日本労働研究機構
 
◆「サービス残業」と「賃金不払い残業」

  「サービス残業と言うと、なんとなく感じとして、“サービス”という言葉が付いているので、何かサービスしているように取られるが、日本語で“賃金不払い残業”と言ったほうが良い」。13日の閣議後の記者会見で坂口厚生労働大臣が、世間一般で言われているサービス残業の呼称に噛み付いた。そのうえで、その解消のための総合対策を近く発表すると言明した。

 大臣の言うとおりである。何気なしにわれわれは日常、「サービス残業」と口にしている。そうしているうちに、残業はサラリーマン自身の意思でやっていることとか、これは仕方のないこと、と言ったような思い込みに強く支配されている。その結果、サービス残業の違法性がオブラートに包まれて、使用者もサラリーマン自身も、違法であることを時として忘れてしまっている。

 一時、社会問題となった“援助交際”。実態はれっきとした売春なのにそう呼ばれていた。サービス残業も、れっきとした労働基準法違反事案なのに、そう呼称されないことで、堂々まかり通っている。大臣はさらに、「サービス残業がなんとなく、企業の美徳であるような雰囲気もある」と指摘している。ここは違法性をハッキリとさせ、「賃金不払い残業」と呼ぶことに何の支障もないだろう。

 具体的には今後、賃金不払い残業解消に向けての労使の役割と協力、企業風土の改革、企業内チェック体制の整備、適正な労働時間管理を行うために企業が講ずべき措置の徹底、行政の役割などを総合的にまとめて対策指針とし、強化月間を決めるなどしてキャンペーンを展開することになりそうだ。

 たかが用語、されど用語である。パラサイト・シングルを“脛(すね)かじり”と言えば、「何時までも脛をかじっているもんでない」となる。フリーターも“学卒無職者”と呼べば、「そろそろ手に職をつけたらどうか」と言いたくもなる。名は体を表すというけれど、実態を隠すための命名も少なくない。

(久)

 
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