Q1 福利厚生とは一般にどのような制度を指すのですか。また、法定福利費と法定外福利費の違いについて教えてください。

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質問

わが社では、折からの不況のために会社の経営が苦しくなっており、福利厚生制度の見直しを検討しています。そこで、一般に福利厚生制度とはどのような制度を指すのか、法定福利費と法定外福利費とはどう違うのか、教えてください。

回答

ポイント

  1. 福利厚生制度とは、一般に、使用者が労働者やその家族の健康や生活の福祉を向上させるために行う諸施策を総称していう言葉です。
  2. 法定福利費は、法律によって使用者に実施が義務付けられている福利厚生にかかる費用で、社会保険料の事業主負担を指します。これに対し、法定外福利費とは、法律によって定められていない、使用者が独自に行う福利厚生にかかる費用を指します。

解説

福利厚生制度の内容は多様で、具体的にどのような措置が福利厚生に該当し、何が該当しないかについての明らかな基準があるわけではありません。しかし、一般に、使用者が労働者やその家族の健康や生活の福祉を向上させるために行う諸施策を総称して、福利厚生制度と呼んでいます。言葉を換えると、使用者が労働者に提供する、賃金以外の現金給付やサービスの提供を指すといえます。

福利厚生は、法定福利厚生と法定外福利厚生に分類されます。法定福利厚生とは、法律によって使用者に実施が義務付けられている福利厚生、すなわち、社会保険料の拠出を指します。そして、法定福利費とは、法定福利厚生にかかる費用であり、社会保険料の事業主負担分を指しています。具体的には、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、労働保険料(雇用保険および労働者災害補償保険のための保険料)、児童手当拠出金、障害者雇用納付金、労働基準法に基づく災害補償の費用などです。

これに対し、法定外福利厚生は、法律によって義務付けられていない、使用者が任意で行う様々な福利厚生措置をいいます。具体的には、住宅手当、家賃補助、社宅・独身寮、がん検診等の法定健康診断への上積み、法定の育児・介護休業への上積み、慶弔・災害見舞金、運動施設や保養所などの余暇施設、文化・体育・レクリエーション活動の支援、資格取得や自己啓発の支援、財形貯蓄制度、社内預金、社員食堂など、様々な制度があります。法定外福利費とは、これらの法定外福利厚生制度にかかる費用のことです。退職一時金や企業年金などの退職給付を法定外福利厚生に含める場合もあります。

厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、常用労働者1人当たりの労働費用総額に福利厚生費が占める割合は、平均して12%程度となっています(法定福利費と法定外福利費の合計。同調査では退職給付にかかる費用が法定外福利費に含まれておらず、これを含めた合計は18%程度になります)。また、法定外福利制度の導入状況を見ると、慶弔・災害見舞金はほとんどの企業が導入しており、次いで法定健康診断への上積み、財形貯蓄制度を多くの企業が設けています。大まかな傾向としては、規模が大きな企業ほど、多様な福利厚生制度を提供しているということができます。

高度経済成長期やバブル景気の時代には、人材確保のために、社宅や余暇施設などの法定外福利厚生の拡充が図られてきました。しかし、近年、従業員の高齢化および社会全体の少子高齢化に伴い、福利厚生費の負担が企業にとって重いものとなってきています。法定福利の負担は社会保険各法によって定められているため(→新しいウィンドウが開きます10-Q2参照)、個別企業のレベルでの福利厚生の見直しは法定外福利を中心とせざるをえません。最近では、福利厚生制度を、従来の一律定型的な支給ではなく、個人のニーズに合わせて労働者が柔軟に給付内容を選択できるようにする、カフェテリアプラン(選択的福利厚生制度)を採用する企業も増えつつあります。

(名古屋大学准教授 中野 妙子)

2010年11月掲載