化繊大手が2年連続で電機水準超え/UAゼンセンのヤマ場回答

2018年3月16日 調査部

[労使]

繊維、化学、小売・流通や食品などの業界をカバーするUAゼンセン(松浦昭彦会長、約161万人)では、14日17時までに正社員組合員の賃金について34組合で本部の妥結承認を受けた。300人未満の組合の平均引き上げ額が300人以上の組合を上回っている。化繊大手では2年連続で電機大手の回答水準(1,500円)を上回る賃上げを獲得した。

300人未満組合の総合引き上げ額、300人以上を上回る

34組合の「制度昇給」とベアなどの「賃金引き上げ分」を合わせた総合引き上げ額の妥結平均をみると8,361円(2.88%)で、比較可能な組合で前年と比較すると1,320円(0.49%)増となっている。組合員数が300人以上の組合(25組合)と300人未満の組合(9組合)に分けてみると、300人以上の制度維持を含む総合引き上げ額は8,104円(2.73%)、300人未満が9,077円(3.32%)で、300人未満が300人以上を上回った。賃金体系維持分の明確な18組合についてベアなどの「賃金引き上げ分」の平均をみると、2,923円(1.00%)で前年を1,168円(0.38%)上回った。

個別組合では、14日17時までに化学素材の大手が決着。旭化成グループ労働組合連合会は「賃金引き上げ分」2,400円(前年差920円)、全東レ労働組合連合会が同1,900円(同700円)、帝人労働組合が同1,900円(同500円)、クラレグループ労働組合連合会が同2,300円(同950円)で、金属労協(JCM)の電機大手の回答水準(今年は1,500円)を2年連続で上回る決着内容となった。UAゼンセンの木暮弘書記長は「共闘のなかで前年実績を超えていこうと取り組んだことの成果」と話した。

短時間組合員(パートタイム組合員)の賃金に関しては、14日17時時点で妥結した組合は10組合にとどまっており、時間当たり賃金の総合引き上げ額(制度昇給+ベアなど)は27.6円(2.81%)となっている。

労働時間の短縮でも成果

賃金以外の労働条件では、労働時間の改善で回答を引き出した組合が多く、115組合で平均28.6時間の年間所定労働時間の短縮を獲得し、116組合で平均3.1日の年間所定休日増を獲得した。

主な内容をみると、レナウン労働組合(製造産業部門)は年間所定労働時間(現行1,875時間)を1,796.33時間に、全ヤオコー労働組合(流通部門)は現行1,976.25時間を1,953時間に短縮した。ダスキン労働組合(総合サービス部門)は時間給組合員について、ボランティア休暇の拡大や結婚休暇(継続3日)の有給休暇化などを獲得した。

有期雇用者の無期転換の取り組みでは、14日16時時点で、パートについては集約対象組合の78.1%、契約社員については79.2%の組合で改正労働契約法に関わる無為転換ルールを労使確認している。確認している組合について、無期転換の権利が発生する時期をみると、パートでは3割の組合が5年未満、契約社員では4割の組合が5年未満となっている。