Q12.計画年休制とは何ですか。

ご利用にあたって

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質問

このたび私の勤務する職場では、夏の年休消化を促進するため、計画年休制度を導入する方針であると聞きました。計画年休制度とはどのようなものでしょうか。また、個人で自由に利用できる年休はなくなってしまうのでしょうか。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

  1. 計画年休制度とは、事業場の労使協定に基づいて、年休の計画的な取得を可能にする制度です。
  2. 計画年休制度のもとでは、5日間の自由年休を除き、労働者個人の時季指定権や使用者の時季変更権は原則として排除されます。

解説

<計画年休制の意義>

労働基準法39条6項によれば、使用者は、事業場の過半数を組織する労働組合があればその組合、そうした組合がない場合には事業場の過半数を代表する者と協定を結び、年休を与える時季を定めることにより、各人の有する年休のうち5日を超える部分について、同条5項の定めによらずに、すなわち、時季指定権や時季変更権の行使というプロセスを経ずに、年休を与えることができます。このように、事業場の労使協定に基づいて計画的に年休を与える仕組みを計画年休制度といいます。

わが国では一般に年休の消化率が低い現象がみられますが、これは、年休の取得が個人の判断に委ねられる結果、職場への気がねなどから権利行使を自制しがちになることに一因があると考えられます。そこで、1987年の労基法改正の際に、年休の取得を促進する手段として、この計画年休の制度が設けられました。5日間の年休日(自由年休)が計画年休の対象とならないのは、個人の意向による年休利用の余地を残す必要があるからです。

<計画年休の要件>

計画年休を実施するためには、(1)各労働者の年休のうち5日を超える部分を対象に、(2)労使協定により年休の実施時期に関する定めをすることが必要です。年休の実施時期は、労使協定で定めることが原則で、たとえば、事業場全体で一斉に休暇を付与する方法や、班別に交替で付与する方法などが典型的なものです。しかし、計画表を用いて個人ごとに年休日を決定することもでき、その場合には、計画表の作成時期や手続について定めれば足ります(昭63.1.1基発1号(4.年次有給休暇(3).年次有給休暇の労使協定による計画的付与 ロ.計画的付与の方法))。

計画年休の対象となる労働者の範囲について明文の規定はありませんが、特別の事情により年休日をあらかじめ定めることが適当でない者については、労使協定により対象から除外するなどの配慮が望ましいとされています(前掲基発1号)。また、退職予定者については、退職後に年休付与が計画されていても取得は不可能ですので、その年休は、個人の時季指定に従って実現されます(昭63.3.14基発150号)。

<計画年休の効果>

以上のような労使協定が締結されると、年休日は協定の定めるところにより特定され、労働者の時季指定権や使用者の時季変更権は排除されるのが原則です。こうした効果が生じるための要件については見解が対立していますが、特段の事情がないかぎり労使協定のみで足りるという立場が有力となっています。この立場によれば、上で述べた計画年休の対象に含めるのが適当でない者を除けば、労働者個人の同意を得なくとも年休時季を特定することができますし、その一方で、使用者も協定で定めた年休を特段の事情がない限り変更できなくなると考えられます。

関係法令・資料

労働基準法(昭和22年04月07日 法律第49号)第39条

改正労働基準法の施行について(昭和63年01月01日 基発1号)4.年次有給休暇(3).年次有給休暇の労使協定による計画的付与 ロ.計画的付与の方法

「労働基準法関係解釈例規」(昭和63年03月14日 基発150号)

(名古屋大学准教授 中野 妙子)

2011年3月掲載