Q9 労働者の採用に当たって、助成を受けられる場合がありますか。

ご利用にあたって

  • 労働問題Q&Aは個別事案について法的なアドバイスをするものではありません。
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具体的なご相談は、厚生労働省「総合労働相談コーナー」新しいウィンドウなど行政機関等の相談窓口にお尋ねください。


質問

会社を経営しています。社員を増やしたいのですが、費用もかかることなのでなかなか思うようにいきません。ただ、社員を採用した後で給付金がもらえる場合もあると聞きました。採用に関する助成の制度にはどのようなものがあるのか、教えて下さい。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

企業は採用人数や採用基準等について「採用の自由」があります。一方、事業規模の縮小などで離職を余儀なくされた労働者の再就職を支援する事業主、地域に貢献する事業を創業し、労働者を雇い入れた事業主、就職が困難な労働者を採用した事業主は、要件を満たせば、助成金の対象となります。

解説

労働者を雇い入れる際には、かなり多くの種類の助成金制度が用意されています。基本的にハローワークが管轄です。助成金制度は、数が多いだけでなく、制度ごとに特色、細かい受給要件などが異なっており、また制度の変更も比較的頻繁に行われるなど、雇用に関する有用な支援である反面、利用が進んでいない(例えば十分に知られていない)面もあるかもしれません。そこで、助成を必要とする事業主にとっては、自らが利用しうる制度についてハローワークに問い合わせ、よく相談することが望ましいと思われます。また、近時、平成20年(2008年)のリーマン・ショック以降の深刻な不況の影響を受けて、暫定措置として様々な助成金制度が設けられている点にも特徴があります。

以下では代表的な助成金制度について特徴を紹介します。

(1)試行雇用(トライアル雇用)奨励金

業務遂行に当たっての適性や能力などを見きわめ、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするため、職業経験、技能、知識等により就職が困難な求職者を試行的に短期間雇用する場合(原則3カ月)に奨励金が支給される制度です。受給の要件は、45歳以上の中高年齢者(原則として雇用保険受給資格者)、40歳未満の若年者、母子家庭の母、季節労働者、障害者、日雇労働者やホームレスについて、試行雇用を経ることが適当であるとハローワークの所長(公共職業安定所長)が認める者を、公共職業安定所の紹介により試行的に短期間(原則3カ月)雇用することです。

(2)特定求職者雇用開発助成金

高年齢者、障害者など就職が特に困難な者又は緊急就職支援者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を助成する制度です。「特定就職困難者雇用開発助成金」として、高年齢者(60歳以上~65歳未満)、障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介によって新たに継続して雇用する労働者として雇い入れた際に受給できる助成金や、「高年齢者雇用開発特別奨励金」として、 雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介により新たに一週間の所定労働時間が20時間以上かつ1年以上継続して雇用する労働者として雇い入れた際に受給できる助成金などがあります。

(3)暫定措置(期間限定)の各種奨励金制度

いずれも平成24年3月31日までの暫定措置(期間限定の措置)として、以下のような奨励金制度が設けられています(平成23年2月現在)。

・派遣遣労働者雇用安定化特別奨励金

受け入れている派遣労働者を直接雇い入れた事業主に対して奨励金が支給されます。

・若年者等正規雇用化特別奨励金

年長フリーター等や、内定を取り消された学生等を雇い入れた事業主に対して奨励金が支給されます。

・3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金

大学等を卒業後3年以内の既卒者を正規雇用した事業主に対して奨励金が支給されます。

・3年以内既卒者トライアル雇用奨励金

卒業後も就職活動中の新規学卒者を正規雇用へ向けて育成するために、まずは有期雇用(原則3カ月)で雇用し、その後、正規雇用へ移行させた事業主に奨励金が支給されます。

・既卒者育成支援奨励金

成長分野等の中小企業事業主において、卒業後も就職活動中の新規学卒者等を正規雇用へ向けて長期的な育成を行うために、まずは有期雇用(原則6カ月)で雇用し、その間、実習に加え、座学等(OFF-JT)を実施したうえで、正規雇用に移行させた事業主に奨励金が支給されます。

・成長分野等人材育成支援事業

健康、環境分野及び関連するものづくり分野において、期間の定めのない従業員を雇入れ、または他の分野から配置転換し、OFF-JTを実施した事業主へ、事業主が負担した訓練費用が支給されます。

(4)中小企業労働力確保支援事業

中小企業労働力確保法に基づき、事業協同組合がその構成中小企業者の労働力の確保を図るための雇用管理の改善計画について認定を受けた場合、事業協同組合や、その構成中小企業者等に対し、「中小企業人材確保推進事業助成金」、「中小企業基盤人材確保助成金」、「中小企業雇用創出等能力開発助成金」などの助成金が支給される場合があります。なお、この事業は新しいウィンドウが開きます独立行政法人 雇用・能力開発機構が管轄とされています。

(5)地域雇用開発助成金

雇用機会が特に不足している雇用開発促進地域、若年層・壮年層の流出の著しい過疎等雇用改善地域、特に若年者の失業者が慢性的に滞留している沖縄県、雇用失業情勢の改善の動きが弱い地域における雇用構造の改善を図るため、その地域に居住する求職者等を雇い入れることに伴い、事業所を設置・整備あるいは創業する事業主又は、中核人材労働者を雇い入れ、また、それに伴い、その地域に居住する求職者等を雇い入れる事業主に対して、各種の奨励金、助成金が支給されます。

(6)実習型雇用支援事業

十分な技能及び経験を有しない求職者(緊急人材育成支援事業による職業訓練修了後、一定期間経過しても就職が決まっていない者)を原則6カ月間の有期雇用で受け入れ、実習・座学を通じて企業のニーズに合った人材に育成し、その後、常用雇用として雇い入れた事業主に奨励金等が支給される制度です。

関係法令・資料

事業主の方への給付金のご案内」(厚生労働省Webサイト)

独立行政法人 雇用・能力開発機構

(成蹊大学法学部准教授 原 昌登)

2011年4月掲載