Q8.休日をめぐってはどのような法規制がありますか。

ご利用にあたって

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質問

当社では来月従業員に休日出勤をさせる必要がありそうですが、他に暇な日もあるので、休日の振替で対処したいと考えています。休日振替を行うにあたって注意すべき点はあるでしょうか。

回答本文の内容は執筆時点のものです。その後の法改正などは反映しておりません。

ポイント

  1. 労働基準法上の休日とは、労働契約上予め定められた、労働者が労働義務を負わない日をいいます。
  2. 休日振替は、就業規則上の規定や労働者の個別的合意に基づき、事前に振替休日を指定して行いますが、労基法上の週休制の原則に違反しないようにする必要があります。

解説

<休日付与義務>

労働基準法35条1項により、使用者は労働者に、毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。労基法は、1日8時間・1週40時間を法定労働時間とし、週休2日制を想定していますが、週休2日制は要求せず、最低基準としては週1日の休日を要求するに留めています(また、同法35条2項は、変形休日制による例外を認めています)。休日も休憩時間も、労働者に疲労の軽減や自由の回復をもたらしますが、休日は、まとまった時間が保障される点で、自由な活動のできる時間の回復という意味が大きいといえるでしょう。

労基法の求めるこのような最低限度の休日を法定休日といいますが、これを超える休日は法定外休日と呼ばれます。法定休日の労働には3割5分以上の割増賃金を支払う必要があるのに対し、法定外休日の労働にはその必要はなく、週の法定労働時間を超える場合に2割5分以上の割増賃金を支払えば足ります(時間外・休日労働の割増賃金については1-Q9を参照)。そこで、いずれが法定休日にあたるかを就業規則などにより明示することが望ましいとされています(平6.1.4基発1号(3.割増賃金率(3).具体的対応))。

さて、休日とは、労働契約上あらかじめ定められた、労働者が労働義務を負わない日をいいます。あらかじめ労働義務が存在しないものとされている点で、単なる休業日とは異なります(出張期間中の休日は、物品の監視など特別の指示のないかぎり、移動日であっても休日として扱うことができるとされています。昭23.3.17基発461号、昭33.2.13基発90号)。

また、休日とは、単なる継続24時間では足りず、午前0時から午後12時までの暦日をいうのが原則です(昭23.4.5基発535号)。ただし、交替制勤務者については、一定の場合に継続24時間を休日として与えればさしつかえないとされており(昭63.3.14基発150号)、旅館業や自動車運転者についても一定の特例が認められています(昭57.6.30基発446号、平成元年労働省告示7号など)。

これに対して、休日を与える単位となる「週」とは、日曜日から土曜日までの暦週に限られず、継続した7日間であれば足ります。そこで、事業場の就業規則などにおいてある曜日が週の起算点として定められていればそれによることができますが、定めがない場合には暦週が単位となり、日曜日が起算点となります(昭63.1.1基発1号(1.法定労働時間(2).一週間の法定労働時間と一日の法定労働時間))。なお、週1回の休日を与えていれば、その曜日は問いません。

なお、使用者が4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、週休1日の原則は適用しないとされています(労基法35条2項)。これを変形休日制といいますが、この制度を実施するためには、変形制の単位期間の起算点を就業規則等に記載することが必要です(労基則12条の2第2項)。

<休日の振替>

休日の振替とは、他の労働日(振替先)を休日(振替休日)とする一方、従来は休日であった日に労働者を労働させることをいいます。では、このような措置により、労基法36条に基づく協定の締結と割増賃金の支払をせずに、すなわち時間外労働として取り扱うことなしに労働させることができるでしょうか。

ここでは、まず、休日振替は労基法に違反しないかが問題となりますが、労基法35条により、休日を振り替えた後の状態が週休1日の原則(変形週休制をとる場合は4週あたり4日)に従うことが要求されます。この要件を充たせば、以下に述べる手続により振り替えた休日の労働は休日労働とは評価されず、36協定の締結や割増賃金の支払は不要となります。もっとも、休日振替の結果1週間の法定労働時間を超える場合には、36協定の締結と時間外割増賃金の支払が必要です。

次に、振替先の労働日が休日になるかという問題があります。この点については、振替先をあらかじめ示して振替を行う場合には、振り替えた休日に労働義務が発生する一方、振替先の労働日は、労働契約上あらかじめ労働義務がないものと定められた日として、休日になると評価できます(ただし、労基法の規制に違反する場合には、こうした振替の効果は生じません)。

さらに、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるかという問題もありますが、就業規則において、業務上の必要性があることを振替の要件とするなど合理的な根拠があれば、使用者は個別的同意を得ずに休日振替を命じうると考えられます。裁判例および行政解釈も、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができると解しています(三菱重工業横浜造船所事件・横浜地判昭和55・3・28、昭23.4.19基収1397号など)。

以上に対して、あらかじめ振替先を指定しないで休日に労働させ、後にこれに代わる休日(代休)を与える場合は、休日の変更はなされていないため、休日労働が行われるものと評価せざるをえません。したがって、このような場合は36協定と休日割増賃金の支払が必要となりますので、注意が必要です。一方、この場合には、代休日を与えることは労基法上要求されず、代休日を与える場合にもその定め方について週休制の要件は適用されません。

関係法令・資料

労働基準法(昭和22年04月07日 法律第49号)第35条 36条 37条

労働基準法施行規則(昭和22年08月30日 厚生省令第23号)第12条の2

労働基準法の一部改正の施行について(平成06年01月04日 基発第1号) 3.割増賃金率(3).具体的対応

(昭和23年03月17日 基発461号 昭和33年02月13日 基発90号)

(昭和23年04月05日 基発535号)

(昭和63年03月14日 基発150号)

(昭和57年06月30日 基発446号)

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)

改正労働基準法の施行について(昭和63年01月01日 基発第1号,婦発第1号) 1.法定労働時間 (2).一週間の法定労働時間と一日の法定労働時間

(昭和23年04月19日基収1397号)

(名古屋大学准教授 中野 妙子)

2011年3月掲載