日本企業における協働のあり方──チームと個人の関係性に注目して

要約

太田 肇(同志社大学教授)

日本企業における協働のあり方が問われている。かつて日本企業が強みとしていた組織力やチームワークは、メンバーの同質性を基本にしたものだった。ところが工業社会からポスト工業社会への移行、グローバル化や女性の職場進出などの環境変化によって、同質性を基本にしたチームワークの優位性が失われ、かわって異質性を基本にしたチームワークが求められるようになった。異質性を基本にしたチームワークは革新や創造性を生み、組織に活力をもたらすなどの長所があるといわれる。しかし、その長所が発揮されるかどうかは組織やチームを取り巻く諸条件に左右される。その1つが組織と個人の統合の方法である。筆者はかつて「直接統合」と「間接統合」という2つのモデルを提示した。伝統的な前者のモデルでは、個人が協働に参加すると同時に組織と同じ目的を追求するのに対し、後者のモデルでは多様な個人の目的が市場・顧客、社会という外部の媒体によって組織の目的と統合される。筆者が全国の主要な大企業に所属するホワイトカラーを対象に行った研究によると、専門性の高い職種では企業の生産性と個人の満足度の両面において、直接統合より間接統合のほうが有効であることが明らかになった。さらに組織には一種のインフラとしての役割が重視されていることもわかった。

2020年7月号(No.720) 特集●チームワーク

2020年6月25日 掲載