高齢者の就労と年金─改正高年齢者雇用安定法と年金制度改正法の意義と課題

要約

島村 暁代(立教大学准教授)

急速に進む高齢化の進展に伴って2020年には職業生活からの引退と老後生活への移行の過程を再設計する法改正が行われた。70歳まで働き続けられる環境を整備するために高年齢者雇用安定法等を改正した2020年法律第14号と年金制度の機能強化を図る同年法律第40号である。本稿では,法改正以前の雇用法制と年金法制の内容を簡単に確認した上で,法改正の内容を概観し,高齢者の就業に関わる法的な課題について若干の考察をする。具体的には労働者の希望が叶わずに就業確保措置の対象から外された場合にどのような紛争になるかといった問題や60歳代前半だけではなく後半以降についても多くの利用が見込まれる継続雇用制度について賃金設定のあり方はどうあるべきかという問題等を検討する。高齢期の就労が促進するためには定年まで雇用する企業を軸とする内部労働市場を発展させるだけでなく,ハローワークの職業紹介等による外部労働市場政策も重要であることや,高齢者が働くか否か,年金をいつからどう受けるか等々のさまざまな選択をしていくには,各選択肢のメリット・デメリットを比較して自律的な選択ができるように相談できる環境の整備をしていくことが重要であること等を指摘している。


2021年9月号(No.734) 特集●高年齢者の活躍と雇用

2021年8月25日 掲載