電電公社目黒電報電話局事件

労働判例

【事件名】懲戒戒告処分無効確認請求上告事件

【いわゆる事件名】電電公社目黒電報電話局事件

【裁判所名】最高裁判所第三小法廷

【裁判年月日】昭和52年12月13日

【事件番号】昭和47年(オ)第777号

【審級関係】

第一審 東京地方裁判所 昭和42年(ワ)第8229号 昭和45年 4月13日判決

控訴審 東京高等裁判所 昭和45年(ネ)第1072号 昭和47年 5月10日判決

【判例要旨】

1.電電公社職員が勤務時間中に「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と記載したプレートを着用してこれを職場の同僚に訴えかけることは、日本電信電話公社法三四条二項所定の職務専念義務に違反する。

2.電電公社の就業規則において禁止されている政治活動とは、人事院規則一四―七所定の政治的目的をもつてされる政治的行為を指すものではなく、社会通念上政治的と認められる活動をいう。

3.一般私企業において、従業員は職場内において政治活動をする権利を有するものではなく、職場内での政治活動は従業員相互間の政治的対立ないし抗争を生じさせ、また企業施設の管理を妨げる虞があり、休憩時間中に行われる場合には他の従業員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させる虞があるなど、企業秩序の維持に支障を来す虞が強いから、就業規則により職場内の政治活動を禁止することは合理的な定として許される。

4.日本電々公社において、「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプレートを着用して勤務した職員が、その取外し命令に抗議するため、職場内での政治活動やプレート着用をあおる内容のビラ数十枚を休憩時間中休憩室、食堂などで無断で配布したことが、違法行為をあおりそそのかすものであつて、就業規則の「局所内において…ビラ配布その他これに類する行為をしようとするときは、事前に…管理責任者の許可を受けなければならない」との条項に違反し懲戒事由に当るとされた事例。

5.日本電々公社職員が「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止と書いたプラスチックのプレートを作業服に着用して勤務することは社会通念上政治的な活動に当り就業規則所定の懲戒事由たる「その他の政治活動をしてはならない」に該当し、かつ注意力のすべてを職務遂行に向けていない点で日本電信電話公社法所定の職務専念義務に違反し、また右着用によって同僚に訴えかける点で他の職員の注意力を散慢にしあるいは職場内に特殊な雰囲気をかもし出し、よって職員がその注意力を職務に集中することを妨げる虞があるから職場内の秩序維持に違反し、その取外し命令に従わないことは、就業規則所定の懲戒事由たる「上司の命令に服さないとき」に当り、これを理由とする戒告処分は有効である。

6.労働基準法34条3項に基づく休憩時間の自由利用は、時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その利用が企業施設内で行われる場合には施設管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れず、また企業秩序維持の要請に基づく規律による制約を免れないから、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を休憩時間中であっても使用者の許可にかかわらしめることは合理的な制約である。

7.日本電々公社において、「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプレートを着用して勤務した職員が、その取外し命令に抗議するため、職場内での政治活動やプレート着用をあおる内容のビラ数十枚を休憩時間中休憩室、食堂などで無断で配布したことが、違法行為をあおりそそのかすものであって、就業規則の「局所内において…ビラ配布その他これに類する行為をしようとするときは、事前に…管理責任者の許可を受けなければならない」との条項に違反し懲戒事由に当るとして、これを理由とする戒告処分を有効とした事例。

【裁判結果】破棄自判

【出典名】最高裁判所民事判例集31巻7号974頁/訟務月報23巻12号2158頁/裁判所時報730号1頁/判例時報871号3頁/判例タイムズ357号116頁/労働判例287号26頁/労働経済判例速報967号5頁