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企業調査 







1.対日認識 



 (1) 日本との関係(現状と今後の方向性) 



    現在日本との関係は「日本や日本企業との接触はない」とする企業は、ロシ

   アでは89.4%と9割近くを占め、ベルギー72.9%、フィリピン55.0%と過半数を

   占め、この3ヵ国では日本との関係は現時点では少ない。一方、アメリカと韓

   国ではこの数字はそれぞれ36.2%、26.6%で、この両国では日本との関係をも

   つ企業が7割程度みられる。 

    今後の方向として、日本との関係を具体的に考えていない(日本や日本企業

   との接触は考えていない)とする企業はロシアで59.3%と6割近くを占めるが、

   現状との関連でみると、日本との関係強化を望む企業がかなりあることがわか

   る図参照。 



  

 (2) 日本の労働事情に関する認識 



    「日本企業の生産性は高い」「働く意欲が高い」は各国共通して広く認識さ

   れている。これは一般国民対象の調査結果の動向とも符合している。また、

   「残業時間は多い」については、企業調査ではベルギーを除いて国民調査ほど

   同意する割合は多くない。 

    雇用に関する認識では、一般国民調査では「雇用の不安が少ない」に否定的

   な見方がなされていたのに比べ、企業の人事担当者からは「雇用保障に努力し

   ている」への評価が高いのは注目される。一方、「会社をよく変わる」の同意

   率は各国とも極めて低い図参照。 



  

 (3) 自国と比較した日本の労働事情に対する評価 



    自国と比べて日本の方が「よい」(「非常によい」及び「ややよい」の計)

   と評価する企業がフィリピン(83.0%)、ロシア(80.5%)では8割超と圧倒

   的に高く、一般国民対象の調査結果とも類似している。一方、アメリカでは

   「よい」が30.6%、「ほぼ同じ」が25.8%、「わからない」が34.9%と、判断

   が分かれている。ベルギーでは、「悪い」(「非常に悪い」及び「やや悪い」

   の計)が44.9%と多くなっている図参照。 



  

 (4) 他の先進国と比較した日本の労働事情に対する評価 



    アメリカ、韓国、ロシアでは、他の先進国と比べて日本の方が「非常によい」

   「ややよい」或いは「ほぼ同じ」とする企業が過半数を占め、フィリピンでは

   「非常によい」「ややよい」とする企業が過半数を占めており、これらの国で

   は日本の労働事情は他の先進国と比べ「よい」か或いは「同等」とみている。

    一方、ベルギーでは「やや悪い」が4割以上となっている図参照。 





  

2.企業の組織運営・経営労務・管理の現状 



 (1) 経営理念 



    企業の経営理念として、各国共通して上位にあげられているのは「従業員の

   雇用の安定、従業員の福祉の向上を図る」「商品やサービスの安定供給を重視

   する」「市場開拓、技術革新など環境適応に努める」である。アメリカ、フィ

   リピンでは「地域社会への奉仕など社会的責任を果たす」も高い割合となって

   いる図参照。 





  

 (2) 意志決定の方針 



    ベルギーを除く4ヵ国とも「トップ主導の意思決定」と「組織的な議論の結

   果」が高い割合を占め、「ボトムアップ」は少ない。 

     一方、ベルギーでは「ボトムアップ」も2割程度ある図参照。 



  

 (3) 経営方針の周知 



    国ごとに違いがみられる。アメリカ、フィリピンでは「従業員全体に広く周

   知されている」企業が73.4%、76.0%と高い割合を占める。ベルギーでも「従

   業員全体に広く周知」の割合が58.6%と高いが、「経営幹部のみ」も2割近く

   みられる。

    韓国、ロシアでは「従業員全体に広く周知」がそれぞれ46.3%、40.3%、

   「中間管理職まで」がそれぞれ38.9%、36.6%と分散している。また、ロシア

   では「経営幹部のみ」も約2割ある図参照。 



   

 (4) 集団と個性 



    アメリカを除く4ヵ国の企業は共通して「個人の個性を発揮するよりも集団

   の和を大切にしている」が6割を超えている。 

    一方、アメリカでは「集団の和よりも個性の発揮を大切にしている」は2割

   弱で他国と同程度であるが、「どちらともいえない」が53.3%と高くなってい

   る図参照。 



  

 (5) 賃金の判断基準 



    各国共通して、仕事の実績に関わる要素である「仕事の成果」「仕事をこな

   す能力」「責任の大小」「職務態度」が上位にあげられている。各国の最重視

   項目については、アメリカ、ロシア、ベルギーでは「仕事の成果」、フィリピ

   ンでは「職務態度」、韓国では「仕事をこなす能力」と分かれている図参照。 

   



 (6) 直面している労務管理上の課題 



    意識されている課題は国によってまちまちであるが、概ね、「良質な労働力

   の確保」「生産性の向上」「品質管理」が上位にあげられている。これらはア

   メリカ、韓国では前回調査(平成7年度)よりも割合が高まっており、特に韓

   国では「良質な労働力の確保」が前回の25.0%から81.3%へと大幅に増加した。

    それぞれ、最上位にあげられているのは、アメリカ、ベルギー、ロシアでは

   「良質な労働力の確保」、フィリピンでは「品質管理」、韓国では「生産性の

   向上」となっている図参照。 



  

 (7) 雇用調整への対応策 



    5カ国にほぼ共通して「採用の制限」、「残業時間の削減」「配置転換」は

   高い割合となっている。 

    それぞれ、最上位にあげられているのは、アメリカでは「残業時間の削減」、

   フィリピン、韓国では「ワーク・シェアリング」、ロシアでは「採用の制限」、

   ベルギーでは「早期引退の勧奨」で、これらはいずれも7割以上を占めている。

   図参照


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