Q24 国の実施する職業能力の評価制度について教えて下さい。

ご利用にあたって

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具体的なご相談は、厚生労働省「総合労働相談コーナー」新しいウィンドウなど行政機関等の相談窓口にお尋ねください。


質問

企業が労働者の職業能力を客観的に評価することは難しいので、何か基準のようなものがあればと思っています。また、採用の際、職業能力を客観的に示す指標のようなものがあると助かります。以上のような企業の悩みについて、国はどのような施策を行っているのでしょうか、教えて下さい。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

国は、労働者の職業能力を一定の基準で客観的に評価するための様々な職業能力評価制度を整備しています。職業能力の評価・証明は、労働者の職業能力の向上や就職(再就職)の促進、事業主の公正な採用や処遇などに役立つものと思われます。

解説

仕事を行う能力(職業能力)を一定の基準によって客観的に評価することは、労働者の職業能力の向上、就職(再就職)の促進に役立つだけでなく、企業(事業主)にとっても、評価や採用を行う際の指標として意義があります。そこで、国は様々な職業能力の評価制度を整備しています。主なものとして、技能検定制度、社内検定認定制度、職業能力評価基準の策定、ビジネス・キャリア制度などがあります。

(1)技能検定制度

労働者の有する技能を一定の基準によって検定し、公証する検定制度で、新しいウィンドウが開きます職業能力開発促進法に基づき実施されています(新しいウィンドウが開きます同44条以下)。労働者の能力の向上だけでなく、労働者の雇用の安定、再就職等にも役立つものと思われます。

検定の対象職種は136に及び(2010年4月1日現在)、特級、1級、2級、3級の区分がある職種と単一等級の職種とがあります。受験資格は、原則として検定職種に関する実務経験があることです。検定に合格すると、「技能士」と称することができます(例:特級機械加工技能士)。技能士でない者が技能士という名称を用いると新しいウィンドウが開きます能開法に基づき罰金があるので、技能士と称することはその労働者の能力を客観的に示す指標としての意味をもつと思われます。なお、検定試験には、厚生労働省、都道府県、中央職業能力開発協会、都道府県職業能力開発協会が分担して実施する都道府県方式と、厚生労働省と民間の指定試験機関が分担して実施する指定試験機関方式があります。職種には機械加工、建築大工、菓子製造、機械木工など、いわゆる「ものづくり」に関するものが比較的目立ちますが、多岐にわたっており、たとえばキャリア・コンサルティングやファイナンシャル・プランニングといった職種も含まれています。

(2)社内検定認定制度

事業主(または事業主団体等)が自社で行う社内検定(雇用する労働者の職業能力を検定する試験)について、一定の基準に適合するものを厚生労働大臣が「認定」する制度です。認定の結果、その社内検定は「厚生労働省認定」と表示することができるようになるので、社内での技能評価に客観性を持たせることができます。なお、認定の対象となる社内検定は、労働者の職業能力の向上を図る観点から実施されるものであり、一般教養を対象としたものや、他の国家検定である技能検定と競合するものなどは除かれます。

(3)職業能力評価基準の策定

労働者の能力を客観的に評価する仕組みとして、職業能力評価基準が策定されています。具体的には、仕事を行うために必要な職業能力、知識に関し、担当者として必要とされるレベル(能力水準)から組織や部門の責任者として必要とされるレベルまで4つのレベルを設定し、整理して体系化した基準です。経理等の事務系職種に関する基準、電気機械器具製造業やホテル業など業種別の基準などがあります。こうした評価基準は、新しいウィンドウが開きます中央職業能力開発協会のWebサイトからダウンロードして利用することができます。労働者(求職者)が仕事に必要な能力を把握する際に参考とできるほか、企業にとっては、人事制度の設計、運用等において、この基準を自社向けにアレンジして利用するなど、様々な形で活用することができると思われます。

(4)ビジネス・キャリア検定試験制度

事務系職種の職務遂行に必要な専門的知識を分類・整理し、専門的知識および実地における応用力を問う検定試験です。従来のビジネス・キャリア制度が、2007年(平成19年)からリニューアルされたものです。労働者の職業能力支援の習得と、キャリアアップのための職業能力の客観的証明が目的とされています。

関係法令・資料

職業能力開発促進法 (昭和44年07月18日 法律第64号)第44条

職業能力開発情報(厚生労働省Webサイト)

技能検定制度について(厚生労働省Webサイト)

中央職業能力開発協会(職業能力評価基準やビジネス・キャリア検定試験に関する情報など)

(成蹊大学法学部准教授 原 昌登)

2011年4月掲載