長期実践型インターンシップが生み出す中小企業と学生の学び合い

要約

芦塚 格(近畿大学教授)

インターンシップの多くは採用,内定という目先の実利が主眼であるが,学生と企業がともに成長を求めて学び合う機会となるのが,中小企業における長期実践型インターンシップである。経験はないが,強い意欲と高い目的意識をもつ学生と6カ月間協働することで,中小企業の経営者,従業員はこれまでの行動を振り返り,無意識に形成していた認識の枠組みを構成し直す機会を得る。こうした変化は企業の変化につながる。長期実践型インターンシップを受入れ,学びを生み出すには,企業が明確な目的,周到な準備,受入れについての考え方,姿勢を持つ必要がある。プログラムを企画,コーディネート,サポートするノウハウは,コーディネート機関に蓄積されている。コーディネート機関と協力することで,中小企業が課題解決を目的として学生を受入れ,互いに学び合う場が生み出される。その可能性にもかかわらず,このインターンは手間,時間などコストを要することから浸透しているとは言えない。実際に受入れを継続している企業からは,苦労や課題も提起されるが,導入していなければ不可能であったことが達成できた例が示される。長期実践型インターンシップは,企業にとっても貴重な経験と学びを生み,中小企業の資質向上に有益である。


2021年8月号(No.733) 特集●日本におけるインターンシップの展開と現状

2021年7月26日 掲載