が、産業別にはサ ービス業(15.3%)が他に比べ高くなっている。 なお、受託中心の企業(受託業務従事者が75%以上の企業、以下同じ)について、 就業形態別の労働者構成を受託企業全体と比べると、正社員は3.5ポイント低く、パー ト・アルバイト・臨時は2.6ポイント高く、女性の占める割合は4.0ポイント高くなって いる。 (5)労働面の方針等 イ.労働者の確保方針 業務を受託している企業について労働者の確保方法別にその方針をみると、「専門的 知識・技術・技能を有する者の中途採用」を「積極的に行っている」が41.3%、「専門 的知識・技術・技能を身につけた新規学卒者の採用」を「積極的に行っている」が34.5 %、「パート・アルバイト、臨時の採用」を「積極的に行っている」が21.9%となって いる。また、「他社からの派遣労働者の受け入れ」及び「他社からのスカウト」を「積 極的に行っている」はそれぞれ4.5%、3.8%と低い。 これを企業規模別にみると、「専門的知識・技術・技能を身につけた新規学卒者の採 用」を「積極的に行っている」企業は、規模が大きいほど割合が高くなっており、特に 1,000人以上規模は77.0%と他の規模に比べ高くなっている。30〜99人規模では「専門 的知識・技術・技能を有する中途採用」を「積極的に行っている」が44.9%と高くなっ ている。 ロ.適用される賃金・勤務制度 業務を受託している企業について適用されている賃金・勤務制度(複数回答)をみる と、正社員では、「退職金制度」(73.9%)、「変形労働時間制」(38.1%)、「個人 の業績成果などに対応して決められた部分が半分以上ある者が多い」(32.0%)、「深 夜労働」(29.6%)、「出向」(21.6%)の割合が高くなっている。これを正社員以外 の労働者と比べると上記のいずれの制度も正社員の適用割合が高い。また、正社員の「 出向」、「目標管理制度」、「深夜労働」、「交替制勤務」制度はいずれも規模が大き いほど割合が高く、その格差も大きくなっている。 なお、受託中心の企業について、適用されている制度を受託企業全体と比べると、正 社員ではいずれの制度にも大きな変化はないが、正社員以外の労働者では、「週当たり の労働時間が人によって異なる」、「給与面で、個人の業績成果などに対応して決めら れる部分がある者が多い」、「1か月・1年・1週間単位の変形労働時間制の者が多い 」、「深夜労働を行っている者がいる」などの適用割合がかなり高くなっている。 ハ.労働面で特に進めていること 業務を受託している企業が労働面で特に進めているもの(複数回答)は、「能力・業 績に応じた処遇(賃金面)」(63.9%)、「自己啓発援助、技能・技術習得等研修機会 の充実」(61.5%)、「能力・業績に応じた処遇(人事面)」(49.6%)等となってい る。産業別にみると、そのほかに卸売・小売業,飲食店の「経営に関する情報の提供」 (48.1%)や、金融・保険業、サービス業の「本人の意志を重視した配置転換」(39.6 %)、(35.9%)の割合が他の産業に比べ高くなっている(第14図)。第14図 受託企業が労働面で特に進めていること(複数回答)
ニ.労働者数における今後の方針 業務を受託している企業について、労働者数における今後の方針をみると、全体の労 働者では「変わらない」が37.0%、「増やす」が30.3%、「減らす」が12.5%となって いる。企業規模別にみると、いずれも「増やす」が「減らす」を上回っているが、1,00 0人以上規模では「増やす」、「減らす」がほぼ同数に近い。また、産業別では、運輸 ・通信業、卸売・小売業,飲食店、サービス業では「増やす」が「変わらない」を上回 り、その他の産業は「変わらない」が高くなっている。 正社員についてみると、「変わらない」が42.6%、「増やす」が29.1%、「減らす」 が13.9%となっている。1,000人以上規模では「減らす」(32.0%)が、「増やす」(2 0.0%)を上回っている。 なお、受託中心の企業について、労働者数の今後の方針を受託企業全体と比べると、 全体の労働者を「増やす」は5.0ポイント高く、「減らす」は3.9ポイント低くなってい る。また、正社員を「増やす」は5.1ポイント高く、「減らす」は1.9ポイント低くなっ ている。いずれの規模も受託中心の企業の方が、労働者を「増やす」とする割合は高く なっている(第15図)。第15図 受託企業の労働者数の今後の方針
(参考) 1.業務委託について 業務委託とは、自社の業務の処理を外部(他社)に委託することをいい、いわゆるア ウトソーシングだけでなく、外注や請負等も含む。ただし、派遣労働者による業務処理 は除く。 2.委託業務の分類及びその内容 調査に用いた委託業務の部門及び各業務については、以下の表の例を基にして分類し ている。
部門 | 業 務 | 業 務 事 例 |
事務・管理 | 人事管理 | 採用に関する電話応対・資料発送・面接等、人事評価基準の策定等、人事データ管理等 |
教育訓練・研修 | 社員研修・生涯教育の実施、研修会の企画、開催等 | |
福利厚生 | 福利厚生施設(保養所、食堂、社員寮等)の管理運営等社員健康支援(健康相談、健康増進等) | |
経理 | 給与計算、税務関係・会計関係事務 | |
その他の事務管理 | 社会保険事務、電話取次・受付・秘書等の渉外事務、事務機器操作、備品・郵便等の管理、法律関係事務、官公庁への届出・申請等 | |
情報処理 | 情報処理・システム開発 | 調査、研究に伴うデータ入力等、ソフトウェア開発、情報処理システムの構築・運用、社内ネットワークの運用等 |
生産等 | 製造、建設 | 製品、部品の製造・加工・組立・検査等、在庫管理等、部材調達、建設工事等 |
機器点検・保守 | 機械・設備(ボイラー、エレベーター、空調等)の点検・整備・保守 | |
物流 | 物流 | 荷物の梱包、配送等、倉庫管理等 |
その他 | 研究開発・設計 | 調査研究、医療研究・臨床検査、技術開発、試作設計等 |
広告・マーケティング・調査 | 広告・宣伝の企画・制作・実施、商品の市場調査、信用調査等、通信販売のカタログ作成等 | |
営業・販売 | 商品の受注・発注、発送、商品販売、販売支援、商品の説明・実演、商品管理等 | |
施設管理関係 | 警備、清掃、ゴミ収集・処理等 | |
対個人サービス | 構内案内、売場案内等、顧客サービス、託児サービス等 |