大学教育としてのインターンシップの現状と課題

要約

松高 政(京都産業大学准教授)

現在のインターンシップは「学生への教育的役割」「大学への機能的役割」「企業への採用活動としての役割」という3つの役割が求められていると考えられる。しかし,それぞれの役割,関連性の整理や議論が十分に尽くせておらず,新型コロナウイルス発生と相まって混迷している。本稿において今後のインターンシップの方向性,あり方を考察するために,これまでの学生への教育的効果を分析した結果,「職業・就労意識の涵養」については効果が確認でき,「職業生活への移行支援」については明確ではなく,「学習意欲・深化」については確認できないという結論が得られた。その課題として,教育目的・教育課程への位置づけが弱く,キャリア教育として展開されるにつれ「自らの専攻,将来のキャリアに関連した就業体験」という定義とは裏腹に専門教育との結びつきは薄れ,職業意識・就労意識といった意識変容に重点が置かれるようになった。また,学生,企業,大学間で認識の乖離が大きく,目的の共有も図られておらず,教育プログラムとして成立していない可能性も見られた。採用との関係においても,過去の経験,海外の事例を参考に考察した結果,インターンシップの扱いを変更しても課題の解決には至らず,取り組みのあり方そのものを変えていく必要があることを指摘した。その上で,大学と企業が協働し,カリキュラム全体の中で大学教育として再構成できれば,学生の学びを媒介項としながら,全く新しい方法論による「大学教育の作り方」の創出につながる可能性を秘めていることを示唆した。


2021年8月号(No.733) 特集●日本におけるインターンシップの展開と現状

2021年7月26日 掲載