ノンテリトリアル・オフィスの空間設計と身体作法──流動的再場所化による創造的チームワークの達成

要約

松永 伸太朗(長野大学助教)

梅崎 修(法政大学教授)

藤本 真(JILPT主任研究員)

池田 心豪(JILPT主任研究員)

西村 純(JILPT副主任研究員)

秋谷 直矩(山口大学講師)

知識労働者(Knowledge Worker)の自由な発想を活かしたチームの創造性を生み出すことは、多くの人事にとって課題となっている。オフィスの設計も、その人事施策の一つと言える。本稿の目的は、ノンテリトリアル・オフィスの設計が創造的チームワークに与える影響と、そのようなオフィスにおける管理職の身体作法について、観察法・エスノメソドロジーの手法によって分析することである。分析の結果、以下の二点が明らかになった。第一に、全面的なフリーアドレスデスクであっても空間利用について緩やかな合意が存在し、全面的な流動化ではなく、他部門との交流が顕著なエリアとそうではないエリアが分かれている。第二に、管理職中心に、チーム内の視認可能性を維持するような位置取りなどによって、チームワークの維持が対面のみに依存しない形でも行われており、部門をまたいだ交流についてもその萌芽がある。すなわち、オフィスのノンテリトリアル化は、メンバーの流動化という「脱場所化」を生み出すと同時に、様々な仕事連携の問題も発生させていた。それゆえ、実質的な席の固定化による「再場所化」が進められた。その一方で、優れた管理職の身体作法によって、流動化しながら連携を損なわない取り組みが行われていた。

2020年7月号(No.720) 特集●チームワーク

2020年6月25日 掲載