夜勤のもっとも短い勤務間隔は「8時間未満」が過半数/日本医労連・2015年度実態調査

(2015年11月6日 調査・解析部)

[労使]

病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくる産業別組織の日本医療労働組合連合会(日本医労連、約17万4,600人)は5日、2015年度における看護職員等の「夜勤実態調査」結果を発表した。同調査は1981年以降、毎年実施しているもの。調査結果によると、「3交替」勤務では(看護師確保法の基本指針を上回る)月9日以上の夜勤を行っている看護職員が約1/4、「2交替」では(同じく上回る)月4.5回以上が約1/3にのぼった。会見した中野千香子・中央執行委員長は、「診療報酬の引き下げ論議があるが、看護職員等が長く働き続けられる環境を築くことが、国民の求める医療体制の充実にも寄与する」などと強調した。

「2交替」夜勤の回数は4.5回以上が約3分の1に

調査は、2015年6月の勤務実績について尋ねたもの。「入院部門」の調査結果は、447施設・3,125病棟(働いている看護職員数は8万6,227人、看護師資格を持たない看護要員数は9万8,781人)から得た回答を集計している。

それによると、夜勤の形態としては、「3交替のみ」(8時間ラ3)の施設が半数(50.9%)(前回調査では50.3%)を占める一方、「2交替のみ」(8時間+16時間等)は14.6%(同12.9%)で、3交替と2交替の「混合」が34.5%(同36.8%)となった。看護職員数、看護要員数に換算すると、「3交替のみ」が看護職員の64.9%、看護要員の64.8%に対し、「2交替」が同順に27.0%、27.1%で、「混合」がいずれも7.8%となっている。

夜勤の実態を掘り下げてみると、「3交替」の平均夜勤日数は7.60日(前回7.68日)となった。日数分布は、1カ月「8日以内」の夜勤に収まっている看護職員が74.9%に対し、「9日以上」(注1)が約1/4(25.2%)にのぼっている。また、「2交替」の場合の平均夜勤回数は4.09回(前回4.07回)で、最多回数は18回となった。回数分布をみると、1カ月「4回以内」の夜勤に収まっている看護職員が66.9%と前回(69.0%)よりやや減少し、「4.5回以上」(注2)が33.1%(前回31.0%)に増加。中でも「ICU」で働く看護職員については、「4.5回以上」が過半数(54.4%)を占めている。

「夜勤の時間・回数規制や勤務間インターバル等が必要」

一方、勤務から次の勤務までの間隔について調べた結果をみると、もっとも短いのは「8時間未満」とする施設が過半数(53.2%)を占めた。これに「8時間以上12時間未満」が16.0%(「12時間未満」計69.2%)、「12時間以上16時間未満」が24.9%などと続いた。

こうした調査結果について説明した日本医労連は、「『2交替』勤務は、導入当初は療養型の病床など慢性期病棟からだったが、今や急性期病棟や高度医療病棟にも広がっている。そうした背景には、長時間夜勤に対する時間規制や回数規制がなく、野放し状態となっていることがある」(森田進・書記次長)などと指摘。また、「『2交替』勤務は、3交替で発生する準夜時間帯の残業代や、帰りのタクシー代が不要なため、人件費削減になる。長時間勤務は、看護職員の健康への影響もさることながら、患者の安全も含めた影響が危惧されるため、削減分を増員に回して夜勤に必要な体制の拡充を図るとともに、勤務間インターバルなど実効ある規制を設けることが急務」(三浦宣子・書記長)などと強調した。

注1^「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の基本指針では、「夜勤負担の軽減、働きやすい職場づくり」や「3交替で月8日以内(2交替では月4日以内に相当)の夜勤体制」などの努力義務を規定している。

注2^日本医労連では、「夜勤は3交替5人体制で月6日以内(当面8日以内)とする」ことや、「1日8時間の正循環勤務とするため、夜勤のための勤務免除(勤務間隔12時間以上)を設けて週32時間労働とする」ことなどを含む、「めざすべき看護体制」の提言を行っている(2014年9月)。