職場におけるダイバーシティとパフォーマンス──既存研究のレビューと今後の方向性

要約

谷川 智彦(立命館大学准教授)

本稿の目的は職場におけるダイバーシティとパフォーマンスとの関係性を扱った既存研究に対してレビューを行い、今後の研究の方向性を示すことである。近年、学術及び実務双方の観点よりダイバーシティへの関心、とりわけパフォーマンス向上の源泉としてのダイバーシティに注目が高まっている。しかし、実務における好意的なイメージとは裏腹に既存研究では両者の関係性に関する見解が一貫しておらず、また近年は研究の停滞が指摘されている。そのため今一度研究の活性化を促すためにも、当該研究領域の現状を確認すると同時に今後の研究展開の方向性を提示することが求められる。本稿では上記の目的を達成するために直近において主要学術誌に掲載された定量的実証研究を対象にレビューを行なった。その結果、既存研究における指摘同様、職場におけるダイバーシティとパフォーマンスとの間に一貫しない関係性が確認された。さらに近年の研究動向として①概念の拡張によって様々な個人的属性が用いられていること、②一部の理論が集中的に採用されていること、③主流の理論と関連した媒介変数や分析レベルをまたいだ調整変数が用いられていることを確認した。以上の議論に基づき本稿では今後の研究の方向性として、既存研究において軽視されてきた格差や不平等の視点を含めることを指摘した。さらにその具体的展開として①人口統計的個人的属性に再注目すること、②理論的説明に格差や不平等の視点を統合させること、③格差や不平等に関連した変数を媒介変数や調整変数に含めることを指摘した。

2020年7月号(No.720) 特集●チームワーク

2020年6月25日 掲載