Q6 ユニオン・ショップ制がある場合には、組合を除名されたり脱退した組合員を必ず解雇しなければなりませんか?

ご利用にあたって

  • 労働問題Q&Aは個別事案について法的なアドバイスをするものではありません。
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具体的なご相談は、厚生労働省「総合労働相談コーナー」新しいウィンドウなど行政機関等の相談窓口にお尋ねください。


質問

A社とB労働組合とはユニオン・ショップ協定を締結していました。ところが、B労組内で内紛が起こり、Cらは、B組合を脱退したり、一部は除名されました。そこでB組合はA社に対してユニオン・ショップ協定に基づきCらの解雇を求めてきました。しかし、Cらは、B組合を脱退等した直後にC組合を立上げ、A社に団交を求めてきました。A社はどのように対応すべきでしょうか。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

  1. ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されません。
  2. ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、無効となります。

解説

ユニオン・ショップ協定は、使用者に、自ら雇用する労働者のうち、協定締結組合に加入しない労働者や当該組合の組合員でなくなった労働者を解雇する義務を負うものです。ユニオン・ショップ協定の趣旨については、最高裁判例(新しいウィンドウが開きます三井倉庫港運事件・最1小判平成元・12・14)は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得しない場合やこれを失った場合について、使用者をして当該労働者との雇用関係を終了させることにより、間接的に、労働組合の組織の拡大強化を図ろうとするものである、と述べています。

このユニオン・ショップ協定の効力については、組合に加入しない自由(「消極的団結権」といわれています)を侵害するのではないかが問題となります。この点については、通説は、新しいウィンドウが開きます憲法28条は、組合に加入する権利、すなわち、「積極的団結権」を保障するものであるが、消極的団結権は保障しないと考えています。この立場からは、新しいウィンドウが開きます憲法28条を根拠としてユニオン・ショップ協定を無効とすることは難しくなります(しかし最近では、新しいウィンドウが開きます憲法28条は消極的団結権も保障しているとして、ユニオン・ショップ協定は無効であると主張する見解が有力に主張されています)。

しかし、ユニオン・ショップ協定が、別の組合ではなく、当該組合への加入を強制するものであるという点についてはどうでしょうか。この点については、労働者の組合選択の自由を侵害することになりえます。前掲最高裁判例(三井倉庫港運事件・最1小判平成元・12・14)においても、労働者には、自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があり、また、ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合の団結権と同様に、同協定を締結していない他の労働組合の団結権も等しく尊重されるべきであるとしたうえで、「ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきである」と述べています。そして、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、…新しいウィンドウが開きます民法90条の規定により、これを無効とすべきである(新しいウィンドウが開きます憲法28条参照)。」と述べています。

(明治大学法学部准教授 小西康之)

2010年10月掲載