2018年4月の新着図書紹介

1.太田 肇著『ムダな仕事が多い職場』筑摩書房

(196頁,新書判)

顧客に対する過大包装や過剰サービス、非現実的で無用な完璧主義、膨大な時間と労力を費やす会議やりん議制、中間管理職による細かい人事管理――本書は海外の企業に比べると、日本の企業は仕事の進め方にムダが多いと指摘。この傾向は生産現場よりもホワイトカラーの職場において著しく、職場のムダをなくし生産性を向上させるには、働き方を変えるだけでなく、仕事やサービスに対する考え方を根本的に方向転換する必要があると強調する。具体的には、グローバル競争をいっそう推進して企業への「外圧」を強めるとともに、欧米企業の産業別・職業別労働組合のように労働者の側が連帯して経営側に大きな影響力を持つなどして「内圧」を強める点が重要だと述べる。

請求番号:336.2/mud
書誌番号:JB00109348
ISBN:9784480069887

2.佐藤 博樹他著『新訂 介護離職から社員を守る』労働調査会

(221頁,B6判)

仕事と介護の両立支援について、企業の関心が高まっている。現状では、介護に直面している社員数は多くないものの、仕事と介護の両立に不安を抱く社員が増えていることが背景にあるようだ。一方で、両立支援の必要性を感じつつも、具体的な取組方法に悩む企業も少なくない。両立支援を始めた企業のなかには、育児の場合と同じ考えでよいと誤解しているケースもあるという。終わりの見えない介護については、介護を社員が抱え込むことなく、仕事と両立することが求められる。本書は、介護離職から社員を守るためのヒントとして、社員の仕事と介護の両立支援を企業として取り組むことの必要性や、両立支援の基本的な考え方、支援方法などを例示的に紹介している。

請求番号:336.4/kai
書誌番号:JB00109927
ISBN:9784863196605

3.相原 孝夫著『バブル入社組の憂鬱』日本経済新聞出版社

(231頁,新書判)

現在50歳前後のサラリーマンは、入社時期がバブル景気と重なり、大量採用された世代で、「バブル入社組」と言われる。会社のなかで管理職層の多くを占める彼らだが、評判がすこぶる悪い。例をあげると「お荷物なのに給料は高い」「(ポスト不足で)モチベーションが低い」「年下の上司にガマンできない」と評価は散々だ。著者は、コミュニケーション能力の高さ、根拠なき自信、強い愛社精神といったバブル世代の特徴点をあげ、これらをレジリエンス(逆境力)に昇華できれば、その後の職業人生をうまく過ごせるのではないかと指摘。肩書きへのこだわりが強いのもこの世代にみられる傾向だが、引退後のことも考えて、「自分が何をしているか」を重視すべきだと主張する。

請求番号:366.21/bab
書誌番号:JB00109650
ISBN:9784532263416

4.神津 里季生著『神津式労働問題のレッスン』毎日新聞出版

(206頁,B40判)

先の総選挙で政権交代という構想を描いた小池百合子代表が「希望の党」を立ち上げ、前原誠司代表の民進党との合流が取り沙汰された2017年秋。党内でもごく限られた人に相談された奇策を前に連合会長として立ち会った著者が、当時抱いた心境を赤裸々につづる。「希望の党は果たして政策・理念で連合と結び合える存在なのか?」──その後のてん末は周知の通りである。著者は「働く者の雇用と生活を守り向上させるために政治と関わることは不可欠。勇気をもって政治の世界に飛び込もうとする仲間を立法府に送りだすことを素直に考えたい」と強調する。本書の多くは週刊誌『サンデー毎日』の連載コラムが基になっており、大の犬猫好きなど普段は知れない人柄を明かす。

請求番号:366.621/koz
書誌番号:JB00109920
ISBN:9784620325033

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2018年1月~2月の労働図書館受け入れ図書

  1. 所 正文著『人生100年時代の生き方・働き方』学文社(372頁,B6判)
  2. 藤沢 烈著『人生100年時代の国家戦略』東洋経済新報社(180頁,B6判)
  3. 西日本新聞社編『新移民時代』明石書店(255頁,B6判)
  4. 藤内 和公著『ドイツの人事評価』旬報社(343頁,A5判)
  5. 稲田 耕平他著『この1冊ですべてがわかる!健康経営実務必携』日本法令(274頁,A5判)
  6. 筒井 晴彦著『8時間働けばふつうに暮らせる社会を』学習の友社(171頁,A5判)
  7. 野原 蓉子著『パワハラ・セクハラ・マタハラ相談はこうして話を聴く』経団連出版(140頁,A5判)
  8. 金 英著『主婦パートタイマーの処遇格差はなぜ再生産されるのか』ミネルヴァ書房(384頁,A5判)
  9. 高橋 幸美他著『過労死ゼロの社会を』連合出版(206頁,B6判)
  10. 神谷 悠介著『ゲイカップルのワークライフバランス』新曜社(206頁,B6判)