Q5 会社は求人の際に年齢制限を設けてもよいのでしょうか。

ご利用にあたって

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質問

最近の求人情報には、かつて見られたような「40歳以下募集」「35歳以下歓迎」といった、年齢に制限をつける記載がなくなっているように思います。求人の際に年齢制限をつけることは禁止されるようになったのでしょうか?

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

雇用対策法により、労働者の募集・採用時に年齢制限をつけることは原則として禁止されています(新しいウィンドウが開きます雇用対策法10条)。よって、同法が規定するいくつかの例外にあてはまらなければ、年齢制限をつけることはできません。

解説

〈募集・採用における年齢制限の禁止〉

企業が従業員を採用するにあたり、採用の自由が原則として認められていますが、法律による制限があれば、例外的に採用の自由も制約を受けます。年齢に関しては、雇用対策法がこの例外にあたります。ですから、企業は募集・採用時に年齢で制限をつけることは基本的に認められないことになります。

新しいウィンドウが開きます雇用対策法10条は、年齢により応募資格に制限を設けることや、年齢によって採否を決定することを禁止しています。この禁止は、ハローワークを通して求人を行う場合はもちろん、民間の職業紹介事業者や、一般の求人広告を用いて募集・採用を行う場合、自社でWebサイト等を使って直接募集・採用をする場合にも適用されます。

企業が新しいウィンドウが開きます雇用対策法10条に違反した場合、刑事罰(罰金等)の定めはありませんが、行政による助言、指導、勧告等の対象となります(新しいウィンドウが開きます雇用対策法32条以下)。また、違反する求人はハローワークに受理されないことになります。なお、新しいウィンドウが開きます雇用対策法10条違反の法的責任が裁判上問われた例はまだ見られませんが、理論的には、同条違反(例えば、企業が応募者の年齢のみを理由として不採用としたこと)の行為が公序良俗(新しいウィンドウが開きます民法90条)に反し違法であり、不法行為として企業に損害賠償責任が生じると構成される可能性があります。

〈例外的に年齢制限が可能な場合〉

例外的に年齢制限をつけることができる場合として定められているのは次の通りです(新しいウィンドウが開きます雇用対策法施行規則1条の3)。

(1)定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(65歳定年の会社が、65歳未満の労働者を募集する場合など)

(2)労働基準法等、法令の規定により年齢制限が設けられている場合(年少者の雇用が制限される新しいウィンドウが開きます労働基準法62条の危険有害業務の場合など)

(3)長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等(おおむね40歳未満、特に35歳未満の若年者)を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(新卒者が主な対象と考えられています。長期勤続でキャリアを形成する以上、対象者の職業経験を不問とすること、新卒者以外の者を採用するときも新卒者と同等の処遇にすることが求められます)

(4)技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(特定の年齢層とは、30~49歳のうちの特定の5~10歳幅の年齢層を指し、相当程度少ないとは、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、労働者数が1/2以下であることを指します)

(5)芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

(6)60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する(国の)施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

なお、以上のような例外として年齢制限をつける場合、65歳未満の年齢を上限として設定するときは、高年齢者雇用安定法により、求職者や職業紹介事業者に対して、理由を明示することが義務づけられます(新しいウィンドウが開きます高年齢者雇用安定法18条の2)。

関係法令・資料

雇用対策法(昭和41年07月21日 法律第132号)第10条 32条

民法(明治29年04月27日 法律第89号) 第90条

雇用対策法施行規則(昭和41年07月21日 労働省令第23号)第1条の3

労働基準法(昭和22年04月07日 法律第49号)第62条

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年05月25日 法律第68号)第18条の2

(成蹊大学法学部准教授 原 昌登)

2011年4月掲載