Q9.介護休業について教えてください。

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質問

夫の父親が病気で倒れ、介護が必要な状態となりました。介護保険の利用手続きを進めていますが、施設に入れるまでには時間がかかりそうなので、それまで介護休業を取ろうと考えています。介護休業についてはどのような法律上の取扱いがなされるのでしょうか。

回答

ポイント

  1. 介護休業は、要介護状態にある家族を介護するために、合計93日を上限として休業することができる制度です。賃金は必ずしも保証されませんが、新しいウィンドウが開きます雇用保険法による介護休業給付を受けることができます。
  2. 平成21年の法改正により、介護のための短期の休暇制度(介護休暇)が設けられました。

解説

少子高齢化が進行する中で、家族が病気になった場合の介護と仕事との両立の問題が深刻化しつつあります。新しいウィンドウが開きます「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という)の1995年改正により、男女労働者の介護休業の権利が法制化されています。

(1)介護休業

労働者は、事業主に申し出ることによって、要介護状態にある家族を介護するために休業することができます(新しいウィンドウが開きます育児・介護休業法2条2号新しいウィンドウが開きます同法11条)。対象となる家族は、配偶者(事実婚関係の者を含む)、父母および子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫です(新しいウィンドウが開きます同法2条4号新しいウィンドウが開きます同施行規則2条)。要介護状態とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態をいいます(新しいウィンドウが開きます同法2条3号新しいウィンドウが開きます同施行規則1条)。

ただし、日々雇用される者は適用を除外されています(新しいウィンドウが開きます同法2条1号)。また、期間を定めて雇用される労働者は、その事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、かつ、介護休業開始予定日から93日を経過する日を超えて引き続き雇用されると見込まれる場合(一定の例外があります)に限り、介護休業を取得することができます(新しいウィンドウが開きます同法11条1項但書)。また、使用者は、過半数組合または過半数労働者との労使協定によって、 (1)継続雇用期間が1年に満たない者、 (2)介護休業の申出があった日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者、 (3)1週間の所定労働日数が2日以下の者を、制度の適用対象外とすることができます(新しいウィンドウが開きます同法12条2項新しいウィンドウが開きます同施行規則23条)。

介護休業の期間は、当初は、同一家族について連続3ヶ月間を限度として1回限り認められていました。しかし、介護については短期間の休業や複数回の休業のニーズもあるため、平成16年改正により、同一の対象家族については通算して93日(3ヶ月間)まで、要介護状態が生じるたびに1回ずつ、複数回に分けて介護休業を取得できるようになっています(新しいウィンドウが開きます同法11条2項)。

労働者は、休業の開始日と終了日などの所定の事項を明記した書面を提出することなどによって、事業主に介護休業を申し出ます(新しいウィンドウが開きます同法11条3項新しいウィンドウが開きます同法施行規則22条)。一定の要件の下で、労働者からの期間の変更の申出(新しいウィンドウが開きます同法13条)や休業の申出の撤回(新しいウィンドウが開きます同法14条)、および事業主による休業開始日の指定(新しいウィンドウが開きます同法12条3項)も認められています。事業主は、原則として、労働者からの介護休業の申出を拒むことができません(新しいウィンドウが開きます同法12条1項)。また、事業主は、労働者が介護休業の申出をしたこと、または介護休業を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません(新しいウィンドウが開きます同法16条)。禁止される不利益取扱いの具体的な内容については、指針が定められています(新しいウィンドウが開きます平成21年12月28日厚生労働省告示第509号)。

事業主には、休業中の賃金の支払いは義務付けられていません。しかし、休業期間中の所得保障として、新しいウィンドウが開きます雇用保険法により、一定の要件の下で介護休業給付金が支給されます。介護休業給付金の額は、休業前の賃金の40%に相当します(新しいウィンドウが開きます雇用保険法61条の6)。また、休業期間中も社会保険・労働保険の資格は継続します。育児休業の場合と異なり、介護休業については社会保険料の免除は定められていません。

(2)介護休暇

介護休暇は、育児・介護休業法の平成21年改正によって新しく創設された制度です。要介護状態の家族の日常的な介護のために、年休や欠勤などで対応している労働者が多いことから、介護のための短期の休暇制度として導入されました。

要介護状態の家族(介護休業の対象と範囲は同じです)の介護、通院の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行、その他の必要な世話を行う労働者は、事業主に申し出ることによって、年5日(対象となる家族が2人以上の場合は年10日)を限度として、休暇を取得することができます(新しいウィンドウが開きます育児・介護休業法16条の5新しいウィンドウが開きます同施行規則30条の4)。事業主は、労働者からの介護休暇の申出を拒むことはできません(新しいウィンドウが開きます同法16条の6第1項)。ただし、事業主は、過半数組合または過半数代表者との労使協定によって、 (1)継続雇用期間が6カ月に満たない者、 (2)週の所定労働日数が2日以下の者を、適用対象外とすることができます(新しいウィンドウが開きます同法16条の6第2項新しいウィンドウが開きます同施行規則30条の6)。

介護休暇の申出または介護休暇の取得を理由とする解雇その他の不利益取扱いは、禁止されています(新しいウィンドウが開きます同法16条の7)。

(3)時間外労働・深夜業の制限、所定労働時間の短縮

要介護状態にある家族を介護する労働者は、小学校就学前の子供を養育する労働者と同じように、時間外労働の制限や深夜業の免除の措置を請求することができます(新しいウィンドウが開きます同法18条新しいウィンドウが開きます20条)。また、要介護状態にある家族を、介護休業を取得せずに介護している労働者に関して、事業主は、労働者からの申出に基づき連続する93日間(当該家族について介護休業を取得したことがある場合には、休業日数を差し引きます)以上の期間について、所定労働時間の短縮(短時間勤務制度)、フレックスタイム制または時差出勤の措置を講じなければなりません(新しいウィンドウが開きます同法23条3項)(新しいウィンドウが開きます→13-Q8参照)。

これらの制度の利用を申し出たこと、あるいは制度を利用したことを理由とする、解雇その他の不利益な取り扱いは、禁止されています(新しいウィンドウが開きます同法18条の2新しいウィンドウが開きます20条の2新しいウィンドウが開きます23条の2)。

以上に述べた他にも、事業主には、家族を介護する労働者に対して、介護休業、介護休暇または短時間勤務制度等に準じた措置を講じるように努める、努力義務が課されています(新しいウィンドウが開きます同法24条2項)。

(名古屋大学准教授 中野 妙子)

2010年9月掲載