Q20  国による能力開発事業の基本的な仕組みを教えて下さい。

ご利用にあたって

  • 労働問題Q&Aは個別事案について法的なアドバイスをするものではありません。
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具体的なご相談は、厚生労働省「総合労働相談コーナー」新しいウィンドウなど行政機関等の相談窓口にお尋ねください。


質問

労働者の職業能力の開発に関して、国はどのような施策を行っているのでしょうか。また、法律にはどのようなものがありますか。国による職業能力開発事業の基本的な考え方について教えて下さい。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

労働者の職業能力の開発に関して、新しいウィンドウが開きます職業能力開発促進法(能開法)が基本的な理念、枠組みを定めています。国及び都道府県は、公共職業訓練の実施を中心に、労働者・事業主に対し様々な援助を行っています。事業主は、雇用する労働者に対し職業訓練の実施等を通して職業能力の開発を促進するよう努めることとされています。事業主・労働者の努力、そして双方に対する公的な援助を通して職業能力の開発を図るのが同法の基本的な枠組みといえるでしょう。

解説

国による労働者の職業能力開発については、新しいウィンドウが開きます職業能力開発促進法が基本原則を定めています。能開法は、雇用対策法と相まって、職業訓練の充実化、実施の円滑化のための施策、労働者が自ら職業訓練等を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることで、職業能力の開発・向上を促進し、職業の安定と労働者の地位の向上、そして経済・社会の発展に寄与することを目的としています(新しいウィンドウが開きます同1条)。

(1)国及び都道府県の責務

事業主の努力を尊重しつつ、職業訓練等に関する援助などを行い、労働者が自発的に職業能力の開発・向上を図るための援助を行うことなどが定められています(新しいウィンドウが開きます同4条)。具体的には、公共職業訓練の実施が最も大きな責務といってよいでしょう(詳細は新しいウィンドウが開きます本節のQ22を参照してください)。この他、事業主が労働者に教育訓練を行う際などに援助を行うこと(新しいウィンドウが開きます本節Q23)、職業能力の評価制度等を整備すること(新しいウィンドウが開きます本節Q24)なども、能開法の目的に基づき国が負う責務であるといえます。

以上の基本的な責務を果たすため、国は職業能力の開発について様々な制度を整備しています。それらに関する情報は厚生労働省のWebサイト、ハローワーク等で入手することができます。なお、国は職業能力開発に関し、新しいウィンドウが開きます独立行政法人 雇用・能力開発機構を設置し国の代わりに手続、事務等を行わせていますので(2011年(平成23年)2月現在)、同機構のWebサイト等からも多くの情報を得ることができます。

(2)事業主等の責務

事業主は、その雇用する労働者について、必要な職業訓練の実施や、労働者が自発的に職業能力の開発・向上を図るための援助を行うことなどを通して、労働者の職業能力の開発・向上の促進に努めるという責務を負っています(新しいウィンドウが開きます能開法4条)。

職業訓練の実施については、事業主が自ら行うものと他者が実施主体となるものに分けられます。自ら行うものとして、労働者の業務の遂行の過程内におけるOJT、その過程外におけるOff-JTがあり、他者が実施主体となるものとして、たとえば事業主の指示により国による公共職業訓練を受けさせるといったことが挙げられます。労働者の自発的な職業能力開発等の援助については、業務に必要な能力等に関する情報の提供や相談を行うことや、労働者の配置など雇用管理面で配慮すること、教育訓練のための休暇を(労基法上の年次有給休暇とは別の休暇として)付与することなどが挙げられます(新しいウィンドウが開きます能開法9条以下を参照)。また、こうした職業訓練や援助に関する計画の作成、これらの業務を担当する職業能力開発推進者の選任にも努めるものとされています(新しいウィンドウが開きます能開法11条新しいウィンドウが開きます12条)。

以上をまとめると、事業主は、労働者の能力開発について、自ら教育訓練(研修)を行うこと、他者による教育訓練を受けさせること、その他労働者に様々な援助を行うように努力を続けていくことが求められています。もちろん、業務に加えて教育訓練を行うことにはコストがかかりますが、国(地方公共団体)は公共職業訓練に加え、様々な助成制度(給付金など)を整備しています。言い換えれば、能開法は、国と事業主がそれぞれの責務を果たしていく中で、労働者の能力開発が図られるように基本的な枠組みを定めているともいえるでしょう。

関係法令・資料

職業能力開発促進法 (昭和44年07月18日 法律第64号)第1条 4条 9条 11条 12条

職業能力開発情報(厚生労働省Webサイト)

独立行政法人 雇用・能力開発機構

(成蹊大学法学部准教授 原 昌登)

2011年4月掲載