−平成9年賃金引上げ等の実態に関する調査結果速報−
I 調査の概要
- 調査の目的
賃金引上げ等の実態に関する調査は、民間企業(労働組合のない企業を含む。)における賃上げ額、賃上げ率、賃上げ方法、賃上げ事情等、賃上げの構造を明らかにするとともに、賃上げの企業経営への影響等を把握することを目的として、昭和44年以降毎年実施しており、今回の調査は第29回目に当たる。
- 調査の対象企業
調査の対象は、次の範囲に属する企業から産業及び企業規模別に系統抽出した
3,155企業である。回答企業は 2,133社で、回収率は67.6%であった。
- イ 地域
- 日本国全域。
- ロ 産業
- 日本標準産業分類による次の9大産業。
鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業(駐車場業、旅館・その他の宿泊所、娯楽業、自動車整備業、機械・家具等修理業、映画・ビデオ制作業、放送業、情報サービス・調査業、広告業及びその他の事業サービス業に限る。)
- ハ 企業規模
- 製造業及び卸売・小売業,飲食店については常用労働者30人以上を雇用する企業、その他の産業については常用労働者
100人以上を雇用する企業。
- 調査の実施時期及び方法
平成9年9月に郵送調査により実施した。
II 調査結果の概要
以下の内容は、常用労働者 100人以上の企業(対象企業数 2,568社、回答
1,747社、回収率68.0%)のみについてのものである。なお、製造業及び卸売・小売業,飲食店の常用労働者30人以上
100人未満の企業については、報告書に外数として別掲する予定である。
【骨子】
- 賃上げ額及び賃上げ率《賃上げ額、率とも前年とほぼ同水準》
企業規模 100人以上の平成9年の賃上げ額は 7,224円、賃上げ率は
2.6%となり、額・率とも前年とほぼ同水準となった。
- 賃上げ事情《「企業業績」を重視する企業割合が約7割》
賃上げに当たり最も重視した要素をみると、「企業業績」をあげた企業が70.3%(前年75.0%)と引き続き最も高い割合となった。一方、「世間相場」をあげた企業が18.9%(前年15.9%)となった。
- 人件費増加対策《「パートタイム労働者への切替え、下請、派遣労働者等の活用」等が増加》
人件費増加に対する対策としては、「売上高の増加、新製品の開発」をあげた企業が40.3%(前年40.7%)と最も多く、次いで「諸経費等コストの削減」が16.2%(同18.4%)、「人員配置、作業方法の改善」が13.8%(同12.7%)となっている。また、前年に比べ「パートタイム労働者への切替え、下請、派遣労働者等の活用」が
3.6%ポイント上昇したほか、「職能給、職務給、能率給の採用・拡大など賃金制度の改正」などの割合が上昇し、「人員削減、欠員不補充」、「諸経費等コストの削減」などの割合が低下した。
- 労働時間短縮の状況《労働時間短縮を実施した、又は実施の予定がある企業割合が増加》
平成9年に労働時間短縮を実施した、又は実施の予定がある企業の割合は、全体の37.5%と前年(27.2%)を上回った。
企業規模別には、小さい規模ほど労働時間短縮を実施した又は実施の予定がある企業の割合が高く、特に
100〜 299人規模では4割を超えている。
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III 調査結果
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