春闘のヤマ場に向けて中央集会を開催/連合

2018年3月7日 調査部

[労使]

連合(神津里季生会長、約680万人)は3月5日、東京・文京区の後楽園ホールで2018春季生活闘争「政策・制度要求実現3.5中央集会」を開いた。構成組織の組合員など約1,200人が集まり、すべての働く者の賃上げや処遇改善などを訴えた。

「春闘はすべての働く者のためにある」(神津会長)

連合は今春闘で賃上げ要求水準について、「2%程度を基準とし、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度」とする方針を掲げている。自動車や電機などの大手企業では、今月14日の集中回答日に向けて労使交渉が本格化している。

集会の冒頭、神津会長は、「今、先行組合の交渉がヤマ場だが、それぞれの組織が主張を貫いて成果を勝ち取る」としたうえで、「大企業や親会社だけでは底上げにはつながらない。去年は中小が大手を、非正規が正規を上回る成果を勝ち取ってきた。それをさらに深掘りしていく」などと述べ、「春闘はすべての働く者のためにあるということを、世の中に力強く打ち出していこう」と呼び掛けた。

5つの共闘連絡会議代表者が決意表明

その後、産業ごとに構成する5つの共闘連絡会議の代表者が登壇し、回答引き出しに向けて決意表明した。

金属共闘連絡会議の髙倉明・自動車総連会長は、「日本経済は、緩やかながら息の長い景気回復が続いているが、われわれ国民はそれを実感できない。そのため、個人消費が伸びず、内需主導の経済成長につながっていかない」などと指摘。「強固な日本経済は強固な金属産業から、強固な金属産業は強固な現場から生まれる。そして、強固な現場は人への投資なくして実現しない」として、「これをベースに今後の闘争を追い上げていく」との決意を示した。

化学・食品・製造等共闘連絡会議の平川純二・JEC連合会長は、「(同共闘連絡会議に集う7産別の)ほぼ全てから人手不足で採用困難の話が出ている」ことを紹介。「人手不足を解消するためにも、月例賃金引き上げの要求を交渉のテーブルで訴えていく」と話した。交通・運輸共闘連絡会議の難波淳介・運輸労連委員長も、人材不足が安心・安全・信頼の運行と輸送を妨げているとして、「月例賃金の引き上げにこだわり、長時間労働の是正や働き方・休み方の見直しを含めた労働環境の改善を広く訴えていきたい」などと述べた。

また、流通・サービス・金融共闘連絡会議からは松浦昭彦・UAゼンセン会長が、「賃上げをしなければ我々の商品・サービスは、きちんとした値段で買ってもらえない。デフレの克服は賃上げによってのみ実現できる」などと主張。インフラ・公益共闘連絡会議の増田光儀・JP労組委員長も、「働く者全体の暮らしの底上げには、春季生活闘争を日本全体の賃金決定メカニズムとして推進していくことが重要。労使協議で決定した労働条件を、未組織労働者・非正規労働者に波及させていくだけでなく、人事院勧告を通じて公務にも波及させていくことが重要だ」と述べ、賃上げを社会全体に波及させる必要性を強く訴えた。

集会では、重点政策やすべての労働者の立場にたった「働き方改革」の実現に向けた決意表明も行われ、最後に「すべての働く者の賃金の『底上げ・底支え』『格差是正』を実現し、『経済の自律的成長』『包摂的な社会の構築』『人的投資の促進』『ディーセント・ワークの実現』をはかる」などとする集会アピールを採択した。