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1 経済及び雇用・失業の動向と対策
(1)経済及び雇用・失業の動向
(1) 経済
2000年は、欧米先進国において景気の拡大が続き、アジア諸国でもほとん
どの国で景気の拡大がみられた。
・アメリカ、カナダでは景気拡大が継続し、フランスでも引き続き拡大し
た。景気の拡大が鈍化傾向にあったイギリス、ドイツでも、景気は拡大
した。
・アジア諸国では、1997年に発生した通貨危機の影響により一時景気は後
退したが、1999年の景気の回復を受け、2000年には景気が拡大した。特
に、香港、シンガポール、韓国等においては高い伸びがみられた。
(2) 雇用・失業
・アメリカ、カナダ、イギリスでは、失業率は長期の低下傾向が続いてい
る。アメリカでは、特にサービス業での雇用が伸び、失業率は4%台前
半の低水準で推移している。
・ドイツ、フランスでは、失業率は引き続き高水準ながらも98年からは低
下傾向で推移している。
・韓国においては、景気の回復に伴い、失業率も低下している。中国にお
いては、景気が拡大し、就業者が増加しており、政府公表の登録失業率
(都市部)も依然低い水準で推移しているが、これに含まれない下崗労
働者(一時帰休者)も相当数存在している。香港、インドネシア、タイ
等では景気の回復はみられるものの、失業率は通貨危機の発生前より高
い水準となっている。
(2)雇用・失業対策
(1) アメリカでは、2000年4月に65〜69歳の老齢年金を所得に応じて減額す
ることを撤廃する「高齢者の働く自由法」が成立した。また、同月技能労
働者不足をテーマに、産業界、労働界、地域団体の指導者等を招いて初め
ての全国技能サミットが開催された。
(2) イギリスでは、2000年6月から18〜24歳向けニューディールプログラム
においてインテンシブ・ゲイトウェイ(よりきめ細かなカウンセリウング、
就職準備支援)を全国的に実施し、また、同年秋からは失業率が特に高い
地域においてアクション・チーム制度を導入して失業者に対する支援の強
化を図るなど、ニューディール政策をさらに拡充している。
(3) ドイツでは、引き続き社会保障改革、税制改革、財政改革が進められ、
2001年5月、年金制度を改革する法案が成立した。2001年3月に開催され
た「雇用のための同盟」第7回政労使トップ会談では、これまで若年者雇
用と振り替えるために奨励されていた高齢労働者の早期退職についてパラ
ダイムの転換が合意され、今後は高齢者の就業の強化、失業防止及び高齢
失業者の再統合が政策の目標となることとなった。
(4) フランスでは、2000年2月より週35時間制が実施され、雇用の維持・創
出にある程度の効果を上げていると評価されている。また、労使の協約に
よる失業保険制度の改革がなされ、2001年7月から失業者は失業保険制度
に盛り込まれた「再就職支援プラン」に従った個別の再就職支援を受ける
こととなった。
(5) 韓国では、2000年の失業率の目標を4%台、2002年を3%とした、2000
年総合失業対策を発表し、雇用創出の推進、知識基盤型社会へ向けた人材
養成、社会的セイフティネットの拡充等について取り組んでいる。
(6) 中国では、国有企業下崗労働者(一時帰休者)制度を2003年までに廃止
する方針が発表され、制度廃止後は下崗労働者は名実ともに失業者として、
失業保険を受給しながら再就職先を探すこととなる。
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