Q22 公共職業訓練制度の概要について教えて下さい。

ご利用にあたって

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具体的なご相談は、厚生労働省「総合労働相談コーナー」新しいウィンドウなど行政機関等の相談窓口にお尋ねください。


質問

公共職業訓練には、受講資格などがあるのでしょうか、受講できるのは失業している場合だけなのでしょうか。また、情報を入手したり相談に応じたりしてくれる機関はありますか。公共職業訓練制度の概要について教えて下さい。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

公共職業訓練は、国及び都道府県が主体となって、公共職業能力開発施設または委託機関によって行われます。(1)離職者訓練、(2)在職者訓練、(3)学卒者訓練の3種に大別され、特に離職者訓練については、離職者の再就職をサポートするための様々な仕組みが置かれています。

解説

〈公共職業訓練の種類〉

国及び都道府県が行う公共職業訓練は、対象者別に「離職者訓練」「在職者訓練」「学卒者訓練」に分けることができます。なお、国の担当する部分については、実際の事務、手続等を国に代わり雇用・能力開発機構が行っています(平成23年2月現在)。

(1)離職者訓練

ハローワークの求職者を対象として、無料(テキスト代等の実費のみ負担)で行われます。訓練期間は3カ月~1年とされ、内容(訓練コース)としては、国は主に「ものづくり」に関する訓練を行っており、金属加工科、住宅リフォーム技術科、テクニカルオペレーション科などがあります。都道府県は、地域等の実情に応じた訓練を行っており、情報ビジネス科、介護サービス科、ホテル・レストランサービス科などがあります。

離職者訓練は、ハローワークが求職者に対する職業相談等を行い、受講が必要な場合に再就職の実現にあたり必要な訓練を実施することとされています(後記の在職者、学卒者の訓練が、基本的に自分自身で受講を申し込むとされている点と異なります)。具体的には、離職者訓練の受講が適職に就くために必要であると認められ、かつ、職業訓練を受けるために必要な能力等を有するとハローワークの所長(公共職業安定所長)が判断した求職者に対し、離職者訓練受講のあっせんがなされることになります。

なお、公共職業安定所長の指示に基づき離職者訓練を受講する場合、求職者は、訓練期間中に雇用保険の求職者給付(基本手当)の給付日数が終了したとしても、訓練終了まで引き続き基本手当の支給が受けられるほか、訓練受講に要する費用として、受講手当、通所手当などの支給が受けられます(新しいウィンドウが開きます職業能力開発促進法23条新しいウィンドウが開きます雇用対策法18条などを参照してください)。

(2)在職者訓練

在職の労働者を対象に、有料で行われます。訓練期間は2日~5日程度とされ、内容(訓練コース)は国と都道府県で異なります。国は、主に「ものづくり」の仕事について企業で中核的な役割を果たしている労働者を対象に、専門的な知識、技術を習得させる高度な訓練を行います。都道府県は、地域等の実情に合わせた訓練(地場産業で必要とされる人材の養成など)、機械等の操作の初心者を対象とする基礎的な訓練を行います。

(3)学卒者訓練

中学、高等学校卒業者等を対象に、有料で行われます。

訓練期間は課程に応じて1年~2年と決められており、内容(訓練コース)は国と都道府県で異なります。国は、高度で専門的かつ応用的な技能・知識を習得させるための訓練を高卒者を対象に2年間で実施し、都道府県は、基礎的な技術・知識を習得させるための訓練を高卒者等には1~2年間で、中卒者等には2年間で実施しています。

〈公共職業訓練の実施〉

公共職業訓練等を行うための施設として、国及び都道府県は、職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、障害者職業能力開発校を設置、運営しています(新しいウィンドウが開きます能開法15条の6)。これらの施設(公共職業能力開発施設と総称されます)における職業訓練は、普通職業訓練と高度職業訓練に分けられ、それぞれが短期間の訓練課程と長期間の訓練課程とに分けられます(新しいウィンドウが開きます能開法19条)。公共職業能力開発施設は、教科、訓練時間、設備等につき能開法施行規則が定める基準に従って、これらの職業訓練を行っています。このような公共職業能力開発施設における職業訓練(施設内訓練)の他、多様な人材ニーズに対応するため、民間の専修学校・各種学校、大学・大学院、NPO、事業主(事業主団体)に委託して行う委託訓練も公共職業訓練として行われています。

公共職業訓練の修了後、修了者には修了証書が交付されます。また、長期間の訓練課程については、技能照査が行われ、合格者は「技能士補」と称することができます(新しいウィンドウが開きます能開法21条新しいウィンドウが開きます22条)。

〈付記〉

雇用情勢の深刻な悪化等を受け、2011年(平成23年)9月末までの期間限定の予定で、「緊急人材育成支援事業」が行われています。この事業は、雇用保険を受給できない人(受給が終わった人も含まれます)を対象に、再就職に必要な技能、知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で実施するものです。また、この訓練を受講する場合等に、一定の要件を満たした場合、給付金(「訓練・生活支援給付」)を受けることができます。流動的な部分が多いので、詳細は下記URL、ハローワーク等でご確認ください。

新しいウィンドウが開きます無料で職業訓練 生活費も支給(月10万円~など)~緊急人材育成支援事業~(厚生労働省Webサイト)

関係法令・資料

職業能力開発促進法 (昭和44年07月18日 法律第64号)第15条 19条 21条 22条 23条

雇用対策法 (昭和41年07月21日 法律第132号)第18条

公共職業訓練の概要(厚生労働省Webサイト)

(成蹊大学法学部准教授 原 昌登)

2011年4月掲載