問題解決のための協働──日本企業における小集団活動の歴史

要約

小川 慎一(横浜国立大学教授)

本論文の目的は、日本企業における小集団活動の歴史を概観することである。その作業を通じて、小集団活動が日本で長きにわたって維持されてきた要因を探る。本論文における小集団活動は、業務上の問題解決を目的とし、同一職場に所属する少人数のメンバーから構成されるグループによる、継続的な活動を指す。この意味での小集団活動は品質管理を起源とし、日本で1960年代前半にQCサークルの名称で誕生した。60年代後半から普及が進み、80年代には国内外から注目を集めてブームの様相を呈した。90年代以降は実施率が低下するものの、執筆時の2020年時点においても小集団活動の実施を続ける企業は少なくない。小集団活動はたんに少人数で集まって活動しているのではなく、標準化された簡便な問題解決手法・手順を活用することにより、問題解決の「見える化」が図られている。こうして、メンバー間の情報共有が図られるとともに、他企業や他業種の優秀事例を参照することが可能となる。また、小集団活動は専門誌等の刊行物を通じて普及・啓蒙が促されており、社内外で小集団活動に必要な知識の研修が実施されている。さらに、社内外の発表大会等を通じて、全国的に活動レベルの向上が図られている。普及団体だけでなく、日本各地の支部等を通じた企業間協力も、普及・啓蒙や情報交換、新手法の開発に貢献してきた。小集団活動は多様な仕組みによって維持されてきたといえる。

2020年7月号(No.720) 特集●チームワーク

2020年6月25日 掲載