労働省発表
平成9年12月
    


労働大臣官房政策調査部
統計調査第一課
電  話 03-3593-1211
    (内線5235,5236)
 

規模1〜4人の賃金は0.5%増で前年より伸び率が縮小

短時間労働者の割合は引き続き上昇し、24.3%

−平成9年毎月勤労統計調査特別調査の結果速報−

 

I 調査の概要

毎月勤労統計調査は、常用労働者5人以上の事業所について毎月実施する全国調査及び地方調査のほか、常用労働者1〜4人の事業所について年1回、7月分について特別調査を実施している。

本特別調査は、常用労働者1〜4人を雇用する小規模事業所における常用労働者の平成9年7月分の賃金、労働時間及び雇用の状況について調査した。ただし、特別に支払われた現金給与額は、平成8年8月1日から平成9年7月31日までの1年間分で、勤続1年以上の者について集計したものである。

9大産業に属する常用労働者1〜4人を雇用する約2万6千事業所について集計したものである(回収率96.9%)。

主な用語については、主な用語の解説を参照のこと。




II 調査結果の概要  [骨子]

平成9年7月の月間きまって支給する現金給与額は199,617円、前年比0.5%増となり、前年の1.8%増から1.3ポイント縮小した。
30人以上規模の月間きまって支給する現金給与額を100としたときの格差は62.7で前年より0.7ポイント拡大した。男女別にみると男は72.2、女は69.8であった。
平成8年8月1日から平成9年7月31日までの1年間に、賞与など特別に支払われた現金給与額は335,080円、前年比2.6%減となった。
平成9年7月の出勤日数は22.1日で、前年(22.5日)と比べ、0.4日減となった。
短時間労働者(通常日1日の実労働時間が6時間以下の労働者)の割合は24.3%で前年(24.0%)より0.3ポイント上昇となり、上昇傾向が続いた。主な産業についてみると、前年と比べ、建設業、製造業、卸売・小売業,飲食店、サービス業のいずれも上昇となった。
平均年齢は41.8歳で、前年(41.8歳)と同水準で、勤続年数は9.3年で、前年(9.4年)に比べ0.1年短くなった。




1 賃  金


(1) きまって支給する現金給与額

     平成9年7月における1〜4人規模事業所の月間きまって支給する現金給与額は199,617円、前年比0.5%増となり、前年の1.8%増から1.3ポイント縮小した。
     男女別にみると、男は276,219円で前年比0.7%増、女は141,584円で前年比0.3%減となった。
     主な産業についてみると、増加した産業は、卸売・小売業,飲食店175,891円で前年比1.2%増であった。また、減少した産業は、建設業275,194円、前年比2.2%減、製造業214,590円、前年比1.6%減、サービス業189,983円、前年比0.1%減であった(第1図第1表)。
     1〜4人規模事業所のきまって支給する現金給与額を他の事業所規模と比較すると、5〜29人規模事業所(以下「5〜29人規模」という。)の78.9%(前年79.5%)、30人以上規模事業所(以下「30人以上規模」という。)の62.7%(同63.4%)となった。
     男女別にみると、男が5〜29人規模の87.8%(同87.7%)、30人以上規模の72.2%(同72.9%)、女は5〜29人規模の83.7%(同85.4%)、30人以上規模の69.8%(同71.1%)となった。前年と比較すると男の5〜29人規模との格差を除きいずれの区分も格差が拡大した(第2図第1表)。

     

(2) 特別に支払われた現金給与額

     1〜4人規模事業所において、勤続1年以上の者を対象に平成8年8月1日から平成9年7月31日までの1年間に、賞与など特別に支払われた現金給与額は335,080円(前年比2.6%減)となった。
     男女別にみると、男は493,033円(同2.8%減)、女は209,745円(同2.9%減)となった。
     主な産業についてみると、増加した産業は、建設業336,972円(同4.8%増)であった。また、減少した産業は、サービス業388,249円(同5.6%減)、製造業301,030円(同5.0%減)、卸売・小売業,飲食店270,312円(同1.2%減)、となった(第2表)。



2 出勤日数と労働時間


(1) 出勤日数

     平成9年7月における1〜4人規模事業所の出勤日数は22.1日(前年22.5日)で、前年と比べ、0.4日減少した。
     男女別にみると、男は22.9日、女は21.5日で、男は前年より0.4日、女は前年より0.5日、それぞれ減少した。
     他の事業所規模と比較すると、5〜29人規模(21.2日)より0.9日、30人以上規模(20.6日)より1.5日、それぞれ多かった(第3図第3表)。

     

(2) 労働時間

     通常日1日の実労働時間は7.3時間(前年7.4時間)で前年より0.1時間減少した。
     男女別にみると、男は8.0時間、女は6.8時間であった(第3図第3表 )。
     通常日1日の実労働時間別労働者構成をみると「4時間以下」9.0%(前年差0.3ポイント上昇)、「5時間」7.3%(前年と同水準)、「6時間」7.9%(同0.2ポイント低下)、「7時間」15.8%(同0.9ポイント上昇)、「8時間」44.3%(同0.7ポイント低下)、「9時間以上」15.6%(同0.4ポイント低下)となった(第4表)。




3 雇  用


(1) 産業別構成

     1〜4人規模事業所における労働者の産業別構成をみると、卸売・小売業,飲食店が42.1%と最も高く、次いでサービス業28.7%、製造業11.7%、建設業11.2%、運輸・通信業2.6%、不動産業2.5%、金融・保険業1.0%の順となった。
     男女別にみると、男では卸売・小売業,飲食店(35.0%)、サービス業(23.2%)、建設業(20.1%)、製造業(14.0%)の順で、女は卸売・小売業,飲食店(47.5%)、サービス業(32.9%)、製造業(10.0%)の順となった。
     30人以上規模における産業別構成と比べると、1〜4人規模では、卸売・小売業,飲食店(1〜4人規模42.1%、30人以上規模15.1%)等の割合が高く、製造業(同11.7%、同32.7%)、運輸・通信業(同2.6%、同10.8%)、金融・保険業(同1.0%、同4.5%)等の割合が低かった(第4図第5表)。

     

(2) 短時間労働者

     1〜4人規模事業所の通常日1日の実労働時間が6時間以下の労働者(以下「短時間労働者」という。)の割合は24.3%(前年24.0%)で、前年と比べ0.3ポイントの上昇となり、上昇傾向が続いた。
     男女別にみると、男が7.2%、女は37.2%と、女の短時間労働者割合が高かった。
     主な産業の短時間労働者割合をみると、卸売・小売業,飲食店で32.3%と最も高く、次いでサービス業23.3%、製造業20.7%、建設業7.7%の順となった。卸売・小売業,飲食店の中でも、特に飲食店(57.5%)、飲食料品小売業(40.4%)で高かった。
     前年からの比較では、建設業、卸売・小売業,飲食店、サービス業のいずれも上昇が続き、製造業においては下降から上昇に転じた(第5図第6図第6表)。
     年齢階級別にみると、19歳以下で44.9%(前年43.5%)と最も高く、次いで65歳以上の30.2%(同32.1%)、50〜54歳の27.3%(同26.0%)の順となった。
     これを男女別にみると、男は19歳以下で33.7%、65歳以上で21.2%となっているものの、20歳から64歳までの各年齢階級ではおおむね10%以下となったのに対し、女は最も割合の高い19歳以下で52.3%で、最も割合の低い20〜29歳で24.7%となった。
     前年と比較すると各性別の20〜29歳及び65歳以上、女の19歳以下、男の50〜54歳の各区分で低下したほかは、他のすべての区分で上昇した(第7表)。

     

(3) 女性労働者の割合

     1〜4人規模事業所における女性労働者の割合は56.9%(前年57.1%)で、前年の割合を0.2ポイント下回った。
     産業別にみると、サービス業で65.2%(同64.8%)、卸売・小売業,飲食店64.2%(同65.2%)、金融・保険業で62.4%(同61.0%)と、これら3つの産業で高い割合となった。
     他の事業所規模と比較すると、1〜4人規模の56.9%に対し、5〜29人規模は42.3%、30人以上規模は35.7%と、1〜4人規模事業所で女性労働者の割合が高く、過半数を占めた(第5表)。

     

(4) 平均年齢・勤続年数

     1〜4人規模事業所における労働者の平均年齢は41.8歳(前年41.8歳)で、前年と同水準となった。
     男女別にみると、男は41.9歳(同41.8歳)で前年より0.1歳上昇し、女は41.7歳(同41.7歳)で前年と同水準となった。
     主な産業についてみると、上昇した産業は、卸売・小売業,飲食店が41.1歳(同40.6歳)で前年より0.5歳、建設業が43.0歳(同42.9歳)で前年より0.1歳、それぞれ上昇し、製造業は、47.1歳(同47.1歳)で前年と同水準であった。
     また、低下した産業は、サービス業で39.8歳(同40.3歳)で前年より0.5歳低下した。
     1〜4人規模事業所における労働者の勤続年数は9.3年(9.4年)で、前年より0.1 年短くなった。
     男女別にみると、男は10.4年(同10.5年)で前年よ0.1年短く、女は8.5年(同8.5年)で前年と同水準となった。
     主な産業についてみると、増加した産業は、卸売・小売業飲食店が9.0年 (同8.7年)で前年より0.3年長く、製造業が13.3年(同13.2年)で前年より0.1年長くなった。
     また、減少した産業は、サービス業が7.6年(同8.2年)で前年より0.6年短く、建設業が10.5年(同10.9年)で前年より0.4年短くなった(第7図第8表)。



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