賃上げ月額2万円以上、時間額150円以上/国民春闘共闘が統一要求素案を提起

(2015年11月27日 調査・解析部)

[労使]

全労連や純中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事・小田川義和全労連議長)は25日、静岡県熱海市で2016年国民春闘討論集会を開き、賃上げ要求として月額2万円以上、時間額150円以上などを盛り込んだ2016春闘の第一次方針案を提起した。

実質賃金の低下に歯止め、すべての働く人々の大幅賃上げ・底上げ・格差是正を

冒頭のあいさつで小田川代表幹事はいわゆるアベノミクスのもとで労働分配率は低水準に落ち込み、すべての労働者の賃上げ・底上げが求められるとし、実質賃金の底上げに向けた総合的・社会的な運動の重要性を訴えた。

賃金要求では、すべての働く人々の賃上げ・底支えが地域経済の再生や労働組合の活性化にとって不可欠な課題だと指摘。そのうえで、全国一律最賃制の実現を求める署名などの社会的な賃金闘争を強めながら、「実質賃金の低下に歯止めをかけ、今度こそ、すべての働く人々の大幅賃上げ・底上げと格差是正を実現する」としている。

具体的な要求については、組合員に対する春闘アンケートを基礎に、生計費原則に基づいた底上げを重視しつつ、物価上昇や消費税によって実質賃金が低下している実態を踏まえ、①賃上げ要求=月額2万円以上、時間額150円以上、②最低賃金要求=時間額1,000円以上、日額8,000円以上、月額17万円以上、③底上げ要求=すべての働く人々の底上げを実現し、時給1,000円未満の人をなくす――を提起した。要求の根拠として、毎月勤労統計調査(厚労省)の毎月決まって支給する2014年の実質賃金が消費増税の影響もあり、前年比マイナス3.4%の落ち込みとなり、安倍政権後の2年間をみても5%近く落ち込んでいることをあげる。月額要求については一般労働者の平均賃金30万円強に下落分の3.4%をかけて約1万円、それに底上げ分の1万円以上を加えることが適当としている。時間額についても実質低下分と底上げ分を加味した考え方をとっている。

時短を軸にした働くルールの確立を

賃上げ以外では、改正労働者派遣法を職場に持ち込ませない取り組みの強化や、ブラック企業告発キャンペーンなどに力点をおく。また、人手不足が深刻化するなか、若者の定着、働き続けられる職場を掲げ、労働時間短縮と上限規制を求める取り組みを統一闘争として推進。「不払い時間外労働と特別条項をなくし、8時間労働制をまもる上限規制やインターバル規制を含む労働時間短縮の取り組みを推進する」としている。

また、「残業代ゼロ法案など安倍『雇用改革』を阻止するとりくみ」を広範な共同により推進することも打ち出している。

方針は討論集会での議論を踏まえ、幹事会で意見集約の上、年明けには2016春闘方針が正式決定される見通しだ。