賃上げ要求水準のたたき台として2%基準を示す/連合の2016春季生活闘争に向けた基本構想

(2015年10月23日 調査・解析部)

[労使]

連合(神津里季生会長)は22日、中央執行委員会を開き、2016春季生活闘争方針のたたき台となる基本構想を確認した。賃上げ要求水準は、「定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を除き2%程度を基準とする」とし、配分については構成産別の事情に応じて幅を持たせる考え。今後、基本構想をもとに構成組織を交えた議論を行い、11月27日の中央委員会で闘争方針を決定する。

あらゆる手段を用いて「底上げ・底支え」「格差是正」をはかる

基本構想は、2016春季生活闘争の基本的な考え方として、デフレからの脱却を図るため、「日本経済の好循環実現に向けた視点に立った取り組みが不可欠」だと主張。2015闘争で2%を超える賃上げを実現したものの、「格差の是正には至っていない」として、今回も「中小企業労働者や非正規労働者の月例賃金・時給の『底上げ・底支え』と『格差是正』をはかることに重点を置いた取り組みを進めるとともに、その効果が広く社会に浸透する要求を組み立てることが極めて重要である」と、賃金の底上げや格差是正の重要性を強調した。

マクロの観点としては、「雇用労働者の所得を2%程度引き上げることが必要」と述べるとともに、「『底上げ・底支え』『格差是正』をはかるためには、従来型の自社の労使交渉の結果を波及させるだけでは不十分である」として、「あらゆる手段を用いて」構成組織で一丸となって取り組みを進めると明記した。

神津会長は会見で、「昨年、今年の春季生活闘争で一定の成果を引き出してきたが、経済の好循環、デフレ脱却は1年や2年で具体的な姿に結びつけられるものでもない。さらにその先を見据えて中・長期的に賃上げをデフレ脱却に結びつけていく。もう一つ、『底上げ・底支え』『格差是正』を実現しないことには、本当の意味での経済の好循環には結びついていかない」などと述べ、賃上げの流れを継続するとともに、格差是正の取り組みを強化していく考えを示した。

光が当たっていないところにより光を当てる(逢見事務局長)

賃上げ要求水準については「それぞれの産業全体の『底上げ・底支え』『格差是正』に寄与する取り組みを強化する観点から、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を除き2%程度を基準とする」とした。2015闘争方針では、賃上げについて「すべての組合が月例賃金にこだわり、2%以上の賃上げを求める」としていた。2%という数字は2015闘争と変わらないが、「以上」から「基準」と書きぶりが異なっている。この点について、逢見直人・事務局長は会見で、マクロ経済や物価上昇などの状況を念頭に置いたうえで「配分について光が当たっていないところにより光を当てられるようにする」と説明。一律のベアだけでなく、若年層や子育て世代などに重点的に配分するなど、組織事情に応じて配分の仕方に幅を持たせる考えを示した。ただ、その一方で、「月例賃金での賃上げへのこだわりは(従来方針と)変わらない」とも述べた。

連合は基本構想について、11月4、5の両日に開催する「2016春季生活闘争中央討論集会」においてすべての構成組織、地方連合会を交えて議論し、闘争方針案の形にしたうえで、11月27日に開く中央委員会で最終的に方針を決定する。