Aランクで19円、Bランクで18円、C・Dランクで16円を答申/2015年度・地域別最低賃金の改定目安

(2015年7月31日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省の中央最低賃金審議会は30日、塩崎厚労相に対し、2015年度の地域別最低賃金の改定目安について答申した。引上げ目安は、東京、愛知、大阪など「Aランク」が19円、埼玉、京都、広島など「Bランク」が18円、北海道、石川、福岡など「Cランク」が16円、青森、沖縄など「Dランク」が16円。全国加重平均にすると18円(昨年度は16円)と4年連続の2桁で、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降、最高となっている。

28日の15時から開催された、第4回「目安に関する小委員会」での議論は、労使の意見の隔たりが大きく、29日の朝方まで及んだ。

労働者側委員は、「将来への不安を払拭し安心感を醸成できるよう、暮らしの底上げに直結する最低賃金の大幅な引上げが必要」であり、「平成26年平均の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の3.3%に加え、組織労働者の賃上げ結果を上回る引上げが必要」などと主張。

これに対し、使用者側委員は「今年度のランク別の目安については、『法の原則』である、地域における労働者の生計費、賃金及び通常の事業の賃金支払能力の3要素を総合的に表している『賃金改定状況調査結果』の特に第4表のデータを重視した審議を行うとともに、最低賃金のはり付き状況などを踏まえた、ランクごとの実態を反映した目安とすべき」などと主張した。

「経済財政運営と改革の基本方針2015」等に特段の配慮/公益委員見解

労使の意見の隔たりが大きく、公益委員見解の形で取りまとめられた改定目安は、平成14年度以降でAランクは最高額と同水準、B~Dランクの道府県は最高額となった。

その背景について、報告は「平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された『中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告』の4(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、『経済財政運営と改革の基本方針2015』(平成27年6月30日閣議決定)及び『「日本再興戦略」改訂2015』(同日閣議決定)についても特段の配慮をした上で、とりわけ平成26年において消費者物価が上昇していること、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率が低下していること、影響率が高まる傾向にあること等、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきた」などと説明している。

今後は、各地方最低賃金審議会で、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議を経て答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになる。