時事通信社長期休暇事件

労働判例

【事件名】懲戒処分無効確認等請求上告事件

【いわゆる事件名】時事通信社長期休暇事件

【裁判所名】最高裁判所第三小法廷

【裁判年月日】平成 4年 6月23日

【事件番号】平成1年(オ)第399号

【審級関係】

第一審 東京地方裁判所 昭和56年(ワ)第4463号 昭和62年 7月15日判決

控訴審 東京高等裁判所 昭和62年(ネ)第2183号 昭和63年12月19日判決

差戻控訴審 東京高等裁判所 平成4年(ネ)第2470号 平成 7年11月16日判決

差戻上告審 最高裁判所第二小法廷 平成8年(オ)第454号 平成10年 7月17日判決

【判決要旨】

1.労働者が、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を経ることなく、始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、時季変更権の行使において、休暇の時期、期間の修正、変更に関し、使用者にある程度の裁量的判断が認められるが、右判断は、労働者の年次有給休暇権を保障する労働基準法39条の趣旨に沿う合理的なものであることを要する。

2.科学技術庁の記者クラブに単独配置されている通信社の社会部記者による約一か月の長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定に対し、会社が右休暇の後半部分について時季変更権を行使したことにつき、同人の担当職務は科学技術に関するある程度の専門的知識を要するものであり、社会部の中から右職務を支障なく代替し得る勤務者を見出し長期にわたつて確保することは相当困難であること、同人が記者クラブに単独配置されていることは、企業経営上のやむをえない理由によるものであり、一概に不適正なものと断定できないこと、同人は右休暇の時期および期間について会社との十分な調整を経ないで時季指定を行つたこと、会社は同人に対し二回に分けて休暇を取つてほしいと回答した上、後半部分についてのみ時季変更権を行使しており、時季指定に対する相当の配慮をしていることから、その裁量的判断は労働基準法39条の趣旨に反する不合理なものとはいえず、適法であると判断し、右時季変更権の行使を違法とした原判決が破棄された事例。

【裁判結果】破棄差戻

【出典名】最高裁判所民事判例集46巻4号306頁/判例時報1426号35頁/判例タイムズ791号71頁/金融・商事判例909号26頁/労働判例613号6頁/労働経済判例速報1464号3頁/裁判所時報1077号4頁