改正高年法の「社会貢献事業」は企業ボランティア活動か?

要約

小野 晶子(JILPT副統括研究員)

本稿は,改正高年法で定める「社会貢献事業」のしくみに注目し,先行研究から「ボランティアとは何か」を「自発性」と「無償性(非対価性)」の視点で検討する。また,企業が非営利活動を行う意味と方法について英国の企業ボランティアの草創期の事例から日本に必要な知見を見い出す。改正高年法の「社会貢献事業」は,一般的にイメージされるボランティア活動ではなく,契約によって成立する有償活動であり,なおかつ労働者性を認められない方法で実施することが求められている。これは「純粋な有給労働者」と「純粋な無償ボランティア」との中間領域に位置する働き方と捉えられる。労働者でなくボランティアであるためには,自発的な活動参加の方法を担保した納得性の高い仕組み作りが求められる。同法の「社会貢献事業」は企業によって行われるものであり,「企業ボランティア」の一種として捉えることが出来る。欧米では大企業を中心にさかんに行われており,英国では特に「企業アソシエーション」での形態が特徴的である。また,企業ボランティアは従業員の能力開発や満足度を高め,ひいては定着率や生産性を高める副次的効果があると言われている。しかし,従業員の自主性を削ぎ会社主導の事業になると反感を買うことになろう。改正高年法の「社会貢献事業」が契機となって,よりよい形で企業ボランティア活動が普及することが望まれる。


2021年9月号(No.734) 特集●高年齢者の活躍と雇用

2021年8月25日 掲載