日本労働研究機構
 
◆賃金改革を統計で探ると…

 賃金制度の改革が今春闘の焦点として浮かび上がってきているが、何も今年になって始まった動きではない。もう何年も前から、年功賃金から「業績・実績に応じた賃金」への移行の必要性が叫ばれ、その中で年俸制の導入企業が昨年、40%を超えたという調査(社会経済生産性本部)も発表されている。それならば、と入手し易い統計を手がかりに賃金制度の改定状況を探ってみると…。

 まず、賃金制度改革の動き。確かに、改定をした企業割合はここ数年高まって過半数を超え、労使交渉で賃金制度に関しての合意の割合も増大してきている(厚生労働省「就労条件総合調査」「賃金引き上げ等の実態に関する調査」)。

 改定の内容はというと、「職務・職能・業績給の新設、拡大」と「その他の賃金制度の改定」が、ともに約53%と最も多い(同省「平成12年労働組合活動実態調査」)。また、「今後3年間の改定の方向」を尋ねた民間調査でも、半数近い企業が、管理職、一般従業員についてを問わず、「自動昇給の廃止・縮小、査定昇給の充実・維持」をあげていて、今春闘の争点を十分に想起させる結果である。

 ところが、こうした制度改定の結果が統計から読み取れるかというと、どうも鮮明ではない。例えば、就労条件総合調査(2001年)で基本給の決定要素を見ると、過去5年間、管理職、それ以外ともに、「年齢・勤続、学歴」の項目では7ポイントくらい低下してはいるものの、「職務、職種など仕事の内容」「職務遂行能力」「業績・成果」では大きな変化が出ていないのである。もっとも、過去3年間の変化に限ると、業績や職務遂行能力は増えているのだが…。

 年功制度の崩壊が言われているが、それは掛け声倒れで実際にはそれほど進んでいないのだろうか。あっても、ごく最近のことなのだろうか。数字を見ている限りでは、そんな疑問も湧いてくる。今春闘の結果が反映される来年の調査結果が待たれるところだ。統計は便利だが、それを読むのは難しい。

(久)

 
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