内定獲得に対するインターンシップの効果検証─平均因果効果と効果修飾の両方に着目して

要約

中尾 走(愛媛大学特定講師)

宮田 弘一(静岡産業大学教授)

本稿は,インターンシップへの参加が大学生の内定獲得確率を高めているかを検証することが目的である。日本のインターンシップ制度は,就労目的と教育目的の間で揺れ動いてきたなかで,再び就労目的への関心が高まっているが,インターンシップの内定獲得に対する効果検証は不十分であった。また,何らかの効果を明らかにする際に,異質な効果まで考慮しなければ,その取り組み等の評価は困難である。それは,仮に効果がないとの結論が得られた場合,全員に効果がないのか,それとも効果がある集団とない集団があり結果的に平均的に効果がないという結論では,異なる含意を生むからである。そこで,本稿では①大学生がインターンシップに参加することで,内定獲得確率が高まるのか,そしてその効果は,②どのような集団で高い/低いのかという効果の異質性の2点を明らかにする。分析結果は,①インターンシップの平均的な効果はなく,②効果修飾を確認したところ,「男性」「文系」「50<偏差値」の集団のみで効果があることがわかった。また,頑健性の確認として感度分析を行ったところ,「文系」「50<偏差値」の集団の結果は比較的頑健な結果であった。

【キーワード】職業教育・進路指導,労働市場


2024年8月号(No.769) ●論文(投稿)

2024年7月25日 掲載