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調査結果



  

1 下請・元請工事、共同企業体工事の状況



(1)  工事現場からみた下請工事の状況

   着工からの工事現場の最大下請次数をみると、「三次下請」までの工事現場が最も多

  く40.1%となっており、次いで「二次下請」までが32.1%、「四次以下の下請」

  までも17.0%みられる。

   これを工事の請負金額階級別及び工事の種類別にみると、工事の請負金額が大きい

  ほど、また土木工事や電気・その他の設備工事に比べて建築工事で、最大下請次数が四

  次以下となる場合が高くなる傾向がみられる(第1表第1図)。



(2)  事業所からみた下請工事の状況

     直近の営業年度に下請工事の完成工事高のある事業所は全体の87.3%である。ま

  た、全体の25.9%が元請としての完成工事高が無く、下請としての完成工事高のみ

  の事業所である(第2表)。



(3)  共同企業体工事の状況

   平成11年10月末日現在で工事の施工形態をみると、「共同企業体である」工事現場が

  36.9%、「共同企業体ではない」工事現場が63.1%となっている。

   また、共同企業体である工事現場についてその種類や施工方式をみると、「特定JV」

   が82.9%、「経常JV」が17.1%となっており、「共同施工方式」が93.1%、

   「分担施工方式」が6.9%となっている(第3表)。



  

2 工事現場での安全衛生管理体制及び安全衛生活動の状況



(1) 安全衛生管理体制、安全衛生活動

 イ  安全衛生管理計画の作成状況

    安全衛生管理計画(安全衛生の基本方針、安全衛生を目標・重点とした労働災害防止

     対策等を定めた計画)を「作成している」工事現場は94.7%となっている。

     これを工事の請負金額階級別にみると、工事の請負金額が大きいほど安全衛生管理計

     画を作成している割合が高くなっている。また、安全衛生管理計画を作成している工事

     現場でその計画期間終了時に当初目標の達成状況の確認を行っている割合は80.5%

     となっている(第4-1表)。

    「作成していない」工事現場(5.3%)の理由をみると、「その他」を除くと「作

     業手順書を作成しているので必要ない」が29.2%、次いで「作成する余裕がない」

     が16.6%、「安全衛生に関する事項を施工計画に合わせることが困難」が14.9

     %等となっている(第4-2表)。



 ロ  統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者の状況

    統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者の「選任義務がある」工事現場は50.

   9%となっており、このうち統括安全衛生責任者が他の工事現場を「兼任している」割

     合は8.0%となっている。また、請負金額階級ごとの傾向を見ると、請負金額が「2

     億円以上5億円未満」では兼任している割合が10.3%、「2億円未満」では17.

     9%と請負金額が小さくなるにつれて統括安全衛生責任者が他の現場を兼任している割

     合が高くなる傾向がみられる(第5表第6-1表)。

    統括安全衛生責任者の経験年数をみると、「10年以上」が59.8%、「5年以上10

     年未満」が21.0%、「3年以上5年未満」が9.6%、「3年未満」が7.6%と

     なっている(第6-2表)。



    統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者の「選任義務がある」工事現場のうち「

     統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者の所属会社が同じである」割合は74.0%

     となっている。これを工事の請負金額階級別にみると、工事の請負金額が大きくなるに

    つれて統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者の所属会社が同じである割合が高くな

    る傾向がみられる(第7-1表)。

    元方安全衛生管理者の経験年数をみると、「10年以上」が43.0%、「5年以上10

     年未満」が22.1%となっている(第7-2表)。

  

 ハ  協議組織の状況

    元請事業者と下請事業者が労働災害防止等について協議する組織を「設置している」

     工事現場は93.1%となっている。

     この協議する組織を「設置している」工事現場のうち、協議組織の規約を「作成して

     いる」工事現場は88.5%となっている。

    協議する具体的な内容(複数回答)については、「月間または週間の工程計画」、「建

     設現場の安全衛生管理の基本方針、目標、基本的な労働災害防止計画」、「元方事業

     者の巡視に基づく労働災害の防止に関する事項」等が9割を超えている一方で 、「警報の

     統一」、「事故現場等の標識の統一」、「避難等の訓練の実施方法の統一」等は2〜3割

     程度にとどまっている。

    また、これらの決議事項の内容について、関係者に周知している割合は98.5%であ

     った(第8-1表 第2図)。



     さらに、協議組織を設置している工事現場での参加状況についてみると、「元方事業者

     の現場職員」「元方事業者の工事施工の責任者」が、それぞれ97.1%,92.6%が

    「毎回参加している」のに対し、「関係請負人の店社の工事施工責任者」「関係請負人の安

     全衛生推進者」で毎回参加しているのはそれぞれ66.8%,40.2%となっている

    (第8-2表)。

   

 ニ  作業間の連絡調整の実施状況

    労働災害防止のために関係請負人との作業間の連絡調整(安全工程打合せ等)を「実施

     している」工事現場は98.4%となっており、「実施していない」工事現場でもこのう

     ちの56.8%で専門工事業者間で連絡調整するように指導している。

    また、連絡調整を行う際にどこまでの下請事業者が参加するかについては、「下請事業

     者全部」が50.9%で最も多く、次いで「一次下請事業者まで」が22.7%となって

     おり、「三次下請事業者まで」は5.6%となっている(第9-1表第9-2表)。

  

 ホ  作業場の巡視の実施状況

    作業場の巡視(安全パトロール)を「実施している」工事現場は99.5%となってお

     り、そのうちで巡視中に不安全状態や不安全行動を発見した場合に、その場での改善を「

     行っている」工事現場は99.3%となっている。(第10表)

    また、元請の「工事施工責任者」が「毎日」巡視している工事現場は79.4%となっ

     ている。

     さらに、元請の経営幹部が作業場の巡視を「毎日」、「週1回以上」を含めた月1回以

     上を実施している工事現場は57.2%であり、不定期を含めると88.3%の工事現

     場で元請の経営幹部による作業場の巡視が実施されている(第11表)。



 ヘ   分割発注における元方事業者間の連絡調整の状況

    「分割発注」の工事現場において元方事業者間の連絡調整を「行っている」工事現場は

     98.7%となっている。

     また、連絡調整を行う現場での連絡調整を行う者については、「元方を代表する企業の

     1つが行っている」が65.0%であり、次いで「発注者が行っている」が28.5%と

     なっている(第12表)。

  

(2) 下請事業者に関する事項

 イ   下請事業者の労働者について把握した事項について、労働安全衛生関係法令の違反等の

     不備があった場合の改善指導状況を見ると、下請業者に対して、「指導し結果を確認して

     いる」工事現場が78.6%、「指導しているが結果を確認していない」工事現場が18.

     8%となっており、「指導していない」工事現場も1.7%であった。特に、請負金額が

     2億円以5億円未満の工事現場で労働安全衛生関係法令の違反等の不備があった場合の改

     善の指導をしていない割合が3.1%と高くなっている(第13表)。



 ロ  関係請負人に対し、建設現場に持ち込む機械設備について、事前に書面により通知させ、

       「把握している」工事現場は90.9%「把握していない」工事現場は9.1%となっ

     ている(第14表)。



  

3 事業所(店社)での安全衛生管理体制及び安全衛生活動の状況



(1) 工事現場に対する安全衛生活動の状況

 イ 工事現場の巡視(安全パトロール)状況

    店社として工事現場の巡視(安全パトロール)をしている事業所は全体としては79.7

    %となっており、その中でも、「3分の2以上の現場で実施している」割合が高い(63.

    6%)。また、巡視中に不安全状態や不安全行動を発見した場合に「改善させている」

    事業所は巡視(安全パトロール)を行っているうちの、99.0%となっている(第15表)。



   パトロールの主な参加者についてみると、「店社安全衛生管理者」が44.2%で最も

    高くなっている(第3図)。



 ロ 安全衛生管理計画の作成状況

   事業所として安全衛生管理計画(安全衛生の基本方針、安全衛生を目標・重点とした労働

    災害防止対策等を定めた計画)を「作成している」事業所は38.2%となっている

    (第16表)。



   「作成していない」事業所(61.8%)の理由をみると、「工事現場で作成しているの

    で事業所として必要ない」が44.1%、次いで「安全衛生計画を作成しなくても現場管理

    できる」が(26.0%)などとなっている(第4図)。

  

(2) 下請工事に関する安全衛生活動の状況

 イ 下請工事の受注者としての状況

  (イ)   注文者と契約を締結する際の安全衛生に係る分担

     注文者(直上の建設業者)と契約を締結する際に、対等に交渉が「できた」とする事業

   所は「ややできた」を含めると47.6%であり、「どちらとも言えない(物件による)」

   、「やや難しかった」及び「できなかった(元請の指値で受注した)」の合計(52.4

   %)を下回っている(第17-1表)。



  (ロ) 下請工事の受注の際の安全衛生管理面での問題

    「対等に交渉ができなかった(元請の指値で受注した)」、「やや難しかった」及び「

   どちらとも言えない(物件による)」(以下「対等に交渉ができなかった」)とする事業

   所のうち下請工事の受注の際に安全衛生管理面で問題と感じたものが「あった」事業所

   は32.1%となっている。

    次に、その内容(複数回答)をみると、「安全衛生管理費用を確保することが困難にな

      る」が最も多く66.9%、次いで「十分な工事期間を与えられなかったため安全衛生

   管理が不十分になる」が54.9%等となっている(第17-2表)。

    その一方で、「注文者から安全衛生に関する何らかの援助が受けられた」とする事業所

   は、注文者と契約を締結する際に、「対等に交渉できなかった」事業所のうち38.9%

   あり、その内容(複数回答)では「新規入場者教育に必要な場所や資料の提供」が最も高

   く、78.6%、次いで「安全衛生活動に関する講師、指導員の派遣」が33.9%であ

   った(第18表)。



 ロ 下請工事の発注者としての状況

   下請事業者の選定方法についてみると、安全施工能力を「評価して選定している」とする

  事業所50.7%、「選定していない(事業者はいつも決まっている)」とする事業所34.

  1%、「評価せず選定している」とする事業所13.8%となっている。                               

   「評価して選定している」とした評価の基準については、「その他下請事業者を客観的

  に評価できる基準」73.8%、「自社で事前に確認した労働安全衛生法関係資格の取得の

  状況」34.6%、「専門工事業者企業力指標(ステップアップ指標)」16.7%の順と

  なっており、「経営事項審査制度の結果」とするものは16.3%であった(第19表)。 



  

4 労働者の安全に関する意識等について



(1) 労働者が工事現場での作業中に「ヒヤリ・ハット体験(自分の身に危うく労働災害がふ

  りかかるような「ひやり」としたり、「はっ」とした体験)」をしたことのある割合は、7

  7.2%であった。これを職種別にみると、土木作業者が最も高く、79.3%であった。

  次いで建設作業者が、78.2%となっており、軽作業者が最も低く、64.9%であった。

   また、その体験を他の労働者に知らせる機会があったとする労働者「ヒヤリ・ハット」体

  験者のうち93.5%であり、その機会としては「朝礼など現場のミーティング中に話し合

  いをした」のが66.8%と最も高く、次いで「個人的に他の労働者に知らせた」が、47

  .4%となっている(第20-1表第20-2表)。 



(2) また、平成11年10月末日現在に入場している工事現場について、労働災害防止のため

  に講じられている安全対策が「守られている」と答えた労働者は94.2%で、「あまり守

  られていない」とする労働者は4.6%であった。それぞれの理由についてみると、守ら

  れている理由については、「働いている人が意識しているから」(50.5%)が最も高く、

  あまり守られていない理由については、「作業の能率が悪くなるから(56.0%)」が最

  も高かった(第21表)。



(3) 労働災害の発生を防止するために事業主や元方事業者に対して、希望することが「ある

  」と答えた労働者は73.0%であった。希望する事項別(複数回答)にみると、最も多か

  ったのが、「日数に余裕を持った工程にすること」(54.2%)、次いで「天気の悪い日

  や夜間は作業をなるべくしないこと」(33.2%)、「職長は作業者間の連絡と調整

  を十分に行うこと」(29.6%)、「安全衛生教育は十分行うこと」(25.8%)、「

  安全のきまりを守らない業者とは契約しないこと」25.2%)となっている(第5図)。


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