統一した賃金水準指標を検討/交運労協定期総会

(2015年10月9日 調査・解析部)

[労使]

陸海空の交通・運輸関係18産別で構成する交運労協(約65万人)は10月8日、都内で定期総会を開催し、交通政策・制度に関する取組みを基本とする2016年活動方針を決定した。春季生活闘争については、交運労協として初めて構成組織の賃上げ回答結果を集計・公表している。

あいさつした住野敏彦議長は、15年春季生活闘争の結果集計について、「今年初めて賃金実態調査をさせていただいた。来春闘に向けて、経営に対する要求の主張の根拠となるものだ」と述べ、16年の交渉に活かしていく考えを示した。

交運労協は、15年の賃上げ結果について、「大手・中小を問わず、一部を除いて概ね額・率とも前年を上回る回答を引き出すことができた」「中小組合においても多くの単組が前年を上回る水準で妥結できたことは、賃金相場の『底上げ・底支え』に寄与することができたといえる」と評価。しかし「一方、額・率とも中小組合は大手組合を下回る結果となり、規模間格差是正の課題は依然として残されることとなった」とした(集計表を参照)。

表 2015春季生活闘争 回答集計 (交運労協)

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16年春季生活闘争では低賃金問題に焦点を当て、「低賃金であるがゆえに所定外労働に依存せざるをえないという悪循環を断ち、所定内労働で生計を営むことが可能となる賃金水準を確立するための闘いとして展開する」との考えを提起した。また、「『最低限確保すべき賃金水準=ミニマム水準』の検討に限らず、交運労協として統一した賃金水準を指標として設定することについて、その是非も含め検討課題とする」方針を打ち出している。

このほか16年の活動方針では、13年に成立した交通政策基本法、15年2月閣議決定された交通政策基本計画、同年6月公表の「交通政策白書」で示された課題などをベースにした政策・制度の取組みが盛り込まれている。さらに、規制緩和政策への対応、交通産業の労働力確保問題への取組みなどがあがっている。

役員改選では、住野敏彦議長(私鉄総連)が再任された。事務局長は関政治氏(運輸労連)が退任し、高松信幸氏(運輸労連)を新たに選出した。